【ワケあって】ブータンにバ○ブを送りたい
ブータンで友人がモテまくっているらしい。
ご存知のとおり、ブータンは国民の幸福を最大限にすることによって国全体の幸福を上げていくことを政策の中心にしている国。
国民総幸福量を大切にしていることも相まって(?)重婚を認めている珍しい国でもあります。
しかも
男性だけが重婚を認められているのではなく、女性も複数の夫を持つことができるのだそう。
ブータンの男性は
「魅力的な女性を見たら口説かない方が失礼」
という、意外にもラテン系な思考をお持ちのようです。既婚者であろうが年配者であろうが、異性に対する自分の気持ちを素直に表現するらしいのです。
しかも、夜這い文化があるブータン。
夜這い、と日本語で表現すると、女性にとって少し怖い印象を受けますが、ブータンでは最終的な決定権は女性にあります。
あくまでも男性がジェントルにお誘いし、(当たり前ですが)お互いの合意の上でそういった関係を持つのだとか。
そんな背景もあり、みなさん自由に恋愛を楽しんでいるみたいです。
もちろん、我が親友にも沢山のアプローチがある。
お年頃ですから、素敵な人と出会えたらいいとは思いますが、とても魅力的な我が友の身が心配になったわたしは考えました。
そうだ、バイブを送ろう!
と。
いきなり、なぜ?!
って感じかと思うのですが、女性もホルモンバランスの関係で、肉体的にフワっとしちゃうことってあると思うのです。
今だからこそ性欲は誰にでもある生理的現象だと理解はしているのですが、わたしはかつて、自分の性欲を認めることができなかった故に、痛い思いを沢山しました。
恋をしていると勘違いして深い関係を持って、被害者ぶっていたワケですが、当時のわたしに言ってやりたい!
それは恋愛じゃなく、ただの「性欲」だよ
って。
話を戻します。
ブータンでモテまくっている友人は性的にも自立した女性のはずです。
ジェントルメンなブータン男性からお誘いを受けた際は、自己責任で生きのいいヤツ(生身の男性)を現地調達できるはず。
それなのに、なぜバイブを送ろうと思ったのかと言うと、狭いブータンコミュニティ。村で唯一の日本人、しかも、大きなプロジェクトを担っている彼女が目立たないワケはありません。
もちろん、
割り切って遊ぶのも、好きな人や恋人ができることも賛成ですが、ただでさえも誘惑が多く、
もしも友人が医療設備の整っていない異国の地で性欲を「寂しさ」と勘違いし、後悔する結果を招いたらどうなるでしょうか。
その理由で、やりたいことができなくなったら?
夢が叶えられなかったら??
目標が達成できなかったら???
親友のわたし自身が後悔するっ!!!
つまり、
ブータンにバイブを送るのは、
わたしのためにする行為であります。 ※ 友達は必要としていません
と、いうわけで、
ブータンにバイブを送っちゃおう☆
と、決心したわたしですが、数年前まで鎖国していたブータン。
バイブをブータンに郵送すると言っても、簡単にできるのだろうか?
ブータンの人々は精神的にも人間的にも大変素晴らしいという話は友人から沢山聞いていますが
近代化の進んだ国に比べたら、発展途上国と呼ばざる得ず、(なにが発展で、なにが近代なのか、見方によっては変わってきますが)以前、友人に送ったハガキは届かなかった。
そのハガキは今、どこに行ったのかわかりませんが、所詮ハガキ。
もしもブータンにバイブを送って届かなかったら、いったい誰の手にバイブは渡ってしまうのでしょうか?
しんぱい過ぎる。
いや、しかし
わたしはブータンの小さな村に住む友人にバイブを送りたい!
いや、送るのです!!
さっそく商品を購入するため、色々調べてみることにしました。
女性のためのセルフプレジャー(カッコよく言ってみました)商品を取り扱っているサイトは最近増えていますね。男性向けのサイトに比べ、清潔でスタイリッシュで安全そうです。
ふむ。
色々悩んだ結果、アマゾンでもバイブを扱っていることを発見。個人情報を記入するのが面倒臭いので、アマゾンで購入することにします。
さて、どれにしようかな・・・
グロテスクなのは勘弁してほしい。
スタイリッシュなデザインかつ、安全で健全な商品はどれかな・・・と。
これだ!
と思い、すぐ購入ボタンを押したのですが、ここまでできるようになるまで、わたしは長い年月を費やしてきました。
「ここまで」とは、女性の性を肯定する商品や書籍を躊躇なく購入するまでの道のり、という意味であります。
以前のわたしは、購入した商品情報が宅配業者に知れたらどうしよう?
「ここにハンコ押してください」って冷静な表情で言いながら、色々想像されていたら嫌だ~
とか
購入した商品情報が誰かに知られ、いきなり電話かかってきて脅されたりしないだろうか(古い思考でしょうか?)
とか
とにかく、色々なことを考え、自分を責めたり、恥ずかしがったり、許せなくなったり、色々な感情が渦巻いて、もがいていました。
しかし
女性、
いや
自分の性を認め、己の身体、心と、真剣に向き合ってきたのです(武道みたい)。
自分の偏見や固定観念をその度に見つめ直し、
真面目なエロ本をアマゾンで「これでもか!」というほど購入し、頭の中は常に性に関することでいっぱいの日々を過ごし、ヴァギナに関する小説も書きました。
ここまできて
なにを恥じらうことがありますか?
と、いうわけで、すんなりバイブを手に入れたわたくしは、ブータンにバイブを送るため、イソイソと準備を始めました。
どうやら友人は、(バイブではなく)冬服を欲しているとのこと。わたしの着なくなった洋服でいいらしいので、数着の冬服と食品も送ることにします。
「ブータンの食事はとにかく辛い!」ということで、日本のやさしい粉末状のお出汁や鍋の素。日本の愛すべきグミたち。エビみりんせんべい(わたしのセレクトの良さよ)などなどを購入して、段ボールに詰め込みます。
肝心のバイブには、“クリスマスプレゼント”というメッセージを書き添え、わたしのセーターを梱包用のプチプチ代わりに使って包みました。
できれば今日中に郵送したいわねぇ、と、思い時計を見ると、郵便局が閉まる十五分前じゃないですか!
雨が滴る中、バイブが入った小包を胸に抱え、わたしは走りました。
ブータンに住む友人にバイブを届けたい。
その想いで
走って、走って、走りました。
信号が変わるまでの間が、ずいぶんと長く感じます。胸に小包を強く抱き寄せている右手は雨に濡れてかじかんでいます。
暖房の効いた郵便局に駆け込むと、自分の身体から水蒸気が出ているような気がしました。
「ブータンまで送りたいのですが」
息を切らせ、少し濡れてしまった小包を窓口に持っていくと、国際スピード郵便、EMSが早くて安いと教えてくれました。
さっそく伝票の記入をすることに。
氏名、住所、電話番号をスラスラと記入したわたしの手は、“内容品の詳細な記載”という項目を発見して止まりました。
内容品の詳細?
詳細ってことは、
・ 食品
・ 衣服
・ 書籍
・ バイブ
と、記載するのは、さすがの私でも躊躇します。(大切なことだからこそ、隠す必要がありますよね)
でも、じゃぁ、なんと書けばいいのでしょうか?
しばらく考えたわたしは
“エレクトロニクス”
と、記入しました。
バイブは電気製品ですから、間違っていませんよね?(強めに)
堂々と胸を張り、先ほどの受付に小包と伝票を提出します。
すると、受付の人から更なる質問が。
「エレクトロニクスとありますが、具体的にはどんなものが入っていますか?」
具体的?!
素直に答えたら、真面目そうな受付の人を辱めてしまう気がします。
どうしよう!!!
一瞬のうちに、色々なことを考えたわたしは答えました。
「美顔器です」
そうわたしが答えると、受付の女性はやっと納得した表情で言いました。
「それでは、ここに“美顔器”と、英語で記載して頂けますか?」
女性は親切にも、小さくて古そうな辞書を取り出し持ってきてくれたのですが、この辞書には‘美顔器’と記載されていない気がします。
ここまで詳細を求めてくると言うことは、中身まで調べられる可能性もあります。その場合、美顔器ではなくバイブが出てきたら、わたしはどうなってしまうのでしょうか?
美顔器は英語でフェイシャルマッサージャーだと思うのですが、フェイシャルマッサージャーと詳細に書くことは、色々考えると避けた方が良い気がしました。
もっと、ザックリした単語はないのだろうか・・・。
あれだ!
わたしは咄嗟に思いつきました。
“ビューティー・エレクトロニクス”
そうです。美容電気製品。
ビューティー・エレクトロニクスです!!
咄嗟にそう記載したわたしに、受付の女性が続けました。
「それでは、以下の内容で間違いがなければチェックと署名をお願いします」
女性が指した伝票の一番下には
“内容品は危険物に該当しません。危険物の確認のため、開披される場合があることに同意します”
と、記載されています。
バイブは危険物ではありませんが、確認のため開封される場合があるワケです。
送付先が女性の性に関するあらゆることを禁止している国や文化圏であれば、
逮捕されるのかもしれない!!
しかも、セックスや恋愛をタブー視しているインドを経由して荷物がブータンへ届けられる可能性は非常に高いです。
女性の人権はおろか、ちゃんとした性教育がされていないインドでバイブが見つかった場合、どうなってしまうのでしょうか?(誰か教えてください!)
色々な想像で心拍数が上がってきましたが、わたしが荷物を送る先は女性の重婚も認めている国、ブータンです。
きっと大丈夫。
わたしは自分を奮い立たせ、ブータンへ小包を郵送する手続きを終えたのであります。
その際、郵便物を日本からブータンに送るには、大体四日から一週間ほどで届けられることを聞きました。
四日から一週間。
どのような流れでわたしの荷物がブータンの友人の元に届けられるかわかりませんが、
油断はできぬ。
それからというもの、「片思い中かよ!」と、ツッコまれるほど、携帯をチェックする日々が続きました。
しかし、四日経っても、一週間経っても、小包が届いたという連絡が友人から来ないわけで・・・。
バイブを送る際、内容物の詳細に
“ビューティーエレクトロニクス”
という謎の単語を何度も書き直して記載したため、怪しまれたのかもしれません。
わたしの脳裏には
空港の持ち物検査時のX線調査みたいなところを通され、バイブのシルエットが映ったモニター画像がクッキリと浮かびました(重度)。
あぁ、きっと、インドかどこかの経由地で中身を開封され、バイブは没収されたのだ。
やはり、ブータンにバイブを送るなんて無謀だった。
わたしが諦めかけたその時です。
「小包が届いたみたいだから、週末までには郵便局に取りに行くよ!」
という連絡が友人から届きました。
わぁ!!!
無事届いた!!!
これで夜、ゆっくり寝れる。はぁ~。よかったよかった。
と、肩を撫でおろしていたのも束の間、新しい問題が脳裏に浮かびました。
「郵便局に取りに行く」ということは、まだ友人の手に小包は届いていないわけで、
バイブの入った小包は、友人が住む村の郵便局に預けられているはずです。
なるほど。
なんとなく状況が把握できたわたしは、またしても不安になってきました。
ブータンの郵便局の人が
「おや? ビューティーエレクトロニクスって、なんだろな?」
とか言って、小包を開けてしまうことは、ないのでしょうか?
「ジャパニーズマダムは日本からこんなものを送ってもらっているぞ!」
「今夜アプローチしても、大丈夫なんじゃないか???」
なんてことで、余計モテまくった挙句、村中に変な噂が流れる可能性だってありますよ、これは!!!
いったいわたしは、なんのためにブータンにバイブを送ったのでしょうか。
自分が不甲斐ないです。
そんなことを色々想像し、眠れぬ夜がまた、数日続きました。
友人からは、あれから荷物を受け取ったという連絡がありません。
わたしが想像したような結果を招いているか、勝手にバイブなど送り付けられて、友人を怒らせた可能性もあります。
そりゃ、そうです。
いくら親友とはいえ、バイブなんかもらったところで、色々な感情を抱くのは普通の反応でしょう。
でも、わたしは、なんとしてでも親友にバイブを送りたかった。
後悔しても、仕方ありません。
大切な親友のことを思い浮かべながら、一人コーヒーを飲んでいると、わたしのクリスマスプレゼント片手に、満面の笑みを見せた友人の写真が送られてきました。
あぁ、我が親友よ。
最高だぜっ☆
今までの努力が報われたことに安堵しながら、わたしは荷物が無事届くまで、どれだけ心配したか、友人にいきさつを語りました。
すると
「もしも、ブータンの人がこんなスタイリッシュなバイブを見たら、なにかわからないんじゃないかな? もしわかったとしても、俺のじゃダメなのかな? って、悲しむと思う」
と、友人が言いました。
なんかよくわからないけど、凄い国みたいです。ブータン。
バイブを送るだけなのに、ずいぶんと色々なことを心配したり、不安になったり、感情が揺さぶられました。
そうか。
わたしは日々、女性の性が云々考えたり、話したり、書いていますが、まだまだまだまだ、恥ずかしいみたいなのです。
【仲間募集!】
みんな!!!
人の曝け出しバンジー読んで、ウズウズしてきただろう??
思う、考える、感じる、性、ジェンダーのこと。
一人一人の行動で、世界、そして自分自身が変わるから。
「性」「ジェンダー」を自分なりの表現で、ブチかませ!!
みんなでSAY,セイ,性!!
もし、わたしと同じように性、ジェンダー、女らしさや男らしさについてモヤモヤしている方がいたら、ぜひわたしと繋がりましょう^^
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なにか一緒に出来たらいいな!
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