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雨の洗濯、やって来た夏





地球の重力が集中しているような雨。
雨晴れ兼用の折り畳み傘では頼りなく、足元はどうもおぼつかない。あっという間に背中まで冷たくなった。


なんとか飛び乗る電車は今日に限って寿司詰め状態で、思うように動けない。身を捩ってバックから出した小説は上下が濡れていてげんなりした。





「お友達になってくれませんか?」と連絡先を渡す。
我ながら不器用すぎる。初めて言ったよ。
でも多分、今日を逃したら、きっと、もう会えない。

相手は「下の名前で呼んでね。」なんてにこりとして、大人の余裕を垣間見た。

違う人をおすしに誘ってみる。回るやつ。
特にえんがわが大好きらしくて、何皿もえんがわを頼むらしい。
その光景見たいな〜と思って誘ってみた。
その人の前にずらりと並ぶえんがわを早く見たい。あとおすし食べたい。





帰りはたまたま電車のはしっこの席に座れて、落ち着いて小説を読む。
ぱっと顔を上げると、座席は隙間が空いていて、空は薄い水色やオレンジが混じったグラデーションになっていた。
座ってる人たちのほとんどは窓の外を見てぼーっとしていて、真似してみたら遠くの空に浮かぶ入道雲。



ようやく夏が来たって気づけたよ。
年々季節の変わり目に気づくのが遅くなっていく。鈍くなる感覚。
空気読んでばかりだとしんどいね、たくさん触れないとね。




今年はどんな夏にしようか?
暑いの苦手だから、楽しみを用意しておこう。
久しぶりに実家で花火したいなあ。

雨が洗濯してくれたのかな?ってくらいすっきりした日だったから描いてみた日記。


日常からそっと逃避行する時間に使わせていただきます。