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〈勝手に見どころ解説〉沼津@大阪松竹座七月大歌舞伎

執筆が遅れに遅れ、千秋楽まじか。。。。申し訳ありません。

さて、今月の松竹座は成駒家兄弟の上方の風ただよう、沼津。セリフ回しも心地よく、舞台も後半暗く、なんかウトウト。。。私は昔、よく寝ました、はい。お芝居の肝の「平作家の場」で爆睡していました。この場面が来ると、突然、話が分からなくなって眠気が。。。
なぜ突然話がわからなくなったのか、、、このお芝居、実はお家騒動が背景にあるのです。その「お家騒動」が分かると、この「平作家の場」は目が離せない。そして、最後の「千本松原の場」では、ハンカチが離せないほどの涙。
というわけで、三大仇討のひとつ「伊賀越道中双六」より「沼津」の世界をご案内いたします。


三大仇討は「一・富士、二・鷹、三・茄子」

三大仇討といえば、大阪松竹座・昼の部上演の「吉例寿曽我」の題材となった「曽我兄弟の仇討ち」に、忠臣蔵でおなじみの「赤穂浪士の仇討ち」。そして、今回のお芝居「沼津」の題材である「伊賀越の仇討ち」です。
数ある仇討から、この3つが選ばれているのは、「一富士二鷹三茄子」からきているともいわれています。
曽我兄弟が、工藤祐経を討ったのが「富士の裾野」。
赤穂浪士の主君である浅野内匠頭の家紋は「丸に違い鷹の羽
そして、伊賀越えの仇討ちでは、「伊賀」上野で、荒木又右衛門が「名を成した」。
この「富士」、「鷹」「成す(=茄子)」からきているといわれます。伊賀越えの仇討ちだけ、クオリティがちがうような気がしますが、一説に茄子のヘタが「イガイガ(伊賀伊賀)」しているからとも言われますが、それでもなかなか無理がありますね(笑)

さて、今回とりあげる「伊賀越道中双六・沼津」は、その三大仇討の「伊賀越」のお話が縦軸にあります。では、まずは、「沼津」の場面に至るまでのお話をご案内いたしましょう。

「伊賀越道中双六」の発端


このお芝居の全体は、お家の宝刀が絡んだお家騒動です。
剣術師範であった和田行家の子息・志津馬(しずま)は、家に伝わる、正宗の刀を質に入れてしまいます。志津馬が宝刀を質入れしたのは吉原遊郭の傾城・瀬川のもとに通う金欲しさからでした。志津馬の父・行家は、質屋から刀を取り戻し、息子に刀を入れるように誘ったのは、行家の門弟・沢井又五郎だと突き止めます。沢井又五郎は、質入れさせた刀を奪い、和田家を取り潰そうと企んでいましたが、見破られため、行家を殺してしまうのでした。
現場に残された小柄(こづか※小刀のこと。)に彫られた家紋から、行家暗殺の犯人が沢井又五郎と知れ、行家の子息・志津馬がその行方を追いかけます。

沼津に登場する、呉服屋十兵衛、平作の娘・お米がこのお家騒動にどうかかわっているかはこの続きに。。。↓↓↓

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