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姿勢と呼吸法と腹圧

武術的な姿勢と呼吸法と腹圧の考察

あくまでも私の身体の感覚を通して解剖学的な観点から考察した一意見でしかありません。

武術的な姿勢とはさまざまな意見があり永遠のテーマの一つです。
今回は武術の達人一人一人全く同じ姿勢の人がいないという前提でお話を進めさせていただきます。
達人の方々は姿勢が大事だ、と口を揃えておっしゃります。
しかし達人の方々の性別、体型、アライメントなどは遺伝的な個性もあり同じではありません。
西洋医学的には正しい姿勢として骨盤は前傾、腰椎は前弯、胸椎は後弯、頚椎は前弯
とあります。
しかし西洋医学の教科書どおりの姿勢を常にしていることは不可能と思われます。

そこである仮説を立てました。
姿勢(アライメント)は重要であることは変わりないが他の要素もあるのでは?
効率よく姿勢が安定していればよいのでは?と考えました。

姿勢を安定させるものは骨のアライメント(姿勢)もありますが、姿勢維持筋と靭帯もあります。その中でも能動的にコントロールできる姿勢維持筋について考察していきたいとおもいます。

体幹の姿勢維持筋には多裂筋、腹横筋、横隔膜、内腹斜筋、骨盤底筋などあります。
これらは腹圧を形成するために重要な筋になります。
腹圧は胸郭の重さを持ち上げるために必要な要素となっています。
腹圧が減少すれば円背になるか背部の脊柱起立筋の仕事量が増えてしまいます。
さらに腹圧は上下肢からの運動エネルギーを脊柱に伝えるために必要な要素です。
腹圧がなければ上下肢からの運動エネルギーは腹部がたわむことで分散してしまいます。
腹圧は姿勢維持の仕事量を軽減するだけではなく、運動エネルギーを伝達するためにも重要な役割を担っていると考えられます。

そこで腹圧を形成するために呼吸法で違いがあるか考察してみたいと思います。

腹式呼吸
逆腹圧呼吸
密息
この3種類についてみていきます。
ここでは腹式呼吸を吸うときに腹部を膨らませて、吐くときに腹部を凹ませる呼吸法。
逆腹式呼吸を吸うときに腹部を凹ませて、吐くときに腹部を膨らませる呼吸法。
密息を吸うときも吐くときも腹部を膨らませる呼吸法と定義します。

まずは腹式呼吸です。
正座をして腹式呼吸をしてましょう。
吸うときは背筋が伸びる感覚(脊柱が伸展するような感覚)があり、腹圧も高まってくる感覚もあります。吐くときは頭部が前下方に動く感覚があります。
腹式呼吸で吸うとき横隔膜が下がり腹圧が上昇します。その腹圧の上昇により胸郭が持ち上げられ、脊柱が伸展した感覚が生まれたと思われます。
吐くときは腹横筋、内腹斜筋で吐くため、腹圧は高まっていると思いますが、腹部が凹んだ分だけ胸郭が下がり頭部が前下方に動いたように思われます。
(ここでは腹横筋と内腹斜筋を利用して腹部を凹ませているため腹圧が高いと表記しました。力を抜いて胸郭の重さで腹部が凹んだ場合は腹圧を高める筋を使っていないため腹圧は高まってないと考えております。)

次に逆腹式呼吸をしてみましょう
吸うときは腹式呼吸より胸郭が持ち上がり背筋が伸びる感覚(脊柱が伸展するような感覚)があります。吐くときは腹圧が高まってくる感覚があります。
逆腹式呼吸では吸うときは腹部を凹ませるため、内臓が上下方向に移動し、胸郭を持ち上げたと思われます。
吐くときは腹部を膨らませて腹圧を形成するため胸郭が下がりにくい可能性があります。

次は密息をしてみましょう。
少し難しい呼吸法となります。
吸うときも吐くときも腹部を膨らませるため、背筋が伸びる感覚(脊柱が伸展するような感覚)は少ないですが、どんどん腹圧が高くなってくる感覚があります。

それぞれの呼吸法をまとめて考察すると
腹式呼吸は吐くときに頭部が前下方に動き、動き始めの起こりを減らせる可能性がある。
動き始めの起こりを減らすことで相手に察知されにくい運足が可能になりそう。
逆腹式呼吸は胸郭持ち上げる能力が高く、脊柱を一本の安定した柱にしてくれる感覚が強い。姿勢崩したくないときに有効そう。
密息は下腹部に圧力を溜められる感覚があり、重心を下丹田に安定させることに優れていそう。

以上、3種類の呼吸法はどれも体幹の安定性に関与し、どれも効率的だが、少しずつ特徴が違うのでシチュエーションにあった呼吸法を選択できると良さそうである。

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