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#2コピーの神様は、深海にいる(I先輩の教え)

おはようございます。こんにちは。こんばんは。FantaRegista尾田です。
前回から始まりました連載記事『コピーライターって何ですか?』。

2回目は前回プロローグで終わった「コピーは書くものではなく、探すもの」というI先輩の教えを紐解いていきたいと思います。まあ、むしろ、更に謎が深まるという感じですが、、、(;'∀') 
題して、「コピーの神様は、深海にいる」です。


コピーライティングとは、深海におぼれてゆくことである、、、??


いよいよ切羽詰まって「コピーってどうやったら書けるんですか??」と、ど直球に質問した僕。 だが、I先輩の答えはだいぶ予想と違っていた。

「もっとTCC年鑑を読みまくれ」でも「高名コピーライターと飲みに行け」でもなく、「探すんだヨ」、と、、、

困惑と、半ば絶望の顔の僕を見かねたのか、I先輩は(これが彼の代名詞なのだが)子どもに諭すようなやさしい口調で語り始めた。


俺って不器用だしバカなんだよネ~
だからコピーのことも、な――んも分からないの

(は、はぁ、、、?)

だから、どうしたらいい? こうしたらいい??みたいなことを
ずっ―――と、考えてる

(は、はい、、)

なんかさぁ~、俺たち以外に考えてあげる人はいなっていうかさぁ、、、
俺たちがやってあげないと、と思うんだよネ~

だから、どうしたらこの人(*作者注釈:商品とか企業のこと)の良さが分かってもらえるかナー?とか、好きになってもらえるのかな~?とか、けっこうウジウジ、色々考えてさ、、、

(は、、はい!!✨)

でも、、、
結局良く分かんなくなって、全然なんも出来なくなるんだよネ~

(おいっっ!(# ゚Д゚))

だからともかく俺の場合は、ともかく、いっ―――ぱい出すようにしてる。
なんでもいいんだヨ!って感じでね。 そうだなぁ~、、100個とか、、別に数は決めてないけど、ともかくいーっぱい出すの

(そんなに、、??)

最後はネ~、もうむちゃくちゃ。ともかく何でもいいから出すって感じでね~ バーカとかアーホとか、、、、もうむちゃくちゃ(笑)

(バカ、、?  あほ、ですか、、、?)

それでも全然分かんなくてネ~ ずっとやってると、目の前が真っ暗な感じになるの。なんか、、深海におぼれてゆく感っていうか、、、

(し、んかい、、、??? (-_-;))

ぶくぶくぶく、、、

どんどん底に沈んでいく感じで、真っ暗でなんも見えなくて、絶望だけあるってかさぁ~、、ああ、俺もうダメだ、、、い、息が苦しいぃ、、手をバタバタさせても何もつかめない。いよいよおぼれ死にそうになってもがく、、、

(、、、、)

で、結局、気を失うのよ、、、まっくら。

でもね、なんかネ、、、
目が覚めたら、キレーな海岸に打ち上げられているの。カモメなんか鳴いててさ。イメージ的にはさあ、ホラ、(*作者注釈:未来少年)コナンの最初みたいな? 俺がなんか寝てるわけよ、波打ち際に。波がザザーンで、朝日キラキラ、みたいな?

(みたいな  (-_-;)?)

でさぁ、、、その時なぜか必ず、紙を一枚、右手に持っているんだよネ~

でネ、でネ、、、
びゃっ!と開くとさ、そこに書いてあるのが、
探してたコピーなんだヨ、、、、

と、いうような話をしてくれた、、、。

うん、、、、


わからんな、、(;'∀')

正直そう思いましたよ、、、

そりゃそうでしょ?
コピーは書くっていうより探す、ってだけでもトリッキーなのに、
深海まで出てきたんだから、、、(;'∀')

ごめんなさいI先輩。
きっと「コイツ納得してねえな」という顔をしていたと思う。当時はね、、、

でも、大丈夫。今は分かりますよ。


愛を全身に取り込んで、自分と限界まで向き合う苦行の旅


I先輩の「深海発言」には、大きく二つポイントがある。

ひとつは
向き合う商品や企業に対して全力で愛を注げ、ということ。

I先輩は彼らしい謙遜した言い方をしたが(イヤたまにホントにこの人バ〇なのでは??と思うことも後年あったけど、、(;'∀'))、きっと、自分で分かったふりをしないで商品や企業を徹底的に調べ、熟知しろ、ということを仰っていた。

不器用である、頭悪いって言えるのは、そこに「エゴを入れないこと」を意味する。商品や企業の表層的な特性や特長(まあ、オリエンシートに書いてあるようなこと)で分かった気にならず、そのバックボーンとか秘めた想いみたいなことを体内に取り込もうとする努力を怠らない、ということだ。それは愛に他ならない(もっと言うと、彼は「俺たちは義侠だ!」と言って更に僕を混乱させていたのだが、、、)。

そしてもうひとつは
自分と向き合って、自分の限界を超えろ、ということ。

数にはこだわっていないが、まあ、100は出す、とI先輩は言った。当時は手書きで書いていたから膨大な作業だ。「てにをはを変えれば100案なんてスグだよ~」なんて本人は照れていたが、実際やってみると意外と出来ない。どれも同じになってくるからだ。それでもなんとかして100に近づけるということは、自分の想定を超えることを自分に課していた、ということだと思う。

普通に考えて、バカ、アホなんてコピーは、ほぼありえない。そのありえないまでを掘り下げてみて、ようやく何かが見つかるかもしれない。自分の想定内では気づけなかったことが見つかるかも、、そんな感覚だったに違いない。

今、掘り下げてみて、と言ったが、I先輩の言い方だとそれは「深海に潜る」だった。そう、彼は深海に潜りながら、探していたのだ。

イヤ、別に、家の近所が海だったから気晴らしに飛び込んだ、
とかそういうハナシではなく、、(笑)

物理的には原稿用紙にただただ書いていた。だが、そこで彼がしていたのは、ひたすら数を書くという行為を通じて、もっとないか?もっとないか??という暗中模索の旅だったのだ。

深海に例えたのも、実にI先輩らしい。
もう皆様お気づきの通り、深海とは自分の内面のことだ。

精いっぱいインプットした商品愛を、そのまま出す。
そんなシンプルなことだが、意外と出来ない。いざアウトプットしようとすると、どうしても自分というフィルターが入る。「コピーには人生が出る」と言われるのはそのためだ。

自分の内面という深海は、けっこうなダークサイドだ。いいコピーを書きたいという功名心に逸る自分、ライバルに負けたくないという自分、プライドという名の見栄にしがみつく自分、(I先輩だったら「バカな自分」っていうかもな(笑))、、、深海ではそんなどす黒い自分と向き合うことになる。

そんな自分との無意識な対話とか勝負を続け、限界まで潜ってゆく。
早く浮かび上がって息をしたい。それでも潜る。ぶくぶくぶく、、、
そんな地獄のような作業だ。

でも、、、、
その深海の底ではコピーの神様がちゃんと見ていてくれて、
ぶくぶくともがいている人に、そっとご褒美をくれるのだ、、、と。

その時I先輩は、ここまでは言っておられなかったような気もする。
自他ともに認める、不器用な人だったから(笑) 

だけど、コピーは、愛を体の中に一杯取り込んで、更に自分の内面と対話する苦行の旅。書くなんて行為は通過点というか、過程の作業に過ぎない。おだくんはそれをしないで、TCC年鑑にある見事な言葉たちを表層的に真似していただけ。それはただのモノマネだネ~。向き合うべきはそこじゃないんじゃないかナ、、、。

と、いうことを教えてくれた。

と思っているんだが、、、どうだろ?? 後年になってようやく気づけた僕の解釈がいっぱい入ってるからな  (;'∀')

ともあれ、、、なんだか大変に精神論、抽象論になってしまいましたね、、、スミマセン。AIコピーライター時代の若い方々には、毎回100案書いてる暇なんてとてもないし、そもそもそ深海なんて何言ってるのか分からない、、、って感じだろうし、僕も今時こんな昭和的精神論が絶対正しい!!なんて言う積りもないのですが、、

ただ、深海に潜ったかはともかく、どことなく自分と向き合って這い上がってきたな、って雰囲気を醸し出している後輩君たちが僕に見せてくれたコピーは、文字通り光っていた。そこに至ったコピーは、どんな若手が出したコピーでもほぼ一発で採用になったし、「出たな!」「 アレはヤラレタネ~」というみんなの賛同も勝手についてきていた。

そしてその後輩君たちは決まって、控えめながらも凛とした、キラキラといい顔になっていた、、、そんなご褒美が、必ず存在する。コピーの神様は自分を不器用にさらけ出す人を深海の底で見守っていて、そっと微笑みをくれるのだ、と、、、


ある時I先輩がこの「深海論」をまた別の言葉で表したのだが、、、
次回はそれについてお話ししたいと思います。

#3 「思いつくって意味知ってた??」をお楽しみに!


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