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居室とは?建築基準法第2条第一項第四号

建築基準法で定める「居室」について、完璧に理解していますか?

はじめに

fcamです。
この記事を読んでくださり、ありがとうございます。

まだこの記事を読まれていない方は、先にこちらを読んでいただけると幸いです。

さて、今回は「居室」についてです。

居室と非居室の違いについては、建築業界で働く人であれば常識中の常識かもしれません。

では、ここで一つ確認します。

居室・非居室は設計士が決めるものである。

この文を読んで、違和感を覚えましたか?

確かに実務上、ここは居室でここは非居室だから・・・と設計士が法規と比較して図面を書き上げていきます。

ですが、この居室・非居室について本当に設計士の判断だけで通るわけではありません。

違和感を覚えなかった読者は、この記事を読んで再度確認していただければと思います。

また、
・そもそも居室ってなんだっけ・・・。
・居室の種類がうろ覚え・・・。
・居室・非居室は設計士が決めるものじゃないの・・・。

この疑問を解消していきます。

今回は主に、建築基準法第2条(用語の定義)の「居室」について解説していきます。

順序立てて説明していきますので、順を追って読み進めてください。

・そもそも居室の定義について知識が曖昧。
・該当する居室の種類がうろ覚え。
・居室か非居室か、なぜ曖昧と言われているのかがわからない。

こんな状態から

・居室の定義を理解する。
・具体的に居室、非居室の違いと決め方について理解する。
・居室になると追加される関係法令を知る。

ここまでできるように、この記事で勉強しきってください。

それでは本題へどうぞ。

※この記事は「建築法規学習者」向けの記事です。
※○分程度を目安に時間を頂戴します。

4.章跨ぎ

1.法文と要約

建築基準法第2条第一項第四号より

居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう。

居室=継続利用する室
非居室=居室以外の室

たったこれだけです。

ちなみに、「居室」は建築基準法第2条第一項第四号により定義されていますが、「非居室」についての建築基準法の定義は存在しません。

「継続的に利用するかどうか」を念頭に入れて比較すると、違いを理解することができるでしょう。

建物と居室の一般的例を示します。

住宅
→居間、食堂、寝室、書室、子供部屋など

学校
→教室、音楽室等特別教室、体育館、職員室など

病院
→病室、診察室、控室、ナースステーションなど

事務所
事務室、応接室、守衛室、休憩室など

用途によって、さまざまな居室があることがわかるでしょう。

美術館、店舗、博物館、工場など・・・

他にも建物によって、居室と判断される室は山ほど存在します。

反対に、非居室の一般的例を示します。

玄関、廊下、階段、浴室、便所、押し入れ、倉庫、機械室、給湯室、用具室、自動車車庫、リネン室など

継続利用する室を「居室」、継続利用しない室を「非居室」。

これで理解できたと思います。

4.章跨ぎ

2.ポイント

くどい様ですが、継続利用するかしないかで居室かどうかを判断します。

たったそれだけですが、難しいのは「この部屋は居室なのか、非居室なのか」の定義が曖昧なことです。

裏を返せばどれだけ非居室っぽい名称でも、その建物で想定されるその室の使い方が継続利用されると判断される場合は居室になる可能性もあります。

居室と判断されると、さまざまな制限がかかるため設計上骨を折る羽目になります。

そのため、よっぽど居室であると判断される室以外は「非居室で通したい」と思うのが設計事務所の本音です。

そこで登場するのが、申請先である建築主事または指定確認検査機関です。

確認申請を行う前に事前に確認し、居室として扱われると判断された場合は各基準を満たした室に設計しなければなりません。

「居室か、非居室か」

これはその建物を利用する人が最低限守られるべき衛生上・安全上必要な条件をその室に付すべきかどうかという問題に関わるため、あまり蔑ろにもできません。

設計士が簡単に決めていいものでもないことが理解できますね。

4.章跨ぎ

3.具体例

頭の体操程度に建築設備かどうかを判断していきましょう。

・飲食店の厨房
・住宅の便所
・病院の車庫
・スーパー銭湯の浴室
・スーパー銭湯の更衣室
・学校の廊下
・住宅のキッチン
・ホテルのロビー
・工場の作業スペース

この中で居室に該当するものはどれでしょう。



〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜 ・ 〜
正解は

・飲食店の厨房
・スーパー銭湯の浴室
・スーパー銭湯の更衣室
・ホテルのロビー
・工場の作業スペース

でした。

その部屋に対し「明らかに無人の時間が長い」と判断される部屋は非居室と判断されます。

これで居室の見分け方がわかりましたね。

4.章跨ぎ

4.関係法文

もし居室になった場合、採光・換気・排煙・避難等の検討が必要になります。

もちろん、上記に挙げた項目以外にも居室に付す制限は存在します。

天井の高さ、避難規定など・・・

勉強のおすすめとして、建築基準法が記載されているページのサイト内検索で「居室」と検索してください。

実際に使用されている法文を確認し、内容を読み込むことで「居室」に対する制限の多さが理解できると思います。

e-Gov法令検索

ぜひ試してみてください。

4.章跨ぎ

おわりに

お疲れ様でした。

・居室の定義について知識が曖昧。
・該当する居室の種類がわからない。
・居室か非居室か、なぜ曖昧なのかわからない。

こんな状態から

「1.法文と要約」
居室=継続利用する室
非居室=居室以外の室
であること、その一般例を把握する。

「2.ポイント」
部屋名で居室非居室が決まるわけではなく、使用目的によって決まるため、申請先である建築主事または指定確認検査機関に確認が必要であることを知る。

「3.具体例」
居室・非居室の見分け方について、実例を用いて確認する。

「4.関係法令」
居室になると該当する関係法令の調べ方を知る。

この工程を踏み、目的である

・居室の定義を理解する。
・具体的に居室、非居室の違いと決め方について理解する。
・居室になると追加される関係法令を知る。

ここまでできるようにまとめさせていただきました。

全て理解できましたでしょうか。

読者の皆様が、この記事を役立てていただけると嬉しく思います。

人間の記憶は曖昧なものです。

どんなに初歩的なことでも、時間が経てば忘れてしまいます。

もし忘れてしまった場合、再度確認しにこの記事を役立ててください。

忘れてしまったことを開き直り、不足した知識を補っていきましょう。


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