恋人の御家族にご挨拶してきました~後編~
初めてお邪魔した恋人の実家でロデオマシーンを乗りこなした思い出はコチラです。
『お母さまとも一度お食事がしたい』という発言はどうやら本気と書いてマジでしたようで、お母さまにはちゃんと話してくれたのか?と、ご両親からタミオ君に確認があった模様。
母には話したし、嫌がっていた。
母はかしこまった場所がとても苦手だ。
仕事以外で人と関わろうとしないし、出かけることもない。
着ていく服がないだの、お金がないだの、払ってもらうのは嫌だの、時間がないだのと理由を並べて断ろうとする。そんな理由通用しないよ、っていうことを本気で言う。
服はあるし、お金は出すし、「母がやりたいと思っているだけで本来やらなくても大丈夫なこと(主に娘や孫の世話)」を手放せば、時間なんていくらでもある。
妹たちが嫁に行く過程でもそんなことは度々起きていたが、必要以上の文句を垂れ続けることを我慢すれば、結果的に娘の将来に関わることなので結果的には参加してくれる。
だから
母に意見を求めても無理だから、こっちで決めちゃって 参加を依頼する形にしたい
と伝えた。
『でも、そもそもこういうことって結婚する時だよね・・・?』
と言うタミオ君に
まぁ、そうだと思うしそうかもしれないんだけど、その前に・・という前置きで考えていることを伝えた。
***
今回ご挨拶には行ったものの
本当に単なるご挨拶というか、何なら近所で知り合いに遭遇した時の【ご挨拶】と変わらないレベルで
何しに行ったんだろう という気持ちがほんの少し頭の片隅にあった。
確かに住む家が決まったわけでも、結婚の予定を具体的に考えているわけでもない。
でも我々はもう40目前の大人で、高校生同士の交際じゃないんだから、ちゃんとその意思があることを、伝えるべきだったんじゃなかろうか。
子宮に疾患が複数あって
年齢的なリスク以上に妊娠率が低いことや流産率も高まること
治療のために飲んでいるピルを
妊活を目的にやめるのか、妊娠を諦めて完全に生理を止める薬に変えるのか、決断に迫られていること。
二人で何度も話し合って、子供は作らない(薬を変える)方向で考えていること。
いくら大人同士の交際だとは言え、わかっているのに伝えないのは、どうしても私の中でモヤッとボールが投げきれない要因でもあった。
なんだか、ほんの少しタミオ君の中で
他人事に感じているように思えてしまって
これでいいのかな、って思いながらも
今 顔が見えない状況で問い詰めたところで、相手の反応もわからないし
メンタルが落ち込み気味の夜にそういう話をしても、自分が辛くなるだけなのはわかっていたから
これ以上今は話したくないな、って思ってしまって
極力相手の意思を尊重しつつ、自分の意見は伝えて
結論を先延ばしにする方向で 話を終えた。
*****
すると翌朝、こんなメッセージが届いていた。
※午前中一緒に内覧に行ってたことをご両親は知っていて、感想を聞かれたタイミングがあった。
こういうとこだよな、この人の良い所は。
時間がかかっても、ちゃんと考えてくれる。
そして、それをそのまんま言葉にしてくれる。
結果的に、私が言いたかったことや聞きたかったことを、自分で導き出して伝えてくれる。
子供を作らずに薬を変える、と二人で決めた時
タミオ君はご両親に
『俺から先に話しておくね、その方が言いやすいよね』と言ってくれていた。
当日行きの車で
実はまだ話してないって聞いた時、出張続きだったからと言って 話すチャンスがなかったわけではないだろうな…ってどこかで思ってはいたけど
大事な話はちゃんと直接話したいという、我々の中でも確率しているルールが もし家でもあるんだとしたら仕方ないな って言い聞かせていたところもあった。
初めてお会いできたご挨拶の日に、あんまり暗い雰囲気にするのも嫌だったし、その場で私が何もかもを話すというのも、相手を立てていないみたいで失礼になる気がしたし
事前に話していなかったことについては責めることもなく、その上で私から伝えた方がよいかどうかを行きの車でタミオ君に相談して、こっちからは言い出さないことに決めた。
言わないでおく理由はいくつもあった。
それでも、言わなかったことを 心のどこかで後悔してた。
子供を作らないという選択をしたことの発端を考えれば
結論を出した「理由」は二人で決めたとしても
その「原因」は全て 私 にある。
私自身も自分の家族に まだ薬を変えることにした という結論を伝えてないけれど、自分の家族は私に原因がある以上文句は言えないと思う。
『可能性を潰すことに対する意見』はあるかもしれないし
私自身もその言葉を聞くのが怖いから 言いづらい、というのもある。
タミオ君にとっては 交際当初から理解・了承してくれていることかもしれないけど、タミオ君の家族にとっては 寝耳にウォーターであって
ある程度年齢的なリスクが既にある以上 過大な期待はしていないにしても、残念な気持ちにさせてしまうことは間違いないだろうから
家族が悲しむかもしれないことを、言いづらいのはタミオ君も同じだろうな。きっとそれで言えなかったんだろうな って やっぱり考えてしまう。
やっぱり
結婚や妊娠や出産の、一般的に おめでたい とされる事をあえて避けて通るという決断は
【頑張ったけどできなかった】より、周りはショックなのかもしれない。
当の本人たちはきっと
【自分たちの意思で決めたこと】よりも、【頑張ったけどできなかった】という結末の方が絶対に辛いんだから
なんだかうまくいかないね。
二人の方向性が揃っても、悩みが尽きるわけではないんだな。
自分にとって
相手にとって
大切な人の気持ちまで考えてしまうと
結局どんな答えを出しても、多かれ少なかれ後悔はしてしまう。
だから人のことは考えない ということではなくて
我々が納得して出した結論を、周りも喜んでくれるはず と 自分たちに言い聞かせる必要がありそうだ。
悩みは尽きないし
簡単に結論も出ないけど
周りの大切な人たちの事も一緒に考えられるのは、私たちの良いところでもあると信じたい。
そして
タミオ君の攻略法が間違っていなかったことと
ちゃんと自分の気持ちを伝えた上で 相手の意見が出るまで待てた自分のことは、褒めたい。
ヨシヨシ。
タミオ君やタミオ君の家族に対して罪悪感が消えなかったり、【子供を作らない】という選択が、タミオ君にとって本当の希望なのかどうかが分からない
という私に、彼はこう言った。
その通りだな。
ありがたいの極み。
がんばろ。
ご清聴ありがとうございました!
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