【エッセイ】#天職だと感じた瞬間
今回はこちらのお題で執筆します。
大学生の頃、図書館ではDVDが視聴できて、よく授業の合間に映画を観てた。スペイン語をやっていたので、アンダルシアの犬、苺とチョコレート、そして、モーターサイクルダイアリーズ(※1)、ちょっとニッチな作品ばかり見ていた。
自分もバックパッカーだったけれど、モーターサイクルダイアリーズを観たら、自分の旅なんて可愛いもんだなと思った。
彼の最も有名な言葉のひとつを紹介したい。
どうして、アルゼンチン人の彼がキューバのためにあそこまで戦えたのか、不思議だった。大陸の連帯感というものは島国生まれの私にはピンとこなかった。日本で親切な日本人に外国人旅行者と間違えられたり、飛行機で日本人のCAさんに英語でドリンクを聞かれたりする私の日本人としてのアイデンティティは宙を彷徨っていたから尚更分からなかった。(ちなみに私は日本生まれ日本育ち、両親、祖父母、そのまたご先祖も日本人です。)
将来この仕事がしたい、なんていうものもなく、就職できなかったら、もう少し海外を旅したいな、なんて悠長なことを考えていた。残念ならが適当にやってた就活で、特に苦労もせず内定をもらい、その他大勢の新卒の皆様同様、社会人ってやつになった。ノリ決めた会社に一生勤める気はさらさらなかったけど、まさか2年で辞めるとは。でも業界にはまた戻ってくるつもりで辞めた。勝ち目のない勝負はしない。まずは土俵を見極めて、自分の武器を磨かねば。
極端に要約すればムカつく仕事だった。大抵の案件は、早くしろ、安くしろ、やっぱりいらない。更にムカつくのは、多少の交渉はあれど、大した結果にできない自分。マジで週一くらいのペースで1.5倍速でハゲろとお祈りしていたと思う。誰にとは言わないけど。そして悲しかった。そういう諸々を下請けだから、時代だから、斜陽だからと、考えることを辞めてしまった生産者。
ああ、これか。心の底から深く悲しむってやつは。同時に怒りやら憤りやらもくっついてきた。客の奴隷にはなりたくない。
天職というのは、多かれ少なかれ、その人の心が動くことでしょう。多くは好きや得意、憧れや、やり甲斐なんかから始まるのかな。私の場合は、1.5倍速でハゲろとお祈りする瞬間から。誰とは言わないけど。
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