【W偽SB対策】プレミアリーグ第3節 ニューカッスル×マンチェスター・シティ/マッチレビュー/試合分析
プレミアリーグ第3節。
3節にして早速ペップシティに試練が訪れた。資金力も注ぎながら確実に強くなっているニューカッスル。非常に勇敢にプレミア王者に向かってきた。キーワードはやっぱりSBの立ち位置だった。
今季のここまでのペップシティの大きな特徴は両SBがビルドアップ時に絞ることだ。カンセロがワイドに入って、ウォーカーが中へ絞る形も見られる。相手の立ち位置、試合状況によって立ち位置を変えていくペップシティ。この試合でもSBの立ち位置で試合の状況が一変していった。
それでは簡単ではありますが試合を振り返っていきましょう!
前節の振替はこちら!
シティペースの15分
はじめに前に出たのはホームチームだった。前からのプレッシングでシティを後退りさせてCKをゲット。彼らのこの試合にかける意気込みが試合直後から感じられた。
しかし、シティもあっという間にニューカッスルを解剖し、彼らの勢いをひらりと交わしていった。
この日のシティも、ビルドアップの局面になるとSBがインサイドに絞ってボールに関わる。これにより中央に数的優位を作り出し、相手を中央へ密集させる効果も。相手を中央へ密集させれば当然サイドが開く。そんな狙いもSBがビルドアップ局面で絞る意味だ。
そしてシティはこのビルドアップで、まんまとニューカッスルのプレッシングを空転させ、開始5分先制点を奪い去った。
左SBのカンセロがインサイドに入ると、ニューカッスルの前線が中央へ密集。それに合わせて左IHのギュンドアンが左サイドへ流れて、後方からボールを引き受けて前向きに。前方に出来たスペースへドリブル。そして右WGのベルナルドへサイドチェンジ。ボールを受けたベルナルドはドリブルで切り込む。それに合わせてデ・ブライネとウォーカーが猛スピードでオーバーラップ。このアクションでニューカッスルのDFラインがバラバラに。ベルナルドがカットインしてクロス。そこに走り込んだのがギュンドアン。冷静にトラップをし、ボールを叩きつけてゴールを奪って見せた。
失点後もニューカッスルはシティの攻撃勢いをなかなか止められなかった。ニューカッスルのDFラインは4バック。シティは4バックの泣き所であるSBとCBの間(チェンネル)を突いて決定機を演出していった。
こう言う展開になれば、多くのチームは下がってしまうが、この日のニューカッスルは下がらなかった。
ハイテンポを維持したニューカッスル
前半15分を過ぎると、ニューカッスルのギアが一段、二段と上がっていった。
ニューカッスルはシティのビルドアップに対して自分たちが準備したプランを徐々にピッチで表現していった。
ニューカッスルは4-3-3をベースにハイラインでシティに圧力をかけにいった。WGのアルミロンとサン・マクシマンはシティの中央の入るSBのスペースをケアしながら、シティのCBへプレスに出て行く事も。
そしてボールの潤滑油であるアンカーのロドリにはアンカーのギマランイスが縦のスライドで抑えにかかる。
最終ラインもコンパクトで高く設定されており、中盤もコンパクトになり、シティのSBを絞ったビルドアップを窮屈にさせていった。これが功を奏し、シティのボールを中央で奪いショートカウンターを発動させる場面が増えていった。
そしてニューカッスルが同点ゴールを奪う。そのキッカケもシティのCBからのパスを中央で奪って始まった。
サン・マクシマンの早い仕掛け
ボールを奪いすぐさま左サイドへボールを展開。この試合左サイドで待ち受けるのはあの男。サン・マクシマンが圧倒的な個の力を活かし、カウンター対応の鬼であるカイル・ウォーカーを何度も切り裂いていった。
サン・マクシマンは圧倒的なスピードとドリブル力がある。それに加えてこの試合の彼は非常に仕掛けが早かった。
ボールを左サイドで受けると迷う事なく斜めへドリブルで入っていく。彼のスピードに加えて早い仕掛けによって、アンカーのロドリの戻りが間に合わずに難なくバイタルエリアへ侵入。これによりシティのDFラインは後退りする事が出来ずに彼を止められない。
シティの1失点目、そして勝負が決まったと思った3点目は彼の早い仕掛けがキッカケだった。
サン・マクシマン。また一段レベルの上がったパフォーマンスを見せつけてくれた。今季のプレミアリーグを大いに賑わせてくれそうだ。
SBの立ち位置を変えたシティ
シティは前半のうちにあっという間にニューカッスルに逆転をゆるした。その勢いを止められずに、後半序盤にトリッピアーのFKで点差を2点に広げられた。
非常にまずい状況となったシティ。しかしここから目を覚ましたかのように怒涛の攻撃を見せた。
ビルドアップ時に絞っていたSBが、外へ立ち位置を移していった。これによりビルドアップがスムーズになり前線へボールを運べるようになった。
SBが外へ立つ事で、ニューカッスルのWGが外へ。そうなるとシティの2CBへのプレッシャーが緩和。そうなれば「運ぶドリブル」で前進するシティのCB。アケの負傷交代で入ったルベン・ディアスが持ち上がりボールをリリース。それをきっかけにハーランドのポストを叩くシーンが生まれた。
ニューカッスルの中盤を超えてしまえば待ち受けるのは4バック。4バックを攻略するのはペップシティのお得意技。
幅をとるWGがゆっくり中へドリブルしてオーバーラップするウォーカーやデ・ブライネ時間を作り→スルーパス→高速クロスという形を作ったり、左WGのフォーデンが相手を抜き去る前に左足で早めのクロス。大外からの斜めパスでポケット侵入。
SBの立ち位置を微調整するだけで一気に攻撃のギアを上げたシティがあっという間に2点差を追いついてみせた。
同点ゴールの3点目のデ・ブライネのアシストは痺れた。唸った。エグいパスだった。
チームの修正力はもちろん、ハーランドが加わった事で強引にゴールを奪えるようにもなってきた今季のペップシティ。デ・ブライネの縦パスから、相手をなぎ倒して抜け出したハーランドのシュートシーンはこれまた痺れた。唸った。エグいシーンだった。
おわり
試合はこのまま3-3のドローで勝点を分けあった。ホームのニューカッスルは絶好のプレミア王者から勝星を取りこぼしたと思っているはず。
シティはなんとか勝点1を拾い上げたといった感じか。しかし逆転もできるシーンもあった。同点になってからはややスローペースに持ち込んだシティには、勢いそのままに攻撃火力を落とさずに殴りかかって欲しかった感もあった。
やられたらやり返す。そんな攻撃火力が今季のペップシティにはあるはずなので、これからもっとオープンな打ち合いをする試合もして欲しい(それはペップがあまり好まない事だけど)。
ペップシティの両SBを絞らせるビルドアップに対して一つの答えを示したニューカッスルのハイライン、ハイプレスは非常に素晴らしく、勇敢だった。これを参考にこれから待ち受けるチームは対シティの戦術を組んでくるだろう。
しかしペップシティに同じ手が使えないのも彼らの強さ。
全てを養分にしてしまうシティ。
次節はクリスタル・パレス。おお、昨シーズン勝てなかった相手。リベンジに燃えてるはずのシティ。どんな戦いをしてくれるのか非常に楽しみだ。