#37 お通夜は面白い

昨日、お通夜を終えた。

死化粧



式前、忙しくしていた祖母のため早めに会場を訪れた私と母。
親族控室には祖母と死化粧を終えた祖父。
すぐに祖父に気がついた母に祖母が言う。

「見てみぃ、すっごいええ笑顔やけぇ」

笑いながら、自分を笑わせながら、祖母は私たちを誘導する。
祖父はとても穏やかに笑っていた。
それを見て母も笑った。私も不覚にも笑ってしまう。

笑われた祖父はおそらくいつものように怒っている。


ほんまもんのヤクザ

祖母の弟さんも来て四人で談笑していると控室のドアが開く。
60代後半、坊主、眉毛は刺青
祖母はすぐに誰かわかり、駆け寄る。

「しょうちゃ〜ん(仮)来てくれたんやねぇ、ありがとう」

「もちろんじゃあね」

私は初対面の親戚が多い。
と思っていたが母を見てただ事ではないと思った。
母の動揺した顔。
祖母の弟さんはすぐに正座に切り替え、姿勢を正す。

なるほど。ヤクザである。

お焼香をすまし、少しの会話が終わった後、すぐに行ってしまった。
母は祖母に誰か尋ねる。

「大親分」

その一言で全てを察知する。
親分は祖母に

「俺がこんなとこ来たらダメやけぇの、すぐに帰るわ」

と言っていたらしい。
一家が反社と関わりがあることを知られてはいけない。
にしても、あのオーラは確かにただものではない。
それよりもちゃん付けで呼ぶ祖母が一番怖い。
祖母に何かあればいろんな人が動くに違いない。


お通夜が始まっても面白いことはあった。
それはまた今度。
今からの葬儀を終えてから。


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