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博物館のような小学校

日曜日の朝、コーヒーを飲みながらふーっとひと息していると、ラジオから「今回は、アメリカ・ペンシルバニア州に開校した五感とデザイン哲学が融合した新しい形の小中学校に注目……」と流れてきて、一体どんな学校なのかと気になり、耳を傾ける。

ACROSS THE SKYという番組で、以下はナビゲーターの小川紗良さんが、学校の建築に携わったマイク・コーブさんと、ピッツバーグ子ども博物館のアン・キャレブさんにインタビューした内容と、サイトからの記事を交えてのものになります。

なぜ子どもは興奮して博物館に走っていくのか?


マイク・コーブさんは、主に公立学校の建築に25年関わってきましたが、2つのことに気がつきました。

①「なぜ全ての学校は同じ空間フォーマットなのか?」
その中で、子どもたちは、同時に同じことを同じペースで学んでいくことになります。そうなると、必ず遅れが出てくる子がでてきてしまいますし、すでにわかっている子どもにとっては授業が退屈になってしまう。

もう一つの気づきは、
②「子どもは、博物館には興奮して楽しそうに通うのに、なぜ学校には楽しそうに通わないのか?」
ということです。遠足で、子ども博物館に到着すると、子どもはおおはしゃぎで博物館に向かっていく。これはどういうことなのだろうか?
学校も博物館も、教育という同じ目的があるのにこの違いはなんなのか?

コーブさんは、博物館の中では、子どもは自由に自分が何をするか選択でき、自分の行動をコントロールする自由があるといいます。
つまり、学校の現場よりも先生の介入が少ないことに気づきました。
その観察に基づき、今回携わったアーマンクレスト小中学校のデザインプロセスでは、一番大事なのは自由に遊べて個性を大事にするということを考えました。

アーマンクレスト小中学校のデザイン

教室内やホールに生徒が集まって学ぶことよりも、廊下やグループスペース、壁面など建物の仕掛けによって体験して、五感を使って学べるようになっています。
例えば、教科書をみて暗記が得意な子もいれば、手の動きを使い理解を深める子どももいます。体験型の仕方けにより、自分の特徴に合わせて学んでいくことができます。

運動場には、遊歩道がありカエルやコオロギを探すことができ、日常的に自然に触れられるそうです。

さらに設計の中で工夫された点として、

デザインをする前に、学校の先生、子ども、地元の教会、消防士、警察官、ビジネスリーダーなどの地域のステークホルダーに巻き込んで、「学校での最も印象深い思い出」を聴きデザインに活かしました。
なるべく木目調のもので温かみのあるもの、オープンスペースがありどこからでも日光が当たるよう配慮されています。

先生たちの変化

先生にも大きな変化があったといいます。
アメリカの従来の学校では、先生には自分の教室があって、そこに生徒がやってくるスタイルであり、先生同士お互い何をしているのかを見ることがでませんでした。しかしアムファースト小学校では教室ではなく廊下や壁を使った体験学習を行っていくスタイルなので、お互いの様子がわかり先生同士の協力体制が得られやすくなったそうです。

コーブさんの願いは、
「人生は毎日がハッピーではないし、静かな日もあれば笑う日もある。
大人になった時、課題に対しても怖気付かない人間に育って欲しい」

最後に

空間が学びに与える影響はとても大きいです。
子ども博物館では、見て、聞いて、触れて身体を動かして、学んでいきます。
自分で学びを高めていくためには、自分がわからない問題を「わかる」ようにするプロセスが必要で、動きが乏しい教室の中だけでは行き詰まってしまうこともあります。五感を駆使して学習することは、理解を深めるだけでなく、自身の学習特性を把握することでもあります。成長して博物館のような学校(アーマンクレスト小中学校)の経験を振り返ると、困難に直面した際にも柔軟に対処できる力が身についているでしょう。壁にぶつかった時にしなやかに生きていけそうです。


<参照サイト>


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