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東海林さだお(1937.1.30- )『ゴハンですよ(だいわ文庫)』 解説スズキナオ 大和書房 2020年10月刊 288ページ

東海林さだお(1937.1.30- )
『ゴハンですよ(だいわ文庫)』
解説スズキナオ
大和書房 2020年10月刊
288ページ
https://www.amazon.co.jp/dp/4479308350

「東海林さだお氏のこれまでのエッセイ作品の中から、「ゴハン」をテーマにした選りすぐりのエッセイを1冊にまとめました。」

「ショージ君による、「ゴハン」をテーマにした選りすぐりのエッセイ集。「日本人の主食である白いごはんをいかにして食べるか」ということについてあらゆる角度から考察しました。

われわれ日本人にとって、自炊をするということはつまり、白いご飯の食べ方を考えること。自炊の機会が増え、その楽しみやたいへんさについて日々考えを巡らせる人へ送る、笑いと共感のエッセイです。」

【目次】 付記 単行本書名・刊行年
1章  ゴハンの食べ方 編
大冒険 梅干し一ヶで丼めし 10 『タクアンの丸かじり』1991.11
ふりかけの実力は? 17 『ホットドッグの丸かじり』2005.5
卵かけごはんの美味 23 『パイナップルの丸かじり』2007.2
目玉焼きかけご飯 29 『コロッケの丸かじり』2007.9
うまいぞ猫めし 35 『猫めしの丸かじり』2000.10
What's? 汁かけ飯 41 『タクアンの丸かじり』1991.11

2章 ゴハンのお供 編
おかずは鮭か納豆か 50 『キャベツの丸かじり』1989.1
白菜のお新香の葉っぱのとこ 57 『猫めしの丸かじり』2000.10
ヒーハの究極 63 『駅弁の丸かじり』1993.11
納豆・ネバこそ命 70 『ナマズの丸かじり』1991.3
海苔の醤油は内か外か 77 『マツタケの丸かじり』1995.11
塩っぱいタラコ 84 『ダンゴの丸かじり』1997.5
海苔の一膳 90 『スイカの丸かじり』1996.8

3章 ゴハンの文化 編
ごはんのヘンテコ食い 98 『アンパンの丸かじり』2012.3
かっこむ人々 104 『焼き鳥の丸かじり』2017.11
おかゆ物語 111 『ナマズの丸かじり』1991.3
パエリヤ旨いか 118 『ホットドッグの丸かじり』2005.5
さあ、手づかみで食べよう 125 『ヘンな事ばかり考える男 ヘンな事は考えない女』2002.2
秘伝「技あり」炒飯のコツ 141 『タコの丸かじり』1988.6
フライ物の正しい生きかた 148 『タコの丸かじり』1988.6
丼物について 154 『ショージ君の時代は胃袋だ』1985.9 「男の分別学」シリーズ第2冊
ニッポン自炊旅行 170 『花がないのに花見かな』2011.4
ショージ君の青春記 184 『ショージ君の青春記』文藝春秋 1976.10 書き下ろし 巻末「漫画行商人」から抜粋

白メシ対談
僕らはカレーライスの中の肉が、ただひとつの肉だった
(東海林さだお×椎名 誠) 193
『人生途中対談』 文藝春秋 1996.10
『シーナとショージの発奮忘食対談』 文春文庫 1999.9 に再録
初出『男たちの真剣おもしろ話』角川文庫 1985.1

4章 おにぎり 編
おにぎりの憂鬱 222 『パンの耳の丸かじり』2004.11
おにぎりは左手で 228 『目玉焼きの丸かじり』2014.10
「おかかは6位でいいのか」 234 『目玉焼きの丸かじり』2014.10
懐かしき味噌おにぎり 240 『スイカの丸かじり』1996.8
おにぎり解放運動 246 『おにぎりの丸かじり』2008.3
塩むすびの味 252 『タヌキの丸かじり』2000.4

5章 お弁当酒 編
懐かしの海苔だけ海苔弁 260 『いかめしの丸かじり』2010.6
弁当箱を振り回す男 266 『アンパンの丸かじり』2012.3
弁当の〝跡地〟 272 『目玉焼きの丸かじり』2014.10
運動会のお弁当 278 『ワニの丸かじり』1990.6
解説 スズキナオ(ライター)

「運動会のお弁当」全文
https://book.asahi.com/jinbun/article/13795341

2020年11月27日読了

1937年10月30日生まれな
東海林さだおさんのアンソロジー
(エッセイ33篇と対談・椎名誠)
がまた出ました。

今回も、「本作品は
『週刊朝日』に連載中の
「あれも食いたいこれも食いたい」、
『漫画読本』(文藝春秋)に連載された
「ショージくんのにっぽん拝見」、
『オール讀物』(同)連載中の
「男の分別学」、
書籍『人生途中対談』(同)に掲載された著者のエッセイ及び対談を再編集したアンソロジーです。」
と奥付にあり、各篇の初出を、
何故、編集者は読者に知らせないんだ! 
と腹を立てながら、

http://oisiso.com/html/literature/marukaziri.html
丸かじりシリーズ一覧  レシピサイトぷちぐる

http://www7a.biglobe.ne.jp/~toku-cafe/bunko(2).html
「食」に関する文庫本紹介

を、ブラウザの検索機能でチェックしながら、
読み終わりました(ほぼ全部再読三読以上!)。

東海林さだおさんが、
何年に、
何歳の時に、
どんな事件があった頃に、
発表した文章なのかを、
読者に知らせるのが
編集者のなすべき仕事だと私は思います。

各篇末尾に初出を記載したって、
ページ数が増えて本の値段が上がる訳ではないのですから。


「大冒険 梅干し一ケで丼めし
 飽食の時代と言われて久しい。そのアンチテーゼとしても、この試みは、時代にマッチした冒険と言えると思う。

 目の前に、ホカホカと湯気をあげる丼一杯のゴハンと冷えびえと小皿の上に横たわる一個の梅干しがある。なんだか日本人の血がさわぐ。

 一口め。箸の先に、ゴマ粒ほどの梅干しをけずりとってゴハンの上にのせて口に入れ、三十一回噛んで飲みこむ。むろん、一口分のゴハンに対する塩気としてはまことに不十分である。一口分のゴハンの片隅に、かすかな塩気を感じるだけだ。しかし、その分、ゴハンそのものの味を十分味わうことができる。

 不思議なことに、つらい、という気持ちにはならない。むしろ、一種のさわやかささえ感じる。

なにしろ、(次のおかず、何いこうか)という迷いがない。ふだんの食事は、この迷いの連続であるが、この食事は、(梅干しの次は梅干しで、その次も梅干し)なのだ。(このあたりで、違うおかずが欲しい)とも思わない。このへんが梅干しの実力と言えるのかもしれない。結局この冒険は大成功をおさめたのである。」

「おにぎりの憂鬱
人々はおにぎりをどのように食べているのだろうか。ゴハンと、中心にある具を、どのように配分しながら食べているのだろうか、ということである。

おにぎりは中心に具、周辺にゴハンという構造になっているため、最初の一口には具が含まれない。歯の先が具のところまで届かず、ゴハンだけの一口となる。ぼくはこれが嫌なのです。

二口目あたりから、いよいよお楽しみの”具含有期”に入るわけだが、ぼくにとってはここでも問題が発生するのだ。それは”一口分のゴハンに対する具の適量問題”である。最初に書いたとおり、中の具はゴハンに包まれて見えない。したがって、一口分のゴハンに対する具の適量を選択できない。

その結果、「いまの一口はシャケの量が多過ぎた。残念」とか、「いまの一口はタラコの量が少な過ぎた。用心が足りなかった」などの、一口ごとの不平不満が発生することになる。具を目で見えるようにする方法もある。二つに割って食べる食べ方である。せっかくのおにぎりがなー。

ぼくにとっておにぎりは、無念と残念と用心とおそれと後悔と憂慮の食べ物なのだ。」


「梅干しの跡地。少し窪んでいて、少し赤く滲んでいる。梅干しを食べたあとの跡地。ちょっとだけ塩(しょ)っぱく、ちょっとだけ酸っぱく、梅干しの匂いも少し残っていてこの跡地はおいしい。

弁当を食べるとき、ぼくはいつもこの跡地を大切に思いながら食べている。

若山牧水の短歌に、
かたはらに秋ぐさの花かたるらく ほろびしものはなつかしきかな
というのがあるが、ぼくは弁当の梅干しの跡地を

かたはらにシソの葉の色かたるらく ほろびしものはなつかしきかな
と思いながら食べている。」
p.270「弁当の〝跡地〟」

かつて文学青年だったショージさんについては、
https://note.com/fe1955/n/nf8e46ae0caf5
「東海林さだお+平松洋子 西荻くんだり」
『COYOTE No.57 平松洋子 本の丸かじり』
スイッチパブリッシング
2015年11月15日発売
をご覧ください。

読書メーター
東海林さだおの本棚(登録冊数109冊 刊行年月順)
https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091206

『週刊朝日』1987年連載開始
「丸かじり」シリーズは
全冊(45冊)読んでいますけど(再読三読以上もあり)、
『オール讀物』1970年連載開始
「ショージ君の東奔西走」~「男の分別学」シリーズの
登録はまだ12冊です。

読書メーター開始(2009年9月)以前に何冊も読んだけど、
何を読んだかは未確認です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/東海林さだお
でチェックしなければ! と数年前から思いながら、出来てません。

我が家のささやかな書庫(書架19連)にある
東海林さだお本のリストはエクセルで作成済。

東海林さだお所蔵一覧
(71冊 単行本刊行年月順 2020年10月3日作成)
https://www.facebook.com/tetsujiro.yamamoto/posts/4494342367307034

昨日は、我が家にある東海林さだお本のリストをエクセルで作成しました。 読書メーター 東海林さだおの本棚(登録冊数74冊 刊行年月順) https://bookmeter.com/users/32140/bookcases/11091206...

Posted by 山本 鉄二郎 on Saturday, October 3, 2020


https://note.com/fe1955/n/na707f7822d01
東海林さだお(1937.1.30- )
『週刊文春 お正月スペシャル号
丸ごと1冊タンマ君! 文春ムック』
表紙・和田誠
文藝春秋 2015年1月1日発売
194ページ

https://note.com/fe1955/n/nf8e46ae0caf5
東海林さだお(1937.1.30- )
平松洋子(1958.2.21- )
「西荻くんだり」
「創作とショーバイ」
『COYOTE No.57
特集 平松洋子 本の丸かじり』
スイッチパブリッシング
2015年11月15日発売

https://note.com/fe1955/n/na1b4228390c5
東海林さだお(1937.1.30- )
『ひとりメシ超入門(朝日新書)』
朝日新聞出版 2020年2月刊
312ページ


https://note.com/fe1955/n/nbcc8f8e1c48f
東海林さだお(1937.1.30- )
『ひとり酒の時間 イイネ! (だいわ文庫)』
解説 新久千映
大和書房 2020年7月刊
288ページ


https://note.com/fe1955/n/nc2876051f259
東海林さだお(1937.1.30- )
『東海林さだおアンソロジー
人間は哀れである(ちくま文庫)』
平松洋子(1958.2.21- )編
筑摩書房 2021.12
384ページ

https://note.com/fe1955/n/ne8719ab5e759
東海林さだお(1937.1.30- )
『自炊(ソロメシ)大好き!(だいわ文庫)』
大和書房 2022年9月刊
288ページ

https://note.com/fe1955/n/na7a9bc9747ac
東海林さだお(1937.1.30- )
『ショージ君、85歳。老いてなお、ケシカランことばかり』
大和書房 2023年1月刊
224ページ



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