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#6 夏休みマルチリンガル企画 「英語を話せる」とはどういうことか。

よく日本人は英語が話せない、英語を話せることは国際社会に生きる現代人として必須だ、などという言葉を見かけますが、英語を話すというのはそもそもどのようなことなのでしょうか。私自身、日本の英語教育や、英語しゃべれるようになりなさい!という志向に疑問を持っています。一時期は嫌いとまで言っていました。

これに関して検証、なりに現段階でどうして嫌いと思ってしまったのか、思っていることを書いてみようと思います。

英語圏(ENL、ESL)での英語

英語圏と言われて、どこを想像するでしょうか。アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドetc....。多くの人がここら辺を、あるいはシンガポールやマレーシアを想像するかもしれません。

世界にはENL,ESL,EFLという英語に関して3つに分けるくくり方があります。

ENL(English as a Native Language)とは、英語を母語とする話者、その国や地域のことを指します。世界には30を超える国や地域がENLに該当し、具体的には米国、英国、オーストラリア、NZ、さらには、カナダ、アイルランド、ジャマイカ、ベリーズ、南アフリカなどになります。

ESL(English as a Second Language)は、英語が第二言語の人、そして第二言語や公用語、準公用語として必須な国になります。具体的には、インド、パキスタン、シンガポール、マレーシア、ナイジェリア、フィリピン、ガーナ、ケニア、など旧英国・米国領だった多くの国が該当します。

最後にEFL(English as a Foreign Language)は、その他の英語を外国語として学習している人、国です。多くの先進国がここに該当、日本も然りです。

上記のくくりが一体何か、というと特にそのくくりの中で共通点が他にあるわけではありません。しかし、ENLの国ではその国、地域ごとに英語が全然違うのです。アメリカ英語、イギリス英語、オーストラリア英語という名前は有名かもしれませんが、ジャマイカのピジン、パトワ英語だったり、アイルランド英語、スコットランド英語など、様々な「方言」が存在します。

ESLの国ではさらに土着の言語と混ざってできたピジンクレオールが多く存在します。

一口にイギリス英語、といっても、RP(容認発音),EE(河口域英語),コックニー方言ヨークシャー方言など階級方言、地域方言も多い。

今あげた英語はいずれも全然違い、同じ英語話者でもこれらの「方言」が違えば通じないことも多いくらいです。

これらのことを踏まえると、果たしてどの英語を勉強すればよいのか、と思いませんか?

外国語としての英語

皆さんの中で、第二外国語として、例えばドイツ語、フランス語、スペイン語、中国語などを選んでいる方は多いと思います。大学2外としてのみ選択した方もいれば、その地域に非常に興味をもって選択し、学習し続けている方も多いと思います。基本的に言語はそれが話されている国や地域、民族の文化の一部を形成しています。外国語を学習する、というのは基本的にはその文化をも学習して理解することだと私は考えています。

例えば、アラビア語ではオスのラクダと、メスのラクダは別の単語であらわされますがこれは多くのアラビア語圏においてラクダが非常に重要だからです。また、日本語ではイカとタコは別の単語ですが、英語では日常会話レベルでは分けられません。寒い地域では巻き舌の発音が多かったり、巻き舌が強かったりしますが、これはできるだけ唇を動かさないで多くの発音を分けるためです。

このように多くの場合単語発音、時として文法に文化は反映されます。

それでは、皆さんはイギリスの文化が好きでイギリス英語を学習していますか?(さらに言うとイギリスの1紅茶などの貴族貴族文化にあこがれてRPを学習していますか?)アメリカの歴史が好きで、アメリカの標準英語を学習していますか??

国際商業語としての英語

国際商業語という単語、聞いたことがある方も多いと思いますし、聞いたことがない方も多いかと思います。国際商業語、というのは、文字通り、国際的(複数の国家間、民族間)に商業、貿易をする際に使われる言葉のことです。

古くはアラム語(内陸)、フェニキア語(海上)が使われていました(B.C.14c前後)。その後、アラビア語ペルシャ語中国語などが各地で国際商業語として使われます。

そして、16世紀になって、スペインとポルトガルが海上覇権を握ったことで国際商業語はスペイン語ポルトガル語になります。

17世紀前半はオランダが海上覇権を握るので国際商業語はオランダ語に。日本で蘭学が学ばれていたのもこのためです(ちょうど鎖国する直前に海上覇権を握っていたのがオランダだったから、他にも理由あり)。

17世紀後半は、オランダ、イギリス、フランスの3つ巴になり、18世紀以降はイギリスが、20世紀中盤からはアメリカが国際覇権を握るのでそれ以降の国際商業語は英語になります。

前章の最後に皆さんはイギリスやアメリカの文化や歴史が好きだから英語を学ぶのですか?と聞きましたが、おそらく多くの人の答えはNoです。国際商業語であるから、というのが多くの人が持つ感覚だと思います(国際商業語という単語を知っていようといまいと)。

単なるコミュニケーションツールとしての英語

内田樹先生の文章の中に、「言語」という鍵カッコつきの言葉がありますが、これはいわゆるただのコミュニケーションツールとしての言語であって、その文化や価値観を内包していない、という意味だと(勝手に)思っています。

皆さんが学習しているのは、単なるコミュニケーションツールとしての英語だと思います。そうしたときに、最初に挙げた様々な英語の中でどれを話すことが正しいとされ、どのような英語を話すと間違えとされる、あるいは直されてしまうのでしょうか?

我々が話すべき英語

私は最低限、ノンネイティブとして標準的な、崩れていない英語を話すべきだと思います。世界にはgoの過去形がgoedの地域もあります。しかし、きちんと学習しているというアピールも込めてwentと言った方がよいでしょう。

結論

自分が英語を話したい目的に合わせて学習すべきです。はい。何となく皆さんが感じていたような当たり前の結論に戻ってきました。しかしこれはみんながみんな、日本の教育でなされるようなアメリカ英語寄りの英語を学習しなくてもいいということです。イギリスに留学行きたいならRPまたはEEを学習すべきだし、外資企業に入りたいならアメリカ英語の丁寧な発音を学習すべきだし、インドに住みたいならインド英語を学習すればいいのです。もしくは、日本でも"Janglish"を作ってしまえばいい(結構この主張をされている研究者の方多いですよね)。日本人が話す日本語に影響を受けた英語だって英語の一種なのです。

もう一つ、自分が発音しやすい英語を学習すればよいと思います。日本人にとってはイギリス英語(おそらくEE)がかなり発音しやすく聞き取りやすい、とよく言われています。

だからこそ、外国語を話すというハードルは全く高くない。自由に話してほしいなと思います。イングリッシュネイティブはノンネイティブや違う地域の変な英語に慣れています。

だから、結局日本の学校教育で教えられる英語とは何かわからないし、とてもつまらないものに感じて嫌いに思ってしまったのです。

英語を学習するなら自分自身による意味付けって大事かなと思います。

長くなってしまいましたが、最後までお読みくださりありがとうございました。登録しなくてもいいねが押せるので、ぜひいいねお願いします。noteやTwitterのフォローもよろしくお願いします!!次回は、8/15に投稿します!!


参考文献

堀田隆一 「hellog ~英語史ブログ」http://user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/index.html



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