糞フェミでも恋がしたい (その38)
私の名は能條まどか。糞フェミだ。
糞フェミでも処女卒したいのだ、自分が愛して愛して愛しまくっている雄の、猛って、膨れ上がって、熱り立った、太い逞しい男性器を、欲望のままに肉穴にぶち込まれて、初めての膜を破られたいのだ、穴の奥底まで蹂躙されたいのだ、何もかも奪われて、心の底から屈服したいのだ、服従したいのだ、隷属したいのだ、そして、有無を言わさず射精され、子供を、遺伝子の結晶を、孕みたいのだ、孕まされたいのだ、この、私の子宮の中に、雌が雌として生きるということは、そういうことなのだ、そういうことなので私はいま綺羅君と小洒落たフレンチレストランでディナーを喰っているのだ、格式があり、サービス行き届いた、素敵な店だ、乾杯のシャンパンを開け、グラスを鳴らし、ほろ酔い加減で、いわゆるところのクリスマスディナーだ、猛烈に小洒落て都会的で洗練されて、いちいち小皿に美しく盛りつけられた料理は美味く、小声で上品そうな会話に、落ち着いた空間がざわめいているが、しかしそんなものはすべて虚飾だ、澄ました顔で飯を喰っている周囲のカップルどもも、どうせみんな数時間後には素っ裸になって動物のようにセックスをしているに決まっているのだ、デカイを声を上げて喘ぎ、よがり狂っているに決まっているのだ、そういうことなので、私も数時間後には、素っ裸になってよがり狂わせてもらうのだ、この、愛して愛して愛しまくっている綺羅君の、太くて逞しい男性器で。
甘い甘いデザートはそこそこに、ちょっとぼんやり夜景を眺めながら、私は綺羅君の手を握り、恋とか、愛とか、いろんなものの感触を確かめる、人生は不思議だ、そんなことをちょっと思う、自分の心に、そんな思いが湧いてくることそのものが不思議だ、綺羅君を見る、綺羅君の目を見る、私を見てくれている、うれしい、なによりもそのことがうれしい、私を見てくれている、それがうれしい、うれしくてたまらない、ああああ、早くキスがしたいな、キスがしたくてたまらない、何度も何度もキスがしたい、ずっと口付けていたい、微笑む、微笑む、微笑みあう、いいな、こういうのがいい、とてもとてもいいな、素敵だ、素敵すぎて失禁しそうだ、どうなってもいい、そういう気分で心がいっぱいになる、なった、なってしまった、もう、どうなってもいいのだ、私は、私と綺羅君は。
37階のレストランから、35階のスイートルームまでは、5分とかからない、でも、それは永遠のように長く感じられる、エレベーターを出て、一歩一歩、カーペットの上を歩く、幸いなことに、それは永遠ではなく、私たちは部屋のまえに辿り着き、鍵を開け、ドアを開く、そしてそこは、私たちだけの天国だ、私と綺羅君だけの、生と死の園だ。
ドアが閉まるか閉まらないかのうちに、綺羅君に抱きしめられた、私もめっちゃ我慢していたが、綺羅君も猛烈に我慢していたのだ、そりゃあそうだ、中学生男子なんだもの、心も、身体も、性器も、欲望に燃え滾っているのは当たり前だ、当たり前だったのだ、偉いなあ綺羅君、本当に、よく我慢したよ、偉い、でも、もう我慢しなくていいんだよ、私を、めちゃくちゃにしていいんだ、めちゃくちゃに犯して、思う存分、自分のものにして、殺してしまってもいいんだ、いいんだよ、綺羅君、そう思ったら、自然と涙が出てきた、ドレスのボタンを外すのももどかしい、興奮して、指がもつれる、ひっちゃぶいてしまいたい、どうなってもかまうものか、ようやく抜いで、おっぱいを出す、綺羅君がしゃぶりつく、乱暴にしゃぶりつく、かわいいな、とってもかわいい、愛しい、なんて愛しいんだろう、小さめのおっぱいでごめんね、でも、綺羅君への愛は、いっぱい詰まっているんだよ、ふたりで、もつれながら、ベッドに倒れ込んだ、もう止めるものはなにもない、キスをしながら、下着を脱ぐ、綺羅君も甘ロリを脱いでいく、ふたりとも、だんだんと、素っ裸になる、綺羅君の男性器が露出する、もう、ビックリするほど反り返っている、触ったら火傷しそうだ、私の身体と、綺羅君の身体、すり寄せて、とても気持ちがいい、綺羅君に押さえつけられて、見下ろされて、見つめられて、奥底から悦びがわいてくる、純粋で、動物的で、なにも混ざりけのない、本当の悦びだ。
ぱんっ!
その瞬間、不意に頬を叩かれた。
ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!
何度も何度も、頬が腫れるほど強く叩かれた。
あの綺羅君が、私を見下ろしていた。
私は両目から涙をあふれさせながら、うれしいなあと、たまらないほどうれしいなあと、感じていた、あの綺羅君が、意地悪そうな顔で、私の頬を叩いている、痛みが、心まで痺れさせる、痺れた心で、私はあなたにひざまずく、うれしいなあ、生まれてきてよかった、雌に生まれてきてよかった、綺羅君に抱きつく、全身全霊で抱きつく、死んでも、生きても、あなた次第、すべてあなたのもの、私のすべて、あなたのものだ、私の、涙でぐちゃぐちゃになった微笑みを、あの綺羅君が、意地悪そうな顔で見つめている、そして、その意地悪そうな顔は、いつもの綺羅君の顔とひとつに溶けて、雄の、力強い欲望の顔へと、男らしい顔へと、しっかりと私を押さえつけ、征服する意思に満ちた、支配者の顔へと、変わっていく。
私と、綺羅君の、新しい人生の瞬間が近づいている、それは夢のようで、夢ではなかった、なにもかも捨てて、しがみつく、すがりつく、それだけの価値がある、現実だった。
綺羅君は、私の首を絞めなかった。
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