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『リメイク製品の制作&販売』について

前回記事『古着販売について』でも書きましたが、近年のエシカルやエコな流れの中で古着市場にも注目が集まっており、リメイク製品も然りです。そもそもこれまで古着やヴィンテージ、或いはリメイク市場はひとつのカテゴリーとして常に一定の市場を保っていましたが、最近の若者でも普段のファッションの中に古着を取り入れたり、割とスタンダードな市場に成りつつあるのをひしひしと感じております。

そんな中でリメイクブランドを始めたいという相談もちらほらときています。私自身も過去にリメイクブランドで企画&縫製をしたり、現在もアパレル製造業をやりながらリメイクブランドの生産を請け負ったりしています。こういった経験の中からこれからリメイクブランドを始める方の参考になればと思い私なりに書いてみました。細かく書いていくとキリがないので正直ざっくりではあります。参考になるかわかりませんが。。。

【リメイクとは】

服や小物などに別の付加価値を付けることを一般的にリメイクするといいます。缶バッジやアップリケを付けたりする比較的簡単なものから、全て解体して再構築するなど難易度もかなり幅があります。資材が必ずしも古着であるわけではありません。買ってきた既製品の新品シャツに自分で手刺繍を施すこともリメイクです。似たような言葉もたくさんありますよね。リビルド、アップサイクル・・。正直言葉はなんでもいいです。(ここではリメイクで統一します。)

私が現在依頼されている主なリメイクの内容は、いわゆるヴィンテージ素材(年代物の服やテーブルクロスなど)を使用し新しいデザインで蘇らせることが主流になっています。

【まずは古物商許可が必要か確認】

リメイク品を作って売るには、古物商の許可証が必要な場合があります。詳しくは前回の記事を参考にしてください。古着のTシャツを仕入れてオリジナルのプリントやワンポイント刺繍する場合でもそのTシャツを国内で仕入れた場合は古物商は必要です。デッドストック品も古着扱いになります。(海外で仕入れたものだけなら不要です。)

【仕入れた古着は必ず1点1点確認】

自身でリメイク品を作成する場合、古着資材の状況を確認するのは最も重要なことです。特にヴィンテージものは必須。見た目は問題なさそうなのに繊維が硬化してしまっていて簡単に裂ける場合があります。またポケットや繊維の中に謎の金属片が混じってる事は結構多いです。(ホチキスの芯とかも厄介です)海外の蚤の市なんかで仕入れる場合は最も気を遣います。信頼ある古着卸業者から仕入れる場合でも念のためチェックは必要です。古着を解体して再構築する場合や古着をそのまま使用する場合でも一度検針機(ハンディタイプで十分)をかけて、キズや穴などの状態確認ついでに念入りに見ておきましょう。(大量の場合は業者に依頼するのも一つです)もちろん製品後の最終検品、検針は必須です。

【品質表示は付けます】

とりあえずここまで確認できたら自由にリメイク品を作りましょう。リメイク方法は色々ありますし、そのやり方もひとつではありません。ただこれだけは外せません。”品質表示”です。こいつがなんとも厄介でモチベーションが下がるのです。古着販売と違い、少しでも手が加わればリメイク品(繊維製品)となり避けては通れません。

〈素材混率表示〉

これに関しては仕入れた商品をよく確認しましょう。古着資材でもほとんどのものに元々付いています。そこに記載の素材混率を参考にしましょう。ただし、中にはテーブルクロスのような生地状のものやあらゆる素材をパッチワークにしたりすることもあると思います。その場合は万能の表記方法、”古着の為、混率不明”が手っ取り早いです。ある意味無責任な表記方法かもしれませんが、ほんとキリがなくなってしまうのですよ。もちろん、明確に分かればきちんと表記してあげてください。それと中には化繊アレルギーの方などもいらっしゃるので追記などで化繊素材も使用してる旨を表記してあげるのも親切です。

〈洗濯絵表示、アテンション〉

次に洗濯絵表示はどうするのか。正直ここの設定が一番苦しいです。作り手の裁量にかかってくるからです。素材は混率不明にできますが、洗濯方法は明記してあげないと困ってしまいますよね?もちろん最悪、全て✖表記できますが、そんな使い捨て商品かよ!って言われかねません。アテンションだって明記してあげないと後々トラブルの元になる可能性もあります。過去に綿、シルク、ウール素材のパッチワークみたいの作りましたが、各素材を事前に単独洗い加工入れたり、色落ちの実験したりして表記方法を探ったこともあります。仕入れた古着の素材が全く分からない場合は検査機関に依頼するのも一つです。ただ1点物の場合それだけで依頼すると検査費用だけで利益が吹っ飛ぶので状況に合わせて検討した方がいいですね。

【まとめ】

リメイクは作業も大変ですし、責任の重さもあります。服だけに限らず、物を作って売ってそれの対価でお金をもらう以上必ず責任は発生します。もちろんリメイク品を購入する消費者はある程度理解のある方が多いと思うのでそこまでトラブルになることはないですが、ネット販売など不特定多数の方が購入できることや顔が見えない取引の中で双方で理解や認識が必ず合致しているとは限らないのです。なるべくその溝を埋める努力をすることが作る側にはとても大事なことのひとつだといえます。




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