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ある八百屋の話 ~世論が正解ではない~

ところで、この世論というものはやっかいだ。やたら声は大きいし、やたら正義面をしてくる。そもそも世論が正しいわけではなく、あくまで多数派なだけだ。いや、そもそも本当に多数派なのか。ただ声が大きいだけなのではないか。

だいたい世論が概ね正しいならば、政治家なんていらないし、専門家もいらない。世論調査だけしていればいいではないか。我々はそのニュースの背景も知らなければ、専門の知識があるわけでもない。もちろん、感情や経験で判断して世論が正しいことも少なくないが、だいたいのことで我々は無知であり、その無知であることを自覚したうえで判断をした方が賢明だ。

また、世論は切り取って扱われやすい。つまり問題を単純化されやすい。そこで重要になるのが全てが「はい」「いいえ」で解決できるものでもないということだ。この点では賛成できるけど、この点は違うとか、概ね賛成だけどこの点だけは反対とか、前提がこうなら賛成だけど前提が違うなら反対とか、そういう細かなニュアンスを含めず切り取って発信されるものを「世論」として取り上げ、「世論が言ってるんだから正しい」なんていうことは滑稽だ。

そもそも「世論」が判断する情報はどこからの情報なのか、誰の目線の情報なのか、その情報が一部なのか全てなのか。情報を誰かが発信する以上、その発信者がどんなに努力しても主観は取り除けない。何らかのバイアスがかかっている。ましてや情報の裏に様々な思惑が動いているのだから、情報の扱いは慎重になった方がいい。

何よりも「世論」がどうかではなく、あなたがどうかである。「世論」が全て間違っているといっているのではないが、常に正しいわけでもない。「世論」も間違うのだ。あくまで他人の考えと参考にする程度にして、しっかりと自分の軸を持っておくことが重要だ。

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