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【全てを押し下げたバイエルンの波】チャンピオンズリーグ グループC第1節 インテル×バイエルン|マッチレビュー

イタリアにドイツの絶対的王者がやってきた。

このミラノの街を練り歩くバイエルンサポーターの波の様に、インテルはバイエルンの大きな波に飲み込まれてしまった。

それではゲームを簡単に振り返っていこうと思います。

スタメン!

▪️マンマークハイプレス

試合開始からアウェイのバイエルンがプレッシングでインテルを飲み込んでいった。

バイエルンはインテルのボール保持に対して、明確なマッチアップを決めて、インテルの5-3-2陣形に噛み合わせてプレスに出た。

インテルのWBにはSBが。3バックには3トップが。アンカーブロゾビッチにはミュラーが。2トップには2CBが激しい競り合いを持ち込んだ。

インテルは序盤このマンマークプレスをもろに食らってしまい、ブロゾビッチがミュラーに自陣深くでボールを奪われてピンチに。

バイエルンが凄いのはこれを試合開始から終わりまでやり続けること。前線のタレントたちもサボることは許されず、ボールを奪われた瞬間一気にボールを刈り取るアクションを90分見せた。

バイエルンのプレスの迫力に最初こそ後退りしてしまったインテルだがすぐに反撃。

明確にマークにつくバイエルンのプレスを逆手にとっていく。マンマークなら1vs1で勝てばチャンスでしょ?最終ライン数的同数でしょ?と言わんばかりに前線のハイタワージェコの質を活かしていく。

6分GKオナナからGK。一気にジェコめがけてキック。ジェコが高さで競り勝ち一気にゴール前まで。前を向いて3vs3の状況作り出す。バイエルンは気合いで下がってくる!シュートブロックをしてなんとかバイエルンが凌いだ。インテルは一つの抜け道を見つけたシーンだった。

インテルのもう一つの前進方法はレイオフ(奥に入れて手前を前向きに。後ろ向きを使って前向きに。3人目で前向きに。)。ジェコとラウタロ・マルティネスが背負って潰れて2列目が前向きに。しかし前向きまでは作れるがその先が作れない。

バイエルンの戻りとプレス強度も高く、バックパスが多くなる。バックパスで組み立てをやり直すことは悪くないが、バックパスを合図にバイエルンのプレススイッチが入る。

1回のバイエルンのプレス剥がすのも大変なのにそれを何度も。2回、3回とプレスをくらい続ける度に時間とスペースが削られバイエルンにボールを奪われてしまった。

▪️配置の弱点を突いたバイエルンの前進

バイエルンはボール保持でもインテルを押し下げていった。バイエルンのベース配置は4-2-3-1。ボールを保持すると可変して、インテルの配置の弱点を突いていった。

4バックは左SBのデイビスが左の幅をとるべく高い位置に上がり、後方3バックへ可変。
これによりインテルの2トップに対して数的優位を作りながらボールを動かせることに。

中盤2CHはザビッツァーとキミッヒ。キミッヒは3バックに可変したDFラインの中央に入りアンカーの役割を担い、後方と前の繋ぎ目になる。チャンスと思えば前方へキラーパスも送り込む。

先制ゴールはそんな彼の後ろと前を繋ぐパスから生まれた。後方からボールを引き受けて前を向いたキミッヒ。マネが下がって相手DFラインを引きつけて、2列目のサネが抜け出す。インテルの最終ラインをつく浮パスがキミッヒからサネに渡り先制点が生まれた。

そしてもう一方のCHザビッツァーは右のハーフスペースに立つ。インテルの中盤3枚の脇に立つのが狙い。左のハーフスペースにはサネが立ち、この2人がビルドアップの出口となった。

中盤とDFラインの間にはミュラーとマネがウロウロする事で、インテルの中盤3枚はこの2人に縦パスを入れさせたくないので中央に密集。

両ワイド深くにデイビスとコマンが幅をとることでインテルのWBをピン留め。


そうなると開くのが中盤3枚の脇。ハーフスペースに立つザビッツァーとサネがフリーになるシーンが目立つ。ボールを受けたザビッツァーは無理をせずコマンやミュラーにボールを渡してすぐ抜けるランニング。サネは持ち前のドリブルで切り込み好機を演出していった。

①.最終ラインを3バックに可変→インテルの2トップに対して数的優位を作る

②.アンカーと化したキミッヒ→インテルの2トップ、中盤を中央に集める役割

③.左は左SBデイビスが。右は右WGのコマンが幅をとりインテルWBをピン留め

④.マネとミュラーがライン間うろうろ。

⑤.ハーフスペースに立つザビッツァーとサネがビルドアップの出口に。②と③と④のお陰で2人がフリーになりやすくなった

ボールを奪われればすぐさまトランジションプレス発動で何度もインテルのボールを即時奪還。インテルの5-3-2ブロックを押し下げ、何度も殴り続けた。

▪️カウンターパンチも当然隠し持ってるよね。

前半1点のリードを許してロッカールームへ帰ったホームチーム。
後半に入ると攻守に修正を加えた。

まずはボール保持.ビルドアップ局面。

前半は後方で頑張って繋ごうという振る舞いを見せたが、後半はよりシンプルに前線へ長いボール→セカンドボール回収というシーンが増えた。バイエルンのマンマークプレスを前提に選択したプラン変更だろう。

案の定ジェコが競り合うシーンは増え、彼が潰れてバイエルン陣内で前向きになるシーンが増えていった。

インテルは振る舞いを変えたが、バイエルンは変わらずマンマークハイプレスを継続。決して下がることはしなかった。

たしかに長いボールが増えてバイエルンの最終ラインが競り合うシーンが増え、インテルがセカンド回収するシーンも増えたが、それと同じくらいバイエルンがショートカウンターを発動するシーンも増えた。

前がかりになれば開くのは裏のスペース。オープンな展開も上等!という感じのバイエルン。

確かにオープンに殴り合った時にどちらが大きな代償を喰らうか?と言われればそれはインテルだろう。

そしてカウンターからバイエルンが追加点を奪った。

65分長いボールでジェコが潰れて前進に成功したインテル。左から右へのチェンジサイドで右WBダンフリースにボールが入るが、そのボールをデイビスが奪取。左サイドを一気に打ち抜きカウンターへ。インテルもしっかり戻ってバイエルンの攻撃を遅行へ。

しかし押し込んでも普通に崩せるのがバイエルンの強さ。左から右へボールを動かし、最後は中央で受けたサネが中央ワンツーでペナルティエリアに侵入し足を振り抜き2点目をゲットした。

前半見られなかった隠し持っていたカウンターパンチから追加点を奪ったバイエルン。

当然このレベルになれば遅行も速攻も両方の刃を持っているよね。

▪️インテルもハイプレスを仕掛けたが…

次はインテルのボール非保持局面の修正。

バイエルン同様にインテルはよりハイプレスを仕掛けるようになった。

バイエルンの可変によって噛み合わなかった前線のプレス。そこに中盤のチャルハノールもしくはムヒタリアを一枚押し上げて3枚でバイエルンのDFラインへプレスに出た。

これによりバイエルンのビルドアップは窮屈になり、長いボールを蹴らせて回収出来るシーンを後半序盤作り出せたインテル。

このインテルの修正に、さぁバイエルンはどんな振る舞いを見せたのか?

まずは前に出る数が増えれば後方が手薄になる!ということで長いボールを前線へ。長身なポストプレイヤーが前線にいるわけではないが、一つのロングボールに対して複数の選手が一気に反応し、セカンドボールを回収して前進するシーンも。

もう一つはサネの列落ちとミュラーのレーン移動だ。サネが中盤に降りてキミッヒの脇でボールを引き出すシーンも。

ミュラーは右から左の横移動で相手のプレスがどこまで付いてくるのか駆け引きする。ついてこなければ数的優位に。ついてくれば右にスペースが。

またザビッツァーにかわって入ってきたゴレツカとはポジションを入れ替えることでフリーになるシーンも。

DFライン3人に対して噛みわせて3人でプレスに出るようになったインテルに対して、バイエルンは中盤に優位性を持ってボールを動かしていった。

中盤の枚数が減ったインテルに対して、バイエルンは中盤にボールを差し込むシーンを増やしていった。

時間経過と共に、インテルが示した前からの姿勢はいつの間にか押し下げられ、再びバイエルンが押し込む時間帯が増えていった。

試合はそのままバイエルンの2点リードで終了。イタリアからドイツ王者が勝点3を持ち帰った。

おわり

ベンチにはムシアラ、ニャブリ、ウパメカノと言ったタレントも並ぶバイエルン。本当恐ろしいチームだ。

攻守で強度増し増し。それだけでなくチーム戦術でも相手を上回ってくるからまた厄介。

グループCは死の組。このバイエルンにバルセロナがどんな戦いをするのか非常に楽しみ。古巣のレヴァンドフスキや絶好調らしいデンベレ。クンデもいるのか。楽しみ盛りだくだ。

インテルのリベンジマッチも同じくらい楽しみ。このまま黙っている様なチームではないよね?次はグループ最終節かな?最終節でグループ突破がかかる試合になるかもか。本気の本気のインテルが見られるかもしれない。それはバイエルンも同じか。サッカーファンとしては最終節で勝った方がグループ突破という条件で是非見たいな。

あぁやっぱりチャンピオンズリードは楽しいな。それではまた。


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