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世界一ご長寿の国の短命な家たち(そして住宅ローンの壁)

突然ですが、日本の住宅の平均寿命をご存知でしょうか?50年?60年?いや、100年?正解は・・・「約32年」です。人間だったら、まだまだこれからの年齢。そもそも私、30代半ばなので、とっくに家の寿命を過ぎていて軽くショックです。では他の国ではどうでしょうか?

イギリス約81年、アメリカ約67年。

日本は、人間の平均寿命は世界トップクラスなのに、家となると真逆に短命になるのです。注)住宅の平均寿命は建物そのものの耐用年数ではなく、築何年くらいで取り壊されるかという数字です。

なぜ日本の家が短命なのか。その背景にはさまざまな文化的、制度的な理由があると思いますが、私が住宅ローンの審査を経験してみて痛感したのは、古いものに価値を置いてくれない評価制度になっているから、という理由でした。

立ちはだかる住宅ローンの壁

私が購入したマンションは築50年。海外では築100年前後の家なんてざらにありますが、日本では完全に長老扱いの物件です。もう仙人の域。住宅購入を経験された方はご存知かと思いますが、日本の住宅には新耐震と旧耐震という区分けがありまして、1981年を境に新旧が分かれます。うちは築50年なので、余裕で旧耐震です。数えるまでもなく。

地震が多い国だからこその区分けかもしれませんが、この制度が住宅ローンの審査に大きく響いてくるのです・・・。

そもそも、旧耐震の住宅ローンは扱わないという金融機関もあり、扱っていたとしても審査が非常に厳しいです。日本は、家を買った瞬間から価値が落ちていきます。つまり、新しければ新しいほど、住宅の購入額と資産評価に差がありません。一方、古い家は資産価値が減っていき、購入額と資産評価の差が大きくなるので、その分、金融機関は住宅ローンの審査が厳しくなるのです。

そんなことを知らずにいた私たち。夫も私も正社員として働いており、年収と物件の価格バランスも良かったので、余裕で審査に通るかと思いきや、旧耐震の資産価値が低いという壁に当たりました。

住宅の価値は何で決められる?

日本の住宅の価値は、イコール、土地の価値。土地の上に建っている建物の価値はどんどん低くなっていくので、どんなに素敵な家を建てても、資産としての評価にはつながりにくいのです。だから、リノベーション費用のローンもとても通りにくい。欧米では、建築物や内装の価値も評価に入るので、新築より中古物件の値段が高いということは、普通にあります。

結論。リノベーションへのハードル高過ぎでしょ。この一言に尽きます・・・。

絶対にこの物件に住みたい、リノベしたいという熱意と執念(?)で、なんとか無事ローン審査に通ったのですが、それにしてもリノベへの道のりは険しいと思った経験でした。

日本の家ってどれも似ているなあ、何でインテリアのバリエーションが少ないんだろう、と何となく思っていた背景には、住宅業界、金融業界、政府までが絡んだ壮大な課題が浮かび上がりました。しかし、そうは言ってもリノベーション事例は確実に増えてきていますし、これから制度も変わってくるかもしれません。古いものを保全しながら補強し、長く使っていくという観点は、環境面においても大切な視点になるので、これからはもっと、リノベーションに挑戦しやすくなるのではないでしょうか(なってほしい!)。

次回は、築50年の物件を選んだ経緯、そして選択基準についてお話したいと思います。

※住宅ローンに関わる話は、2020年時点の個人の経験談ですので、現在では変化していることもあるかもしれません。また個人の状況や地域などにもよりますので、一意見としてお読みください。
※ 住宅の平均寿命:平成27年度国土交通白書を参照しました。

★今日の記事トップ画像は、フィンランドのおしゃれな街並み。さすが北欧インテリアの本場です。

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