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[読書]金融暴落!グレートリセットに備えよ 岩永憲治

面白い。特に資産運用に興味がなくても、国際情勢の見方を学ぶ、という意味で読んでみて損はないと思う。

著者は元外資系の為替トレーダー。元自衛官から銀行員になった、という経歴の持ち主らしい。

かなりの修羅場をくぐりぬけてきたのだろう。金融市場の経験のみならず、各国の外資系銀行での業務経験にも裏打ちされた視点で、市場の動向や、当局者の考え方を、我々にも想像しやすい形で記載している。

タイトルになっているグレートリセットとは、2024年の後半にも発生するであろう、米国株式市場の暴落のことだ。(当然ながら、米国株式市場の暴落があれば、日本の市場も影響を免れることはないのだが)

それを裏付けるため、特に1920年台の大恐慌の振り返りや、その後の戦争前の為替相場等の歴史についても、ページを多く割いている。

いくつかの興味深い指摘がある。

まず、戦争前に資金を米国に集めることを主眼として、ドル高政策を行うことがある、という指摘(単に”Buy on the rumor, Sell on the fact”という別の指摘もあろうか、とも思うが)。ウクライナ問題への米国および各国の関与と、それによる武器供与の枠組みが整った、ということが昨年後半に一旦ドルがピークアウトしたことと関係がある、という見方は新鮮だった。

また、市場をいわば「思い通りに」操る米国が、2024年の株式暴落の後に起こるであろう新秩序の構築についても計画通りに進めている、という指摘には、恐ろしさも感じる。

ドルが金本位制に復帰し、その際の金が1オンス6000ドルになっているだろう、ということであれば、今からでも金を買っておこう、という気になる。

昨年からは、米国が無理やりにも株価を維持しようとしているように見えたが、その中で、日本で平均株価が3万円を超えてきて、かなりの楽観論が増えてきているところなど、著者が指摘している最後の上げが始まっている、ということの表れかと思うと、今からついていかない方がいい、という気になってしまう。

日本は米国のファイナンスを続ける主体として米国と一体として動くことを期待され、その通りの政策を続けている、というのが著者の見方だろう。

仮にそうだとして、最終的にグレートリセットが起こった後、ファイナンスした分をとりっぱぐれてそのまま、ということにならないようにするために、国として何ができるのか、或いは、米国との協調の中で、日本も出口戦略を共有されているのだろうか、というところが気になった。

元々個人としては大量に保有しているわけではないので、失うものもそれほどないのではあるが、今後の日本の若い世代が苦労しないといいのだが。


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