痛みについて勉強しなおす(25)---股関節の治療について勉強してみた①---

いつも勉強させてもらっている「Better Clinician Project」で以前、股関節の回にゲスト出演されていたMehmet Gem氏の「Simplified the Hip」(股関節を簡略化する)コースを受講してみました。Mehmet Gem氏は自身を「the Hip physio」(股関節の理学療法士)と名乗り、SNSでも股関節のマネジメントについて頻繁にシェアしておられる人です。今年の11月にもう一度ライブ配信があるようなので、このブログを読んで興味が出た人がいたら受けてみるといいかもです。(リンク)

で、コース自体の内容は自分のためのノートとしてブログ読者の方々とシェアする形にしますが、あくまでも自分のためのノートのつもりですので、全てをわかりやすく説明するような形で書いていくことはしません。ですが、もう少し詳しい説明を!という箇所がありましたらコメントをください。あと、例によって「股関節の治療なんて簡単じゃ!アホかおまえは!」っていう方々はここで読むのを終了してもらって大丈夫です。

まず初めに私自身に対しての反省を。私は股関節痛、例えば殿部の痛み、鼠蹊部(足の付け根)の痛みはほぼ全てトリガーポイント、もしくは筋肉の緊張として扱い、大・中・小殿筋、大腿筋膜張筋、恥骨筋、腸脛靭帯に鍼を打ったりマッサージをして「緩める」ということで治ると思ってきました。またそれに加えて、「体のバランスが悪いから痛いほうに負担がかかっている」と称し、体のバランスを整えるような手技、たとえば仙腸関節や脊椎調整や足の長さを整えるような手技、関節を緩めるようなストレッチや整体的なことを長年行ってきました。。正直、それで良くなった人(直後に患者さんが良くなったと喜んでくれた、もしくは次に来た時にあの後、とても楽でしたとの報告を頂いたというだけで、実際にどのようなタイムラインで症状が良くなったか、治ったのかの調査は一切していない←これが本当は超重要!)もすぐには良くならなかった人もいて、今冷静に振り返ってみると自分が行ってきたことはかなり怪しいと思っています。

過去のブログ「痛みについて勉強しなおす」シリーズでは多くの整形外科的情報もまとめてきました。しかし数少ない有料ブログ読者(40人程度)からのアクセス数は少なく、「なんであまり皆興味ないんだろうか?」と考えてきましたが、今回のセミナーを受けてわかりました。おそらく整形外科的情報は今の日本の鍼灸師、柔整師、マッサージ師、理学療法士、整体師たちには当たり前すぎることなのでしょう。私のようにエビデンスも何もない、科学的に医学的に考えておかしい理論に則って治療している方々は少なくとも有料読者の方々にはいないのだろう、と納得しました。私がイギリスに住んで21年半、きっと私は浦島太郎状態になってしまっていたのでしょう。大いに反省しています。

ところでノートに入る前に、仙腸関節を「調整」するといって両足の長さを揃えたり、膝関節や足関節を矯正すれば股関節が治ると称して「整体」をしたり、股関節周りの筋肉をほぐすと言って鍼を打ったりマッサージをしたりストレッチをしたりしている人たちは「股関節の痛み」の原因となる病名についてどれだけ知っているのでしょうか?その例を挙げると

上のように寛骨、大腿骨、骨盤の神経、筋肉、靭帯、腱にまつわる「病気、病変」がありますが、果たして仙腸関節を「調整する」、両足の長さを揃えるような手技、膝関節・足関節を矯正する、股関節にある筋肉をマッサージ、鍼を打つで以上の病変が治るのでしょうか?もしくはそれらの手技は股関節の痛みを取る!とでもいうのでしょうか?だとしたら、あなたの行っている手技によって骨、関節、筋肉、神経、靭帯などの組織の病変も解消され、痛みが取れるというのでしょうか?どなたかのエビデンスをもって生理学的、解剖学的に正しい論理的な意見をぜひ聞いてみたいです。

で、Mehmet Gem氏はそれら多種にわたる股関節の病変をいくつかに大きく分け、それらに絞って股関節の治療とマネジメントをしていけばいい、ということを主張されています。つまりそれがGem氏がいうSimplified(簡略化)なのでしょう。

@visiblebodyに感謝します

上の図のようにGem氏は様々な股関節の痛みの原因になる病気・病変を大まかにわけて

・FAI(大腿骨寛骨臼インピンジメント)
・股関節形成不全
・変形性股関節症
・大転子痛症候群
・鼠蹊部関連の痛み
・内転筋関連の痛み
・腸腰筋関連の痛み

と7つにわけて股関節のマネジメントを説明しています。(それでも7つ!)

もう一度、聞きたいのですが、仮に股関節の痛みの原因をその7つに単純化できたとして、関節調整や筋肉のマッサージ・鍼・ストレッチなどでそれらの病態・病変が変化するのでしょうか?そうだとしたらどのような作用で股関節まわりの骨・筋肉・靭帯・その他軟部組織が変化するのでしょうか?

そのことを考えたら、これまでのブログでさんざん紹介してきたように、各種徒手療法は一時的な鎮痛効果とプラセボ効果しかない、ということが当たり前のように感じます。

次回のブログ(今回の自分のためのまとめ的ノート)はもちろん有料ブログ読者のみ閲覧です。おそらくあと1週間ぐらいでまとめ上げられる予定です。

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