見出し画像

生きたいと思うデザイン

・VISION無きファッションデザイン

高校生の時からファッションが好きで、親のために大学に入学したものの夢を諦めきれず、勝手に退学届を出し、ファッションの専門学校に行きながら毎日バイトをしながら一生懸命ファッションデザイナーを目指し、気がつけばファッションデザイナーとして様々な経験をさせてもらいながら働いてた。

10年間の歳月、日々の業務と半年に一回行われる展示会に向けて、新しいファッションを生み出すためにせっせと働らき、なぜ自分にはファッションなのか、デザインとは何なのかを考えずに目先のものづくりを義務としてこなしてきた気がする。周りもなぜものづくりをするのかも考えずに半年に一度シーズンが来るから、稼がないといけないからものづくりをしていくデザイナーがたくさんいた。

一昨年から言われているサスティナビリティーの啓蒙でデザイナーも必要な分だけのものづくり、エコな素材で環境に優しいデザインをなど今までにないものづくりに対して気を付けなくてはいけないものが多くなり、窮屈に感じるデザイナーはたくさんいると思う。正直、私もその一人であった。もちろん、環境問題は深刻だし早急にファッション業界として取り組まなくてはならない問題であると思っている。

しかし、デザインに対してVISIONを持ってないブランドが多いゆえに、サスティナビリティーが一つのトレンドのようになってしまうファッション業界に対し、本当にこのままで良いのかと思い始めた。


・異業種出身のファッションブランド

そんな中、昨年会社を辞めフリーランスデザイナーとしてファッションブランドでデザインをさせてもらってたいたが、ファッション業界ではないブランディングやメディアの領域の方々からお仕事をもらう機会があった。ファッション業界の人ではないのでオーダーをもらう言葉は、売るためのデザインは売れないとか、サスティナブルなデザインにしろだ、人を幸せにするデザインをなどとか言われ、正直何のことやらと戸惑いながら、今までのクリエーションのやり方、発想の仕方に固執せず、新しく頭を切り替えて、試行錯誤オーダーに応えるために仕事をしてきた。

その中で、不調であるファッション業界に対し、可能性を見出し新しく設立する異業種出身のブランドを色々と研究してみたが、VISION がしっかりしていてブランドの存在する意義をはっきり言えるのは、雰囲気重視・世界観重視・ポジショニング重視のファッション業界としては珍しいものである。しかし、そのVISIONに対してのプロダクトのクオリティーが低かったり、落とし込みが足りず説得力のないプロダクトになっていることが多いことが分かった。


・「REING」というブランド

たまたま友達がディレクターをやっている’’REING’’というブランドでプロダクトディレクターをやる機会をもらった。

REINGは、「Every relationship is beautiful.」をVISIONに掲げ、その未来実現のためにプロダクトも作ったり、イベントをやったりなんとも説明しづらいブランドだが、要はモノを売るのではなく思想を売っていくブランドである。プロダクトディレクターが説明できなくて突っ込まれそうだが、、、、笑

このブランドとの関わりが、私にとっては大きな変換点となった。このブランドで作ったプロダクトが身に着ける人の性別を規定しない「みんなのためのアンダーウェア」だ。

本来、色や形、デザインなどは「あなた」の好きという気持ちで選ばれた方がハッピーだし、想いはそれぞれの自由。だけど、今の世の中のスタンダードはどうしても「男女」が前提になっていて、何かを選択する時、既にメンズ・レディースという表記で分かれているのが“普通”です。私たちは、無意識にモノを売る側や、売り場から、性別でラベル分けをされ、そのラベルに沿った見えない道を提示されます。だけどプロダクト開発に携わるメンバーの中には、レディースの服を着る男性もいるし、メンズの服を愛用する女性もいる。「男性のあなた」「女性のあなた」へ、と規定する必要はない、と私たちは考えました。
そこで、何度も話し合いを重ね「単純に、その人の“好き”っていう気持ちだけで選んでもらうためには、どうブランドとして伝えていけばいいのか。」を考え続けました。そうして至った結論が、「単にプロダクトからジェンダーの表記をなくすことではなく、その人が“ありたい姿”を選択できるように一緒に考え、伝えていくこと。」でした。

画像1

画像2

画像3

私は男性で異性愛者なので、プロダクト作る中で規定することができないジェンダーのメンバーとディスカッションしながら、その人が一番心地良い自分を見つけられるかをプロダクトに落とし込んだ。男女というラベルを外し、誰でも自分らしくいれるそんなアンダーウェアになればと。

アンダーウェアーの詳細についてはまた後日書きます。


・生きたいと思うデザイン

REINGが「REING Living」というイベントスペースのような場所をオープンするに際してのイベントを開催し、REINGの思想に共感するゲストたちが集まる機会があった。

来場してくれたゲストは、自宅のようにリラックスしてありのままの自分を出していて、「REINGのVISIONに共感し、それがしっかりモノにもなっていることが感動しました。」と言ってくれたり、イベントから帰る際に「生きてて良かった」と言って帰っていったゲストもいた。帰りの電車でその言葉を噛みしめながら、これが私がデザインをする意義なのではないかと実感した。

「生きたいと思うデザイン」

生活必需品である服の多くが、ただの消耗品になっている現在で、この服があるからこそ幸せになり生きたいと思うものを作り出すことが今必要なこと。「世界を幸せにしたい」と気取っててダサいという雰囲気のあるファッション業界で、世界を幸せにしたいブランドがもっと増えるべきだと思う。

環境を守ることでサスティナビリティーを実現するは大事だが、元々の根底に人の幸せがあり、そこから世界の幸せを作るができなければ、ただのトレンドでカスタマーが飽きるものになってしまう。

本当の持続性を持ったデザインを今年はもっと世の中に生み出していこう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?