SBMを勉強してみた Part 6 ナチュロパシーとハーバルメディスン

ナチュロパシーという治療法は、日本ではあまり聞き慣れないのではないでしょうか?以前も書きましたが、私はアンドリューワイルの本で知っていたので、だいたいのことはわかります。まあいろいろな「自然」の治療法を組み合わせたもので、ホメオパシーもナチュロパシーの中に入るとする人たちもいます。私のイメージでは、「ホメオパシーやハーブ療法や他の”自然な”治療法全てを実践する(アメリカでは)医師やオステオパスと同じような職業だ」と思っていましたが・・・

それとこのレクチャーで言われているハーバルメディスンというのが漢方を指すのか、それともハーブ全般のことを指しているのかは不明なので、ハーブのサプリや塗り薬など含めたものをハーバルメディスンとして訳しました。ちなみにイギリスでは漢方は効果がない認定されています(笑)。

ところで「ナチュロパシー」という名称は”自然のもの”だから体にいいはずだ!っていうイメージしないですか?しかも医学に対するアンチテーゼのようなイメージもするので、人々は惹かれてしまうのではないでしょうか?

今回は、いくつかのケーススタディーがでてきます。徒手療法家でも起こりうるケーススタディーです。医師の治療が必要なのに、マッサージやカイロや鍼をし続けてしまっていたらと考えると・・・。あらためて医学と科学の重要性を認識しましたし、徒手療法家あるあるの「医学では治せない廚」(医者は治せないんだよ!鍼や整体だったら治せる!的な事をいう輩達)とは私は一線を画したいと思っています。


*ナチュロパシーとは
"Naturopathic medicine is a distinct primary health care profession, emphasizing prevention, treatment and optimal health through the use of therapeutic methods and substances which encourage the person's inherent self-healing process, the vis medicatrix naturae."
(ナチュロパシーとは(他の医療とは)別の主要な医療従事者で、人の固有の自己治癒能力を促進させるような方法や物質を使って、特に予防、治療、そして最適な健康を提供する医学である。)

Dr Hallによると上の黒字で示した部分には納得がいかない。人間の体には「ひとつの治癒能力」があると曖昧にひとまとまりに表現しているが、実際には様々な身体的作用(傷の修復機能、ホメオスターシスなど)が存在しているからだ。そして「the vis mediatrix naturae」という言葉使いもなんだか魂や生気やバイタリズムなどの観念的意味を含み、科学とは程遠い。そもそもバイタリズムと言う考えは、ずっと昔に哲学的にも科学的にも否定された考えだ。科学では、生命とは創発的な性質であり、化学的なプロセスである。

*ナチュロパシーはいろいろな事が組み合わせっていて定義しにくいが、少なくとも以下の特徴は挙げられる
・薬や手術を避ける
・”自然”の治療(法)を用いる
・予防に特に重きを置く
・バイタリスティック哲学(vitalistic philosophy)
・科学に基づく治療法だと主張しているが、SBM本流の考えとは一致しない
・例えば、エクササイズや栄養についてのいくつかの”正しいsensible”な
 アドバイスをする
・インチキ医学(quackery)と入り混じっている

SBMは一つの統合体。現在わかりうる最善のエビデンスに基づいた医学だ。ナチュロパシーでは、治療者が何でも取り入れていいと言う意味では漠然としている。例えば5人が5人のナチュロパスに行くと、おそらく5人とも違いった治療やアドバイスを受けるだろう。

*Benedict Lust(1872年〜1945年)
ナチュロパシーの父と呼ばれる。19C末、彼は結核を患ったと「思った」(がおそらくそれは違うだろうとDr Hall)。そして彼はドイツで自然の水を飲んで治った。そこから「自然の(natural)」の治療法に夢中になった。1901年、彼は「naturopathy」という名称をJohn Sheolという人から買い、初のナチュロパシー学校を設立した。彼はその学校で、マッサージ、ハイドロセラピー、ハーブの治療(herbal medicine)、カフェインとアルコールの避ける事、そして裸での日光浴の勧めを教えた。彼は19回逮捕されている。無資格で施術と公然わいせつ罪で19回逮捕されたようだ。

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