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人事院公務員研修所|初任者研修を実施しました

『自分の肩を大きく開いて胸を張る。目を見開いて会話する相手との距離を一歩縮めてみる』『肩と背中を丸める。喋りながら身体のどこかを触り、できるだけ早口で喋ってみる』

こうして自分の体を意識的に変えてみると、身体に影響されて自分の気持ちが変わったり、口から出てくる言葉が変わってきたり、勝手にキャラクターが出来上がってきます。

自分の性格で言動が決まっていると思いがちですが、実は身体がもつ影響力は大きく、他者との関係性にも関わってきます。そんな身体の仕組みを、理論ではなく実践で発見していく研修となりました。

研修概要
対象:全省庁の総合職に新規採用されたみなさま
人数:116名(30名ごとチーム分けし、別々に実施)
講師:各チーム1名・アシスタント2名
時間:2時間30分

参加する研修員の現在と未来に繋がる研修にしたい

今回参加したのは、各省庁で採用された総合職の方々。広く国民の利益や社会の発展に繋がる政策をする皆様です。その皆様にとって、どんな研修であれば有意義なものになるのかを考えました。

伺った研修員の特徴や業務の内容としては、

  • 入省1年目から国会答弁の対応をしたり、施策を実施していくために政治家の皆様に説明にあがったりと、緊張度の高い業務をこなしていく

  • 2年目3年目には、チームのリーダーとして部下を引っ張っていくような仕事にもすぐに従事することになる

  • 器用な方が多く、講師の意図を先回りして読み取り、期待通りのことを返してくることが多い

これらの特徴や将来の業務内容を踏まえ、大学生から社会人になる上での心構えやマインドを習得していく以上に、明日からの仕事に活きる、かつ将来にも役立つ、ヒントになるような研修にしていくことを目指しました。

その結果、レッテルとステイタスを基盤にした研修となりました。

身体→心への影響
『ステイタスを学び、自信や勇気を身体から作り出す』

重役がたくさん並ぶ会議に説明に行かなくてはならない。
自分の提案する施策を"良い"と思ってもらわなくてはいけない。
知らない方がたくさん集まる会食で挨拶をして回らなければならない。

こんな場面ではなくとも、自分が緊張したり萎縮したりする機会を、誰しも1度ならず経験したことがあると思います。そんな時「自信を持とう!」「自分は大丈夫」といくら心で唱えても、その通り自信が湧いてくることはほとんどありません。
萎縮している時は萎縮するだけの理由があるので、気持ちだけでどうこうしようとしても、なかなか難しいのです。

そんな時は、身体の形を「自信のある人」の形に意図的に変えることで、心への影響を作り出していくことができます。

今回の研修では、「ハイステイタス(自信のある人)」と「ローステイタス(自信のない人)」の身体の形や挙動をお伝えし、その形で人と関わることで、自分の心や行動にどんな影響が出たのかを発見してもらいました。

ハイステイタス
「自信が出て、相手に自分のことをどんどん話してしまった」
「この場は自分が仕切らなくてはいけないな、と思った」
「相手の目を見ることって普段そんなにやってないんだなと思った」

ローステイタス
「相手に近づいてこられてすごく嫌だった」
「相手がどんどん喋るから、話す機会なくずっと頷いていた」
「卑屈な気持ちが生まれて、相手の言ってることを拒否したくなった」
「ハイステイタスの人たちが怖く感じた。ローの仲間に安心してその人たちとずっといた」

他にも、普段の自分の癖や相手にどのような印象を与えているのか発見した方もいました。

「普段自分はハイステイタスで、相手のパーソナルスペースにどんどん入っていく。もしかして、相手は嫌だったかもしれないと思った。
「ローステイタスの人とは、なんだか話しづらい感じがした。気を使ってしまった。」
「普段はハイステイタスだが、ローステイタスになる感覚もあった。自分があまり良くない状態の時は、ローステイタスの身体になっているかもと思った。」
▼みんなの前に出てきて、ローとハイ両方で挨拶をしてくれたAさんを見ていた人の感想
「ハイステイタスの時、入ってきた瞬間に自信があるのがわかって、みている側も期待が持てた。おっ!という気持ちになれた。ローステイタスの時は期待できず心配した。かなり違った」

身体を変えることで自分の心に影響があることや、外から見て印象が変化することに驚きと発見をした研修員の皆様でした。

心→身体への影響
『レッテルを学び、自分の捉え方が世界を作ることを知る』

何をやっても完璧でスーパースターのような先輩
いつも自分のことばかりで協力する気持ちがない人
事務作業はすごく得意だけど、気分のムラが激しい人

人は心の中で、相手をどんな人なのか、自分はどんな人間なのか、というレッテルを貼って見ているものです。しかし、人にはいろんな面がありますし、人は徐々に変化していくもの。本当は、今日の自分と明日の自分では違うはずです。

レッテル(相手をどう見ているのか)を貼ることで、固まった視点でしか見えなくなってしまいますし、実は自分の行動も変わってきます。あなたも、"ムカつく"と思っている人に対する自分の言動と、"好きだ"と思っている人に対する自分の言動では、全く違うものが出てきていませんか?

"ムカつく"と思っている人に対する自分の否定的な態度で、また相手の"ムカつく"行動を引き出しているかもしれません。このように、レッテルがあることでどんな影響があるのか。自分の身体にはどんな影響があるのかを、体験してもらいました。

▼先輩役が後輩役に「ダメな後輩」とレッテルを貼って接してもらったあと、後輩役が相手の印象をフィードバック
「ひとつひとつの反応が悪くて、調子が悪いのかと思った」
「丁寧に指示をしてくれて、真面目な人だと思った」
「自分のことを全然信頼していない人だと思った」
「自分がダメな奴だとわかっていなくて、どんどん仕事しようとするからモヤモヤした」

▼後輩役が先輩役に「すごいな先輩」とレッテルを貼って接してもらったあと、先輩役が相手の印象をフィードバック
「どんどん質問してくれて、積極的な子に見えた」
「自分を慕ってくれていて、可愛い後輩だと思った」
「気を使われすぎていて、なんだか居心地が悪かった」

相手をどう見ているのかによって自分の態度が変わり、その態度によって相手に与える自分の印象が変わってきます。結果、関係性が生まれて固まっていくのです。

なんだかうまくいってないな。この関係嫌だな。と思った時に、「相手をどう見ているのか」というレッテルを変えてみる。レッテルによって出てきている態度を意図的に変えてみる(例:目を見て挨拶する)ことで、固まった関係性に変化を与えることが往々にしてあります。
このレッテルによる影響を知っているということは、それほど日々の生活に影響を与える可能性があると考えています。

最後は、小手先のテクニックを超えて、全力で相手と関わる体験を

ここまでレッテルやステイタスといったテーマを扱っていきました。しかし、この学びはともすれば、理論的で小手先のテクニックになってしまいやすい面も孕んでいます。

フィアレスの研修で大切にしていることは、現実の世界で強くしなやかに進むことができるようになることです。時には理論やテクニックを超えて、がむしゃらに全力で取り組むことが大事だと考えています。

2人組になって、片方が目を瞑り、もう片方が名前を全力で叫ぶ。その声のする方へ辿り着くまで歩いていくというワークを行いました。

真っ暗な中で歩くことはとても怖いですし、15名ほどが一斉に名前を叫んでいるので、自分の名前を聞き分けることは簡単ではありません。その中でも、なんとか辿り着こうと歩みを進めること、たどり着いてもらおうと全力で名前を叫ぶことが繰り広げられている空間は、エネルギーで充満します。出会った時の感動もひとしおでしょう。

原始的な体験やそれによる感動を味わえる場は、どんどん少なくなってきています。だからこそ、このような体験をしてもらえるよう、プログラムに組み込んでいます。

「心が通じ合った感覚を得られました。」
「自分の名前がどこで呼ばれたかわからない状態だったが、途中ではっきり聞こえて一気に不安がなくなりました。」
「途中で自分の名前が聞こえなくなり絶望しかけたが、最後まで諦めなかったことで辿り着くことができた。諦めないことって大切なんだと思った。」
「初めに聞こえた方に行こうとしつつも、不安で決められず真っ直ぐ進みました。結果的に初めに聞こえた方が正しかったので信じればよかった。優柔不断さを感じた。」

担当者インタビュー公開中

今回の研修について、研修担当のお二人にインタビューを行っております。より詳しくフィアレスの研修をお知りになりたい方は、こちらからご覧ください。




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