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徒手療法家のためのファシア考察

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ファシアについて徒手療法家が知っておくべき情報を随時更新していきます。またファシアに限らず徒手療法に関する事柄も随時追加していきます。
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#体の歪み

2016年アメリカでの解剖実習ノート再公開(Day 4-5) *最後にお知らせあり

(Day 4) 4日目の今日は残った筋肉を剥がしていくことと、いよいよ内臓に入っていくことになりました。 もう一度書きますが、体はファシアを介して全てつながっています。また組織と組織、内臓と内臓、内臓とファシアは繋がりつつも、膜でつつまれ、漿液などで”滑る”構造になっています。 Gil先生のDVDでもおっしゃっていましたが、いわゆる”癒着”は内臓でよく見られます。しかもそれはおそらく病的な状態であろうと。では筋、もっというと筋膜同士の癒着はどうか? たしかにそのような

2016年アメリカでの解剖実習ノート再公開(Day 1-3)

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痛みについて勉強しなおす (8)---関節、骨、DRGと痛みについて知っておくべきこと

骨と関節はよく”深部の痛み”とか”動くと痛い”ことの原因と考えられる。そしてその痛みは、しばしば人に動くことに対して恐怖感を抱かせる。多くの人が関節の中が痛いとか、骨が痛いという感覚は経験しているだろうし、よく”関節にオイルをささなきゃ”といった表現をする。 しかし実際は、骨は皆が思うように脆いものではない。衝撃を吸収し、日々の動きや姿勢によって少しずつ変形もしていく。骨は”生きていて”、また修復機能をも備わる組織。だから骨や関節にも危険を察知するセンサーは十分に備わってい

痛みについて勉強しなおす (7)---炎症について知っておくべきこと

痛みを考える上で重要なことは、我々の体の中では常に組織の「wear and tear(擦り切れ、消耗、損傷)」が起こっていて、それに応じて体の中の修復システムが働いているということ。それをより理解することで、組織の修復には何が必要なのか(例えば休養、動くこと、栄養、薬、手術など)がわかる。またこの「wear and tear(損傷)→修復」は筋、腱、靭帯などの軟部組織だけでなく、内臓(腎臓、肝臓など)の組織でも同様に起こっている。大雑把に修復システムを書くと、組織の損傷→炎症

2018年に考えてきたことの総まとめ

ある方から質問というか、あるリクエストを受けたので、本来は痛みに関する基礎的事項をすべて紹介してから総まとめとして書こうと思っていた内容を今から書いていくことにします。ずらずらと書き綴っていくので纏まりがないことを予め了承しておいてください。そして無駄に長いです(笑)。 今年の自分自身のテーマは「神経(痛)」と「痛みの科学」でした。私はずっと筋肉の”悪い”部分(いわゆる筋硬結)から骨格の歪みを治すという方針で治療をしてきましたが、2013年の解剖実習で筋肉からファシアに興味

プロセス・アプローチ③---非外傷性の骨格筋痛について---

前回紹介したEyal Lederman先生の「プロセス・アプローチ」では、症状を「修復期(Repair)」・「適応期(Adaptation)」・「症状の緩和期(Alleviation of symptoms)」に分け、そしてその状態に応じた適切な処置を行うことが重要、とのことでした。 これはLederman先生の講習会に出席した時、他の生徒が質問したことでもありますが、この3つの症状の状態を考えるうえで、いわゆる非外傷性の慢性の骨格筋痛をどのように考え、そしてどのような処置

プロセス・アプローチ②---講習会の感想---

週末にEyal Lederman先生のプロセス・アプローチの講習会に参加してきました。(*2016年5月のことです) プロセス・アプローチについての詳細は前回のブログで紹介したとおりですが、それに加え、患者さんの回復過程が、修復期なのか、適応期なのか、あるいは症状の緩和期なのか?をいろいろなケースを交えて皆と議論し、また、どのように対応(治療)していくのか?とうのを、実技を交えて紹介してくれました。 まずはじめに、以前ブログで紹介した「Biological reserve

プロセス・アプローチ①---症状の状態に合わせた最適なアプローチ---

前回のブログの続きで、Eyal Lederman先生の論文「a process approach in manual and physical therapies: beyond the structural model」 の詳細を紹介します。Lederman先生から日本語訳の了解も得ましたので、出来る限り詳しく紹介し、また私の考察も加えていきます。(全訳ではありません。要点を出来る限り詳しく紹介していきます) この論文で述べられている構造主義的アプローチとは、前回紹介した

PSBモデルからの脱却②---私の意見---

たしか2015年くらいだったかにこの論文を読んだ時は、非常にショックをうけました。かくいう私も、骨格の歪みや動きの分析を元に、痛みの治療をしてきたからです。 しかしその治療上の「信念」の裏で、つねに「◯◯が曲がっているから、☓☓が痛いのであれば、◯◯が曲がっている人は皆、☓☓が痛いのか?」という疑問がありました。 その疑問は、いつも患者さんの痛みが無くなったのと同時に忘れ(心の中に隠し)、また次の患者さんへ同じ信念(骨格の歪みを痛みの原因と考える)で接してきました。 L

PSBモデルからの脱却①---体の歪みと痛みは関係ない!!!---

今回のテーマは、今までにもチラホラ書いてきた「骨格のバランスや筋力の不均衡などが骨格筋の痛みを引き起こすというエビデンスはない」ということを取り上げます。 元ネタはEyal Lederman先生の[The fall of the postual-structural-biomechanical (PSB) model in manual and physical therapies: Exemplified by lower back] です。(クリックをするとリンク先に飛