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【赤いカメレオン】Jリーグ第9節 浦和レッズ×ヴィッセル神戸

開幕戦を落とした両チーム。優勝を狙う両チームにとって連敗は避け、勝ち点を積み上げたい思いは強かったはずだ。

慌ただしい序盤から浦和が試合をコントロール。最後は神戸の顔が試合を動かした。

それでは簡単ではありますが試合を振り返っていきましょう!

慌ただしい序盤

浦和スタジアムで行われた一戦は、キックオフから慌ただしい展開となった。

キックオフの合図で前に出たのは神戸だった。長いボールを蹴り込みセカンドボールを拾い積極的にゴールへの意識を示す。

すると開始7分。
ペナルティエリア右から侵入した大迫を浦和が倒しててしまい、神戸がPKをゲット。

PKキッカーは武藤。ゴールに立ちはだかるGK西川。そしてそれを後押しするかのように、大勢の浦和サポーターが見える中武藤はPKの合図を待っていた。

多くのプレッシャーを受けながら武藤が蹴り込んだシュートは西川がセーブ。少しコースが甘かったが気持ちのこもったシュートも浦和の守護神が止めてみせた。

しかしこれでは終わらない。PKを阻止された神戸だったが、敵陣からの左のスローインから試合再開。するとそのスローインを起点に山口が左サイド深くで粘りクロス。これに反応したのが武藤。難しい体勢からのシュートコースのない状況から左足を振り抜き、GK西川の頭を越えるボールがゴールに吸い込まれていった。

先制パンチをお見舞いした神戸だったが、ここから一層試合は慌ただしくなる。失点をしたほんと僅か数分後。浦和が同点に追いつく。

左サイドからペナへ侵入し、最後はPKを返上してしまった松崎快が左足からシュート。相手に当たりコースが変わったボールはポストに当たり吸い込まれた。気持ちで押し込んだゴール。
このゴールを皮切りに浦和が神戸を押し込んでいく。そして19分左のCKから最後は柴戸が頭で押し込み同点。先制パンチを食らった浦和だったが、正にカウンターパンチ!と言わんばかりに10分間で逆転してみせた。

ここから浦和がゲームをコントロールして落ち着きを取り戻していった。

神戸のプレスを見極めて

神戸の陣形は4-3-1-2の様な中盤ダイヤモンドの陣形。プレッシングの際もこの形をベースに浦和に圧力をかけていった。

この日は浦和は4-2-3-1の様な陣形で、GKの西川も加わりながら後ろからボールを小刻みに動かして前進していった。

浦和はSBが幅をとることで、神戸のプレスを空転させていった。

神戸のボール非保持の陣形が4-3-1-2ということで、浦和の陣形と噛み合わせてみるとフリーになりやすエリアが見えてくる。それが浦和のSBだ。

浦和のSBには神戸の3ボランチの脇の選手が中央のポジションからプレスに出る約束。しかし中央からサイドプレスに出ることで、どうしても遅れが生じて浦和のSBに制限がかからないシーンが生まれた。

フリーになりやすいSBをビルドアップの出口として、プレスの逃げ道として使いながら浦和が神戸のプレスを剥がしていった。

また前線の明本と縦関係を組む江坂がサイドにレーン移動。このトップ下の江坂の流れる動きにも手を焼いた神戸。

制限のかからないSBと掴まらない江坂を起点に、浦和がボールを後方からしっかり神戸のゴールまで運んでいった。前半29分のゴールキックからのビルドアップ。そしてフィニッシュまでいったシーンは本当に見事だった。

サイドはシェアする

先制パンチをお見舞いしたが僅か10分程度で逆転されてしまった神戸。

その後は浦和に自由にボールを動かされて、攻撃では浦和の硬い中央圧縮された4-4-2ブロックの前に、ボールを外に誘導されて中々前進も出来ない状態に。中央でボールを引っ掛けてショートカウンターを受けるシーンも。

ゲームの入りはどうやって攻めるの?どこが狙いなの?という具合に神戸の攻撃は良く分からなかったが、試合が流れるにつれて少しづつその形が見え始めた。

特徴的だったのは、ポッカリ開いたサイドの使い方だった。

何度も話しているが神戸の陣形は4-3-1-2と中盤ダイヤモンドの陣形ということで、高い位置の幅をとる選手がいない。なぜサイドに人がいないのか?

その理由は、

サイドはみんなでシェアする為に開けている

からだった。いろんな選手が出入るするために開けている。人が出入りすることで相手のプレスが掴まえづらい状況を作り出す効果もある。

開けたサイドには、SBが上がったり、IHが流れたり、2トップが内から外に斜めにランニングして利用する。

サイドからのクロスはもちろん、サイドを相手を集める場所としても利用していたのが神戸のもう一つの攻撃的特徴だった。

サイドに浦和の選手を集めて、外から斜めのスルーパスからラインブレイクするのプレーは狙いの形だったとはずだ。

サイドをみんなでシェアすることで、浦和のプレスに掴まらずにボールを動かし、グループでフィニッシュの形を作り出せる様になっていった神戸。特に浦和の左サイドから神戸はいい形を作っていた。

そして後半に入ると、試合は再び慌ただしくなってしまった。

やっぱり千両役者

後半に入るとリードしている浦和が退場者を出してしまった。

1人少なくなってしまった浦和のリカルド監督もすぐ手を打つ。

中盤の岩尾とDFの犬飼を投入し、陣形を5-3-1と変更。ゴール前にしっかりとしたブロックを形成し、まずがこの1点のリードを守るメッセージ性が伝わる様な戦術変更を見せた。

ベンチにユンカーがいればセットで投入し、カウンターの破壊力も倍増させたのかなと想像…

この戦術変更により、神戸の攻撃を停滞させることに成功。1人多くなった神戸だが、ゴール前にべったりブロックを作られてしまい、逆にゴールを奪うのが難しい状況になってしまった。

こういう状況を打破するのはやっぱり個人の力が大いに大切。前向きでボールに触るシーンは増えるので、サイドからの強引な突破や、クロスからのヘディングでゴールをこじ開けた。しかし、その為には個人の力が必要。

神戸にはそんな力を持った選手がいる。途中から入ったイニエスタが試合を決定づけるクロスを見せる。

サイド深くを神戸がえぐるとこれに浦和のWBがしっかり対応。しかし5-3-1ブロックを敷いた時に開きやすいエリアが。それは5バックのWBの前のスペース。そこに待っていたのがイニエスタ。サイドをえぐった選手から、ハーフレーンで待ち受けるイニエスタへマイナスのパスが入ると、逆サイドのポケットへ目掛けて巻きクロス。

これにヘディングで合わせたのがこれまた千両役者。浦和にゆかりの強い槙野がヘディングで合わせて神戸が後半ロスタイム土壇場で追いつき、ドローに持ち込んだ。

赤いカメレオン

開幕戦に続いて浦和を観戦。印象的だったのが相手によって、人選によってまるっきりチームの色が変わる事だった。

京都戦の前半は相手のハイラインを突くべくロングボール前進&セカンドボール回収で前進の形で押し込み、後半は小泉を投入して今度はボールを小刻みに動かしてチェンジオブペース。

そして今節はGKを使って、SBを起点にボールを動かし見事なビルドアップからフィニッシュに持ち込んだ。後半退場者を出すと選手交代を織り交ぜて5-3のブロックで数的不利の劣勢を持ち直して見せた。

相手によって、選ばれる人選によってその顔色を変えるリカルドレッズ。まさに赤いカメレオンといった感じ。そして出る選手、採用される戦術どれもハイレベルで完成度が高いのも特徴。


次見た時にはまた違う色の浦和を見れるは楽しみだ。

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