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フライドチキンとジェット燃料の共通点?

オーダーしたフライドチキンを調理した食用油がその後どうなるか、考えたことがありますか?使用済み食用油とジェット燃料を結びつけて考える人は少数かもしれませんが、今回は航空業界がカーボンニュートラルを推進するための取り組みを紹介します。
 
フェデックスをはじめ航空輸送サービスを提供する企業は、新型コロナウィルス感染拡大中も、医薬品などの輸送需要に応えるため航空機の運航を続けてきました。 需要は増加し、2022年の貨物量は過去最高の6,840万トンに達するとの予測もあります。また、世界各国で水際対策が緩和され旅客便の運航も戻りつつあります。航空業界全体が回復している今こそ、航空機のグリーンな運航方法について考える時です。

持続可能な航空業界、世界の動き

なぜ持続可能な航空機の運航方法を考える必要があるのか、それは、航空業界の商用運航が世界の二酸化炭素(CO2)の2.4%、米国で排出される全温室効果ガスの3% を排出しているからです。一見大した数値ではないように思えるかもしれませんが、国別の排出量に例えると世界第6位のレベルです。さらに旅客数や航空貨物量が今後増加することを考えると、商用旅客機の炭素排出量は2050年までに3倍になるとも言われてます。
 
国際航空運送協会(IATA)加盟の航空会社は、事業活動から排出される炭素を2050年までに実質ゼロにするという目標「Fly Net Zero」を掲げ、この課題に取り組んでいます。例えば、より燃料効率の良い航空機にしたり、運航ルートを見直したり、航空ネットワークを最適化して運航効率を改善するといった取り組みです。 その中でも課題解決の最も重要なカギの一つが、持続可能な航空燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuel)です。SAFは、2050年までに二酸化炭素排出実質ゼロを達成するために必要な排出量削減の約65%に貢献すると試算されているのです。

持続可能な航空燃料(SAF)とは?

持続可能な航空燃料 (Sustainable Aviation Fuel)略して SAFは、革新的なジェット燃料で、航空業界が気候変動に及ぼす影響を軽減するのに重要な役割を果たすと期待されています。 SAFは、そのライフサイクルの期間でCO2排出を最大80%まで削減することができ、既存の航空機エンジンを交換せず、従来の燃料と混合して使用することもできます。SAFは植物や古着、フライドチキンを調理した時の油を含む、多くの原料から生成することができますが、「サステナブル(持続可能)」であるためには、それが食用作物となりえる材料や森林破壊を促進する材料、水を大量に使う原料であってはなりません。
 
2021年のSAFの生産量は1億リットルですが、これはほんの一部の需要にすぎず、持続可能な原材料の入手が困難なこと、精製する技術の改良の必要性などでSAFの供給が不足し、SAFの価格は通常のジェット燃料より数倍高価な燃料です。

日本の連合企業で技術とビジネスの強みを生かし、問題解決に取り組む

日本では複数のプロジェクトが進行中で技術、原料、製造、流通、SAFの利用といったあらゆるステージでSAFに関わる日本の様々な産業のサプライチェーンが技術と革新的な考えを融合し、SAFの国産化実現に向けて協業しています。

2022年3月に設立されたコンソーシアム「ACT FOR SKY」は、国産SAFの利用率が1%未満である日本での事業化、普及、利用拡大を目指しています。ACT FOR SKYの加盟企業は、航空会社、石油会社、エンジニアリング会社、重工業、商社、食品製造メーカー、鉄道会社など多岐にわたり、使用済み食用油などの廃棄物を大規模に回収・リサイクルし、自治体や空港事業者などに参加を呼びかけています。
 
国内大手企業はもちろん、スタートアップ企業や同業他社のライバル企業も手を取り合い、それぞれの強みやノウハウを結集して共通の目標に向かい取り組むコラボレーションは、日本国外にも広がり、 最近では世界的な航空・宇宙関連メーカーがACT FOR SKYに加わり、サステナビリティに重点を置いた研究開発センターを日本に開設することを発表しました。
 
異業種コラボレーションでは、日本企業が植物プランクトンを原料にしたSAFに注目してアプローチしています。航空機メーカーや航空関連会社と共に、日本で初となるSAFを使用したヘリコプターの飛行実験を行ったほか、地方の航空会社や旅行会社と協力し日本の離島を巡るサステナブルな豪華パッケージツアーの企画も行っているようです。
 
今後数年でSAFに関する革新的なパートナーシップが増えてくると見られ、日本企業の技術力やコラボレーションにより、国内外で持続可能な航空業界の未来に大きく貢献できるチャンスであるとも言えます。

サステナビリティとフェデックス

大企業から個人の消費者まで、私たちは皆、環境を保護するという点で誰もが役割を担っています。今後運送会社を選ぶ際には、配送物を環境に配慮した方法で運ぶことができる会社を選ぶことを検討してみてください。
 
フェデックスは、2040年までにカーボンニュートラルな輸送業務を達成するという目標の一環として、使用している燃料の30%を代替燃料に置き換えようとしており、すでに木材廃棄物から生成されたバイオ燃料を使用しています。 持続可能な未来を実現するためのフェデックスにおける最新の取り組みについては、FedEx ESGレポート(英語)でご覧いただけます。
フェデックスは皆さんと共に取り組んでいきます!

このコンテンツは英語版FedEx Business Insights の抄訳版です
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