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人は賢く生きたいのか、愚直に生きたいのか

最近はよく「タイパ」という言葉を耳にする。
タイムパフォーマンスのことを指し、時間対する得られる効果のことをいうらしい。

一応「コスパ」とは違うらしい。個人的には、お金に限らず時間もある種のコストなので、コスパのなかの特に時間に対することを指すのかと思うが、いくつかのウェブサイトでは違うようだ。

さて、確かに「タイパ」が良いに越したことはないだろう。
1日が24時間であり、それを増やす手立てがない以上はよりよい生活を求めるにあたり効率化は重要なことだ。
しかし、それがすべてでもない。

私も比較的には効率を重視するし、時には感情を置いて効率を優先する場合もある。しかし、割と回り道、余白も好きだったりする。
時には回り道が近道になることもあるし、狙っていない回り道がその後のヒントになることもある。
自身の予定通り、想定通りに物事を進めることができるのであれば「タイパ」に振り切ってもいいだろう。
しかし、応用力をつける、引き出しを増やすという意味では「タイパ」だけでない行動も価値がある。

「タイパ」を否定するのではなく、むしろその感覚は持っているべきだ。
例えば、1円でも安く商品を買うために近所の片道5分のスーパーではなく、片道30分のスーパーまで行く。
結果として10円くらい得をしたとして、10円と移動に要した時間をは釣り合っているのか。
(もちろん家計次第でそうする必要があることもあるが・・・)

「タイパ」を最優先にするのではなく、「タイパ」も意識しつつ時には回り道の重要性も知っておく。
うまく使い分けることが重要だ。

「タイパ」を追い求めることは一本の道を逸れることなく車で目的地にたどり着くようなイメージだ。
メリットとしては、無駄がなく、速やかに目的地にたどり着くことができる。
時間も労力も最小限だ。その抑えた時間と労力で他の何かに取り組む余裕ができる。
デメリットとしては、他の道、他の移動手段を知らないということだ。
生きていくうえで、常に平坦で走りやすい一本道でもないし、その道が通行止めになって方向転換が求められたり、オフロードを走ることもある。
そんなとき、回り道をした経験が活きてくる時がある。

いずれにしても、どちらが正しいというものでもない。
ただ別の道があるだけの話だ。そう確か『バガボンド』31巻でもおばばがこんなことを言っていた。

ただ真っ直ぐに一本の道を進むのは美しい
じゃが普通はそうもいかぬもの
迷い 間違い 回り道もする
それでええ
振り返って御覧
あっちにぶつかり こっちにぶつかり
迷いに迷ったそなたの道は
きっと誰よりも広がっとる
(中略)
道が広がった分おぬしは
誰よりも人に優しくできる
わしも 武蔵も
なれなかった人間になれる

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