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【アルバムレビュー】SMAP 003

最初にことわっておく。私は90年代中期までのSMAPを知らない。
私がSMAPを好きになって追いかけたのは、森くんが脱退してからのことである。

オマケに、未聴のアルバムもいくつかある。一生をかけて少しずつでもSMAPの曲を追っていこうと心に決めているのだが、不完全なファンであることをご了承願いたい。
それでも、当時の彼らの音楽を聞いて、当時の雰囲気を感じ取った、後追いの目線でレビューを書きたいと思う。


アルバム概要


この『SMAP 003』を聴く前に、『SMAP 001』、『SMAP 002』を拝聴した。
『001』は、デビューアルバムということもあって荒削りだが、アイドルとして色んな方向性を見せてくれて、ある程度満足だった。

ところが、92年発売の『002』を聴いたとき、正直「どうしたんだろう…なんとなく迷走しているような…」と思ってしまった。(当時の6人には悪いのだが…)
どん底の時期(コンサートに客が2人しかいなかった)をやっと乗り越えたあたりだったからか、その雰囲気をまだ引きずっていたのかもしれない。


しかし、翌93年元日に発売された、この『SMAP 003』はその迷走時期を払拭するような出来に感じた。
92年に『心の鏡』、『負けるなbaby!~never give up』、『笑顔のゲンキ』と【聴くものを励ます】曲の路線が固まったということと、6人が自ら望んでバラエティ番組に挑んだことが大きかった。
この2つがSMAPの基盤となり、解散するまでその後23年間、この基盤が揺るぐことはなかった。

そんな苦難の92年を乗り越えて、出してくれたアルバムが『SMAP 003』なのだ。
ジャケットの6人の笑顔が晴れやかなのが何より良い。SMAPの全アルバムのなかでこのジャケットが一番好きかもしれない。
内容はどの曲もアイドルらしく、キラキラして輝いているように感じる。


以下レビュー。


Scarface Groove
全編キラキラ感満載のなか、この1曲目のみダウナー感があり、聴いた瞬間から「これまでのSMAPと違う」という予感を感じ取れる。世の中の不条理に飲み込まれそうになりながら、懸命に生きる若者の気持ちはこの頃のSMAPにしか歌えない。


いますぐ天気にしておくれ
童謡の『てるてる坊主』を曲中に挟むという斬新な曲だが、このリズム感が意外にもノリノリで、聴き続けるとやめられない!ライブで歌うと客席とすごく一体感が出ただろうな~と想像する。


Happy Birthday
92年にSMAPが固めた【聴くものを励ます】路線の曲であるが、隠れた名曲ではないだろうか。「生まれてきたことを 君がかなしまないように」「出会えてしあわせだって つたえ続ける」この歌詞に、私は何度励まされたかわからない。


Cry
ドラマ班と呼ばれる、木村、森、吾郎の3人による曲。まるで星のような煌めきの旋律が、3人のイメージと声色を一層引き立てる。別れの悲しさとアイドルのキラキラの同化具合が絶妙。


言わなきゃわからない
剛、慎吾のシンツヨコンビによる曲で、同コンビの『さよならの恋人』(001収録)、『Heartの秘密』(002収録)より、少し大人になった2人を感じられる。ユニゾンはもちろん、息ぴったり。


二人のLove Train
この曲でアルバムのキラキラ感は頂点になる。後にブラックミュージックに移行したSMAPにとって、正統派のアイドルっぽさを感じとれる数少ない曲。


うまくいかない
木村、慎吾のコンビによる曲。後にこのコンビで数多くの曲を発表するが、これが初めてとなる。失恋の息苦しさを描いているが、二人の歌唱と曲調が相まって爽やかに聴ける。


悲しくて眠れない
中居のソロ。彼に音痴キャラを思い描く方は意外かもしれないが、中居の歌声が悲哀の感情にピッタリなのだ。その後、ソロでお笑い路線を歌い続けた彼にとっては貴重な一曲。



総評

次作『SMAP 004』からジャケットに顔写真を載せなくなり、のちに大物ミュージシャンを迎えてのブラックミュージック路線に変わったSMAPにとって、『SMAP 003』は全編キラキラな旋律曲が多く、正統派アイドル路線として貴重な1枚。
アイドルとしてのSMAPを感じたい人にオススメ。

同時に『SMAP 003』は、どん底から這い上がってきた6人の歩む道が固まり、「俺達は俺達の道をいくんだ」と言わんばかりに自信に満ち溢れているように感じる。
SMAPの青春と若さが詰まっている、そんなアルバムに仕上がっている。

オススメ度【★★★】


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