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電子ピアノの防音(防振)について

 電子ピアノに防音なんているの?
 音量下げればいいし、そもそもほぼヘッドホンで聴いてるから周りに音なんて聴こえてないし。

と、甘くみていました。以前の私は。

 しかし、おうち時間が増え、家で昼間ピアノを弾く時間も増え、ガシガシ練習するようになると、なんとマンションの(階下ではなく)階上からクレームが来てしまいました。

「何かドラムとか叩いたりしてます?」

 そう、ピアノの音ではなく鍵盤を弾く打鍵の振動音が響いて、階上にも伝わってしまっていたのです。すぐお詫びをし、念のため、階下の方にも聞いてみましたが、昼間はいないことが多いのであまり気にならなけれど、でもいる時は聞こえるとのことでした。

 そうか、私の下手な演奏は聞こえなくても、ダダダダン!ダダダダン!と叩く三連符や、山下洋輔サンのマネと鍵盤をダカドン!ダカドン!と叩く音(さすがにエルボー奏法はしてません)が、階下にも階上にも迷惑をかけてしまっていたのだな、と反省しました。

というか、それほど強く鍵盤を叩かなくても、普通の曲を普通に弾いていても、電子ピアノの打鍵音というのは結構床に響き、その振動はかなり周りに伝わっていたのです。そう、ピアノは打楽器と同じなのです。

 一応、以前から電子ピアノの足部分にカーペットの切れ端を挟んだり、ピアノ自体を壁から離した場所に置いたりはしていました。しかしそんな簡単なことではダメで、調べてみると電子ピアノの防音防振対策は思った以上に大変なことがわかりました。本気で対策してる方々からはこんな意見も ↓

・そもそも電子ピアノといっても家で楽器を使うなら防音室ぐらい使うのが当たり前。
・窓に遮音シートを貼った上でその上に吸音シートを貼って(遮音と吸音は別)、ドアにも隙間テープを貼って、さらに床全面には防振シート&遮音シート&吸音シートを敷き、換気口には専用のゴムを云々…etc. …。

防音室?150万円くらい?!?!
アホか~~!そんなもん買えるブルジョワジーならとっくにグランドピアノ買って夜中にショパンでもなんでもガシガシ弾いとるわい!

窓に遮音シートと吸音シート&床全体に防振シート?そこまでして換気対策もできる自分専用の部屋持ってる位だったら、それこそとっくに完全防音室のある物件か田舎のポツンと一軒家にでも引っ越しとるわい!

…というわけで、そこまで本格的にお金をかけたり家を改装したりしないで庶民でもできる電子ピアノの防音防振対策はないか、といろいろと調べてたどりついたのがこのサイトです。

防音専門ピアリビング  https://www.pialiving.com/index.html

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こちらにピアノの防音についてかなり詳しい解説があり、ピアノの防音対策 https://www.pialiving.com/taisaku/piano.html
電子ピアノの防音防振についても詳しく載っていました。

生ピアノだと、やはり空気音に対する防音対策も必要なようですが、電子ピアノであれば、まずは床の防振対策が何より必要なことがわかりました。
そんな訳で、私がとった対策はこちら ↓

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上から順番に、
 ・静床ライト ばら3枚(ブラウン) 9.5㎜厚 50㎝×50㎝ ¥3,960
 ・P防振マット 10㎜厚  910㎜×455㎜ ¥3,080 ×2
 ・足音マット 滑り止めつき 7㎜厚 50㎝×100㎝(7㎜厚) ¥3,300 ×2
 ・床保護用シート タイベック 1m×1m ¥880 ×2
合計 ¥18,480 です。

あとから調べたところ、快適防音マットウッドという、一枚でちょうどいいサイズですむ商品¥14,300 もあったようですが、上記にしてよかったな、という理由を紹介します。

まず、一番下の床保護用シート タイベックです。

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フローリングの床に直接P防振マットを敷くと、ゴムが床にこびりついてしまうのではないか、また床を保護する意味でも敷いた方がいいのではと思い購入しましたが、これに関してはモコモコの足音マットの上にP防振マットを敷くということがわかり、もしかしたら要らなかったかもしれません。

しかし、案外よかった点はこのタイベックを敷いたことにより、ピアノを置いた後も細かい位置調整ができるくらいに滑る、という点です。電子ピアノの重量はかなり重いので、普段はしっかり固定され問題ありませんが、設置したあと微妙に動かしたいという時に一人で動かすことができたのでよかったです。

次に足音マットです。今回いろいろ調べていて思ったのは、マンションなどで多い騒音クレームのひとつに子供の足音がかなりある、ということです。幸い?ウチも含め上下左右また近所に小さい子供はいませんが、もしいたとしたら、ドタバタと四六時中音を立てられていたらそれは大変迷惑なことかと想像します。

言い換えれば、ピアノをポロポロカタカタ弾くというのは、子供がドタバタ駆け回っているような迷惑を近所にかけていたということなのです。そんな訳で、P防振マットだけよりも、念を入れて更に重ねた方がより防振効果があると思い、足音マットも敷くことにしました。

そして今回、電子ピアノの下に敷くということで、静床ライト3枚(50㎝×150㎝)でちょうどぴったり入るサイズで合わせて諸々購入しましたので、この足音マットをカットした端切れが出ました。

何に使おうか考えたところ、苦し紛れですが、電子ピアノの背面に貼ってみることにしました。(養生テープを貼った上に強力両面テープで貼り付けています)

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やっておいてなんですが、これはあまりオススメしません。かっこいいRolandのロゴが隠れてしまう上に、スピーカー音の抜ける穴までふさいでいるので、ヘッドホンなしで音を出す時には確実に音がこもってしまいます。
スピーカー自体は本体の下向きについているので音は出ますが、空気穴(もしかすると電子製品なので熱を逃がす穴かもしれません…)をふさぎ、背面をこのようにマットで覆うと音が少しにぶります。

それでもあえてやったのは何故か。それはまず、ほぼほぼ家に誰かを呼んで聴いてもらう機会がない(スピーカーで音を出すことがない)ということと、少しでも電子ピアノ自体が出す振動を減らしたい、と思ったからです。

今回、電子ピアノの防音防振対策をしていて思ったのは、床の振動音はかなり減らせたとしても、実際の鍵盤を弾くカタカタ音(いわゆる空気音)は、絶対に減らせない、ということです。そしてこのカタカタ音が、結構うるさいのです。静かな曲ならば問題ないですが、ショパンなどの超絶技巧曲を弾いていたら相当カタカタいっているはずです。それをなんとか防ごうと思ったら(周りに聞こえないようにしようと思ったら)、それこそ「防音室を買う」か「部屋ごと完全な防音室にする」しかありません。

そんな訳で、苦し紛れではありますが今回、電子ピアノ自体を響かせないようにするために、足音マットの端切れを背面に貼ってみました。

ちなみに、この度あらためて電子ピアノを隅々まであらゆる角度から見たところ、スピーカー空気穴共鳴板など、実際のピアノの音に近づけるために、鍵盤だけでなく随所に様々な工夫がなされているんだなと感動しました。でもそれをあえてふさぎ、振動させないようにしたのです(苦笑)

そして同様にP防振マットのあまった端切れも、かなり重たいので共鳴板に貼り付けてみました。初めは共鳴板自体を外してみましたが、途端にピアノ台の強度が弱まりグラグラしてしまったので付け直し、板にP防振マットを強力両面テープで貼り付けてみました。効果のほどはわかりませんが、ほんの少しでもピアノ本体自体の振動を抑えているのではないかと思います。

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ちなみに、P防振マットは下に足音マット・上に静床ライト、と今回のように3枚重ねのサンドイッチ状態で使うのであれば5㎜厚で十分なようですが、念には念を入れて倍の10㎜厚にしました。

そして最後、一番上の静床ライトです。これのよかったところは、ご覧の通り、カーペットであることです。冒頭でふれた一枚ですむ快適防音マットウッドはウッド調のプリントを施したビニル製で、汚れてもすぐ拭ける便利さ、またビニル製だと音を吸音しにくいので実際のピアノ音の響きを損なわないという、生ピアノなど音を出す場合のメリットがあるようですが、今回私が目指しているのは、とにかく音を出さない(静かにする)電子ピアノなので、ビニル製よりも吸音効果があるカーペットの方がよかったのです。

またもう一つ、カーペットでよかったことが、ペダルが安定して踏みやすくなったことです。どういうことかというと、私が使っているような重量もあり共鳴板もあるような電子ピアノは、ピアノ台の両足2本だけでなく、実は真ん中のペダル部分にも支える足があり、3点で支えています ↓

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このようにサスティンペダルの横に丸い足が付いており、これを回して床に固定しているのですが、カーペットだと床にめり込ますようにギリギリまで回して、しっかり固定することができます。これにより、以前のフローリングの時よりも安定感が増し、ペダルも踏みやすくなりました。

という訳で、これでピアノ自体の防振対策はかなり万全にできたのですが、一点問題がおきました。それは、9.5㎜+10㎜+7㎜と、2.5㎝以上の厚みができたせいで、今度は椅子が低くなってしまったのです。

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椅子はこのように高さ調整ができるものですが、私は身長162㎝で足も短く椅子の高さは高めが好きなので、いつも最大の高さにしていました。そこでこのマットの分、椅子が低くなってしまったのです。2.5cmくらい、と思うかもしれませんが実際ピアノに向かってみるとかなりの違和感です。それくらい、ピアノを弾くときの椅子の高さというのは重要なのです。

本来ならば、この椅子の箇所までマットを敷きたいところですが、そこまでの予算はないので、今回椅子に関しては、100均でゴムとフエルトシールを買って貼り付けることにしました。

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こんな感じです。2㎝まではないですが、座ってみたらちょうどよかったので、今のところこれでいきたいと思います。ちなみに滑らないタイプのゴムをつけると椅子をずらせなく非常に不便なので、このようにフエルトタイプの滑るものがいいです。

という訳で、ここまで電子ピアノの防振対策を施してみました。なぜここまでするかというと、それはひとえに近所に迷惑をかけてしまったからです。
念のため階上と階下の方に聞いてみたところ、前のような振動音はほとんどしない、とのことでした。これでひとまずは安心してピアノが弾けます

しかし、先ほども言ったように、このマットによって振動は減らせても、物理的なカタカタ音(空気音)はどうしても減らすことができません。それでもなんとかと思い、部屋のドアに隙間テープを貼ったりもしました。後は、なるべく静かな曲を弾く、夜には弾かない、練習時間を短くする、などの配慮も必要でしょうし、結局何より大事なのはご近所さんとちゃんとコミュニケーションを取ることです。互いに気になったら言う、言われたら直す、ができるようにしておくのが大事ですね。

しかしまぁ、ここまで色々考え対策を講じてきたなかで、ふと思ったのが、そもそも打鍵音の静かな電子ピアノはないのか?ということです。

そこで、今度は私がなぜローランドRolandの電子ピアノを選んでいるのか、ヤマハYAMAHAも音がいいけど、もしかしたら今はカワイKAWAIがベストなんじゃないか?という話になってくるのですが、その話はまたいつか。

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