見出し画像

簡単な女が愚かに好きを配り続ける




わたしには好きな人が多い。

ほのかな恋愛感情を片手では数えられないくらいの人数に感じている。

一線を越えたことはない。ただただお出かけする仲だ。


車道側を歩いてくれる。会話が盛りあがる。そんなささいなことで少し期待してしまうんだから愚かなものである。

大人の嗜みや気遣いだというのに、少しちやほやされた気分になってしまうのだ。


周りの人たちは誠実で、ひとりの人を好きになれるらしい。

相対的にわたしが不誠実になってしまうから吐露できたことはない。


好きな人が多いことはだめなのだろうか、悪なのだろうか。

人に言えたことがない時点で、無意識にわかっているのだろう。


そのくせ恋愛感情を向けてくる人は苦手だ。

逃げたくなる。

気持ち悪く感じてしまうのだ。

性的な目で見られることが苦手なのである。


少しだけ好きで、ほどけそうなくらいの繋がりがちょうどいいのだろう。

表面のおいしい部分だけ味わって、大切な苦い部分は避けていく。

そんなんだから少しだけ好きなんだよ。

胸が焦がれるような恋愛なんてしたくない。リスク背負いたくない。もう傷つくなんてこりごりだ。


そうやって自分の好きをいろんな人に分ける。

すぐに人を好きになっちゃ変なのかな。

いろんな人を好きなのはおかしいのだろうか。

わたしが簡単なだけ?


きっとまだ変わらない。

軽いだとか簡単だとか言われても好きを配るのだろう。





日常からそっと逃避行する時間に使わせていただきます。