離れ離れも楽しみたい話
私が出張で不在となる一週間、毎日欠かさずコタツで寝てしまい風邪をひく気しかしないタミオ君には実家に帰ってもらうようお願いしていたが
『なるべくXXX(ふたりのおうち)にいるね』と連絡がきた。
と、2通タミオ君に送っておいた。
私からお母様にはまだ直接連絡取れないから。
反省は上手なタミオ君。
同じお詫びを何度聞いたかわからないけど、毎回本気で言ってるんだろうから一応受け入れる。
きっと同じことを繰り返すんだろうな、って頭では思いながら一旦受け入れる。『毎回そんな口ばっかり。頑張ったってどうせ寝ちゃうよ。』って、言ってしまうのは簡単だ。
そんな攻撃がしたいわけじゃない。
タミオ君に日々を無理して過ごしてほしいわけでもない。
すぐに寝ちゃうのにも、起きられないのにも、理由があるんだろうから、謝って欲しいわけでもない。
だとしたら、私はどうしてほしいんだろう。
自堕落な生活をするタミオ君と父親を重ねるのは私の勝手な思考回路の問題であって、タミオ君は毎日自堕落なわけじゃない。
気になったマイナス部分を100と捉えてしまうのは良くない。疲れるスピードが速いのは置いといて、私も疲れているタミオ君を労わってあげられる余裕を残したい。
そもそも私は私のやりたいタイミングで家事をこなしているだけで、目の前でタミオ君が寝ていようがそのこと自体に不満を抱いているわけではないし、やりたい時にやれない事のほうがストレスになるので、もはや自分がやってしまいたいぐらい。
手伝ってくれたり、やっておいてくれたりすると、勿論とても嬉しいしありがたいんだけど、逆に心の奥底で罪悪感も湧き出てしまう。
ほんの少しの(実際にはちっとも片付いていない)お片付けをしただけで疲れ果てて寝てしまうタミオ君には、もはや不満というより心配の気持ちが強い。
もっと話したい、もっと触れ合いたい、恋人として同居人としての希望が叶わないことに対する寂しさはある。こんな気持ちきっと今しか味わうことないんだろうな なんていう変に冷静な考えもあるからこそ、何だか勿体ない気がしてしまうのかもしれない。
*****
昨晩、タミオ君は初めてコタツで寝なかった。
ご飯を作っている途中で帰ってきたタミオ君は先にお風呂に入る。
タミオ君がお風呂から出たら一緒にご飯を食べて
少しだけ寛いでから次は私がお風呂に入る。
『やっとくから置いといていいよ』と言われ、食後のお片付けも放置してお風呂に入る。
お風呂から出ると、食器洗いを終わらせたタミオ君がりんごを剥いてくれていた。私は包丁でリンゴを剥くのが苦手だ。妹の家からお裾分けをもらったリンゴ。先日寝続けたお休みの日に『後で剥こう!』と言ってたリンゴ。
コタツで一緒にリンゴを食べて、テレビを見ながら寄り添って、どちらからともなく白熱して、そのまま結ばれた。
抱き納めな雰囲気もある、ほんの少し切なくて愛しい交わりであった。
そのまま正式に布団に入って、朝まで隣で寝た。
実に、いろいろと、久々だった。
実際は大した日数が挟まっているわけではないけれど、なんだか遠距離恋愛をしているような気分だったので とても幸せを感じた朝だった。
愛のある交わりよりも
正式に布団で一緒に寝る夜よりも
もっと久々に
愛してるよ って言ってみた。
いつもは面白おかしく誤魔化されがちな愛の言葉が、ちゃんと返ってきた。
嗚呼、紆余曲折。
他人なんだから振り回されるのは仕方ない。
それでも伝えればちゃんとわかってくれることや、歩み寄ろうと努力してくれることが、ありがたいところ。
タミオ君となら一緒にやっていける と定期的に思わせてくれることで、細かい寂しさも大変さもチャラになる。
寝っぱなしのタミオ君に不満より心配が勝るのは、決して私が菩薩なわけじゃなくて
ちゃんと本人が気持ちを伝えたりこうして挽回しようと頑張ってくれる日々があるからだろうな、と思う。
明日からしばしの離れ離れ。
一緒に暮らしてからは初めての出張。
きっといろいろと大丈夫だ。
私は離島を満喫しつつ確実にミッションをこなすだけ。
タミオくんは一人暮らしを満喫しつつ日々の仕事を変わらず頑張るだけ。
(ついでにちょっと荷物お片付けも頑張ってもらう。)
当たり前のように普段そばにいる人がいないのは、そりゃ寂しいかもしれないけど
別々でも、お互いの存在が励みになるような形が イイネ。
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