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【より慎重に。】|マンチェスター・シティ×リヴァプール|23/24プレミアリーグ第13節|マッチレビュー

前節、敵地に乗り込みチェルシーとの壮絶な打ち合いを繰り広げたマンチェスター・シティ。そして今節はホームで強敵リヴァプールを迎えた。近年世界最高の90分を見せてくれるこのカード。今節もそんな期待通り。いつも通り、我々サッカーファンの心を大いに揺さぶる最高な90分を見せてくれた。

それでは簡単ではありますが試合の解説をしていきたいと思います!

↑前節の振り返り。

▪️意気込むプレスをいなすシティ

キックオフからリヴァプールのこの試合の意気込みをプレッシングから感じた。リヴァプールはライン高く、積極的に前からシティのボールへ襲いかかった。

開始直後自陣深くで右SBウォーカーがボールを持つとそこへプレスに出たのは左SBのツィミカス。このシチュエーションだけでリヴァプールのプレスの意気込みが伺えるはず。

しかしSBがそこまで出れば当然シティの前線の選手がフリーとなる。ウォーカーはフリーとなった右WGフォーデンへ縦パスを送り、リヴァプールのプレスを掻い潜る出口をオープン。そこから中央を経由して左で待つ左WGのドクまでしっかりボールを届け、ドクはドリブルでリヴァプールのペナルティエリア深くまで侵入し、一つ目の決定機を演出して見せた。

このようにシティは多くの場面で、リヴァプールの意気込むハイプレスをいなして前進するシーンを作り出していった。

シティはボールを保持するとアカンジの偽CBを発動して後方[3-2]を形成。

それに対してリバポは[4-3-3]ベースで前線3TOP +2IHでシティの[3-2]に噛み合わせに出ていく。しかしプレスは噛み合わなかった。GKエデルソンとベルナルドがその噛み合わせをずらしていく。

3バック中央のルベンにヌニョスがプレスに出た瞬間、GKエデルソンがボールを引き受けてプレス回避。そして前向きになったエデルソンはアカンジのマークにつくソボスライの背後(左ハーフレーン)でベルナルドが顔を出してボールを受ける。GKエデルソン→ベルナルドへの縦パスは前半だけで3.4度成立し、この日のリヴァプールのハイプレスを超える一番の手段となった。

またはそんなハーフレーンでうろちょろするベルナルドの存在が目障りとなりサラーやソボスライのマークが分散。アカンジ、アケに時間が用意される状況にも繋がった。

逆サイドのIHのアルバレスもベルナルド同様に、マクアリスターの脇で効果的にボールを引き受ける。フリーになるベルナルドに対してリヴァプールがアンカーのマクアリスターが横にスライドすると、右IHアルバレスが中に絞って出口を用意。またベルナルドに右CBマティップが縦スライドで対応に出ると、最終ラインにハーランドvsファンダイクの数的同数に。その瞬間にアルバレスが斜めのランで長いボールを要求して抜け出す連動性も見られた。

このようにシティは再現性を持ってリヴァプールのプレスを何度も空転させて、徐々に彼らを自陣に押し下げることに成功していった。

そしてこの日は前節のチェルシー戦と比べてもビルドアップの際にチーム全体で「同じ絵を描けていた」ように伺えた。

リヴァプールのアンカー脇をリヴァプールのプレッシングの出口に。そんな共通認識を持つことでよりスムーズに、ミスも最小限に抑えながらリヴァプールのハイプレスをいなすことが出来たように感じた。

▪️より慎重なプレッシング

次はリヴァプールのボール保持局面vsシティのボール非保持局面の解説。リヴァプールはボールを保持すると、GKアリソンを真ん中に2CBがワイドに広がって後方3枚に。右SBアーノルドは中に入ってマクアリスターと2CH形成。後方GKアリソンを加えた[3-2]を屋台骨にボールを動かしていった。

左SBツィミカスは左の高い位置に押し上がり、右の幅はサラー。全体配置をGKを含めて[3-2-2-4]に。シティの守備陣形を横に広げる狙いが伺えた。

これに対してシティは前節のチェルシー戦よりもより慎重に、緻密にハイプレスを仕掛けていった。

シティのプレス陣形のベース配置は[4-4-2]。アルバレスが一列前に上がってハーランドと共にファーストプレスを担った。リヴァプールはGKのアリソンも積極的にビルドアップに組み込まれるので、当然ハイプレスを仕掛ければシティのプレスに一つのズレが生じる。そんなことも踏まえて、GKアリソンへのプレスは細心の注意を払ってかけられていた。

GKアリソンへのプレスの多くを担ったのはハーランド。ハーランドはGKアリソンにボールが下げられる度に闇雲にプレスに出ることはなかった。ハーランドはリヴァプールの中盤の背中で消しながらマティップやGKアリソンへプレスに出た。

そしてハーランどが彼らにプレスに出るタイミングは後ろの選手の準備がしっかり整ったタイミングだった。ハーランドがプレスに出たタイミングで後方が合わせるのではなく、しっかり後方の準備が整ったタイミングでハーランドがプレスに出る!

前者のプレス順序はチェルシー戦。後者のプレス順序がリヴァプール戦という感じだったかと。

この順序でプレスに出たことでシティはリヴァプールのボールを逃すことなく、高い位置でもボールを刈り取ってチャンスも演出することに成功していった。

▪️カウンターの強度を維持した交代策

徐々に、ジリジリとリヴァプールの陣形を攻守で押し下げていったシティが試合を優位に進めるように。

そしてGKアリソンのキックミス(スリップしてたね)からアケが敵陣でボールを回収するとひらりと相手2人を交わしてハーランドへ縦パスを刺す。ボールを受けたハーランドはファーストタッチで自分の一番得意な場所にボールを置いて左足を一閃。アリソンの守る右隅にゴールは吸い込まれてシティが先制に成功!

シティがこのリードを保ったままハーフタイムに。後半に入ってもシティのリードは変わらずに内容でも優位性を持ってゲームを運んでいった。

それでもリヴァプールはカウンターの切れ味だけは落とさずにシティの攻撃を耐え続けていた。リヴァプールは後半に5枚のカードを全て切って、前線のプレスの強度とカウンターの切れ味は保ちづつけた。

そしてそんなクロップの思惑通りにゲームが転んでいった。

後半35分シティが左サイドからのクロスで決定機を演出。それを耐え忍んだリヴァプールが一気にカウンターを炸裂。ボールを受けた途中交代のライアン・グラフェンベルフがボールをキャリー。彼のストロングである縦への推進力でボールを前進させて左サイドへ。そしてボールは右で待つサラーに左から右へ届けられて、最後は中央に入ってきた右SBアーノルドが右足を一閃。ここしかない!といコースでシュートを放ちリヴァプールが同点弾を奪った。

カウンターの切れ味を交代策で保ち続けたクロップの狙い。思惑が実ったシーンでもあった。

▪️おわり

試合はこのままスコアは動かず勝ち点を分け合う結果となった。シティはリヴァプールとは反して交代枠を一枚も使わなかった。攻撃陣の怪我人が続出で交代を切りたいけど…という状況でもあったはず。

アンフィールドでの次のリヴァプール戦はそんな怪我人も戻ってきて真っ向から世界最高峰の戦いをまた見せてくれることを大いに期待したいと思う。

チャンピオンズリーグを挟んで次節のリーグ戦で迎えるは難敵トッテナム。こちらも怪我人が続出で難しい状況は続いているようだが、ポステゴクルー新監督の元、非常に攻撃的なフットボールを見せている。攻撃的なぶつかり合いを見られると今から非常に楽しみだ。


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