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甘いトウモロコシが食べたくて塩をかける【農業冒険記#7】

僕は目の前のことを楽しみことをし続けている。なので1年前の記憶ですらかなり薄くなって思い出せない思い出がほとんど。
高校生の記憶はほとんどないし、クラスメイトの名前は3分の1も言えない。

そんな僕でも高校の時に行った実験を強く記憶している。

3年生の春に2人で1つのグループを組んだ。そのグループで何か1つ野菜作りに関係した実験をしなくちゃいけい。

僕らの班は甘いトウモロコシを作ってやろうという野望に狩られた。当時トウモロコシのうまさにハマってた高校生の純粋な挑戦。
きっと目がキラキラしてたんだと思う。

しかし、それからが問題だ。何を思ったか肥料の代わりに塩水をあげることになった。当時の僕らはバカだった。そんな実験を許した先生達も今では『なぜ止めない。』と心底思う。

塩水を行う経緯は今でもはっきり覚えている。

日本には塩トマトと呼ばれるトマトがある。このトマトはとにかく甘くて美味しい。
塩トマトと言っても塩を与えているわけではない。
海の近くの土地では地中に海水の塩分が蓄積されていることがある。千葉県の海辺なんかは塩トマトが有名だ。
塩トマトは塩を与えるのではなく、塩の多い土で作ることで甘さを手に入れていた。

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これは植物の生育をしっかりしっかりわかってないとできない。
植物の根というものは塩分に弱い。塩分に触れると根が焼けてしまい成長しない。

施設栽培や植物工場で有名なオランダはまさにその影響をもろに受けている。オランダのある土地は多くが海だった。そこに土を流したことで人が住めるようになっている。
色んな人はオランダの農業は進化しているというが恵まれた環境ではない。オランダで露地栽培をしようものなら野菜は1ヶ月もしないうちに枯れる。
だから施設での進化した農業が生まれている。

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オランダは施設に逃げた。
では塩トマトを栽培する人たちはトマトを栽培できるのか。

塩トマトを栽培する地域ではオランダほど塩分濃度が高くない。しかし他の地域と比べれば根は焼けるので栽培には適してない。
栽培から日数が経てば、地中に酸素剤を散布する。液肥を散布しなくてはいけない。地中から栄養を取れない分は人間の手で栄養を与えないくてはならない。

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ここまで苦労を重ねるととても甘いトマトができる。
トマトは水を吸いすぎると甘さがなくなる。甘くないトマトは糖分以外の養分が多いので甘さを感じなくなる。水をやりすぎると水っぽくなる。肥料をあげすぎると酸味が増す。
塩トマトは甘さ以外の養分を吸いにくい環境なのでとても甘いトマトになる。

そんなことを高校生の僕たちはトウモロコシに試そうとした。
しかも塩分のない土地で塩水を肥料に変えて。

もちろん、糖度は変わらなかった。
当然の結果。一手間で変わるわけもない。

それでは次の回で。
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