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月と森のサブマリン ⑦       製材機作り              

(森でひとり潜水艦)

…。
キコリになって、
建築場所のアカマツを切り倒し続けた。
そして、
購入した中古のバックホーで、
一カ所に積み上げた。
驚くばかりの本数。
…。
丸太の山。
…。
さて、
このアカマツの丸太をどうする?。
それが問題だ。
…。
キャンプ用の折り畳みイスに深く座り、
広葉樹の日陰の中、
じっとアカマツの山を見た。
…。
俺は木を切った。
そして、
山のように積み上がった丸太。
これをどうする?。
…。
こう書いてはいるが、
やることは見えていた。
放置し、
雨ざらしにして、
腐敗菌の餌にするわけにはいかない。
頭の中で様々な事が浮かんでは消えて行く。
やがて、
ふつふつと沸き上がる野望。
その野望は漠然とだが形を整えた。
そうだ。
この丸太を生かすには、
切る。
平行に切る。
そして板を作る。
その板で家を作るのだ。
…。
とすると、
どう板を作る?。
…。
試してみるか…。
…。
車からチェンソーを持ち出すと、
燃料を補給し、
ポンピング、
そしてスターターロープを引いた。
途端に甲高い音をたててエンジンがかかる。
それを両手で持ち、
近くのアカマツの丸太に真横から刃を入れ、
スロットルを引いた。
ギャイ-ンと音を立て、
足元にチェンソーに削られた木屑が飛ぶ。
だが、
切れる速度は遅い。
さらに、
腕や肩が痛い。
数分刃を丸太に入れ、
徐々に丸太から建築材料を自分で作るんだーという、
希望が、
野望が、
失速し、
墜落してゆく。
…。
エンジンを切ると、
イスに座り込んで空を見た。
青い空を白い雲が流れて行く。
風があたりの草木を揺らし、
頬を風がなぜてゆく。
…。
チェンソーで板を作るのは無理だと理解した。
木の丸太が切れてゆく速さが遅い、
それに、刃を入れてゆくのに相当な力がいる。
人間技で大量の丸太からチェンソーで板を作る事は、
無理だと悟った。
…。
ならどうする?。
…。
ネットで情報を集めた。
製材機は高額で手が届かない。
買ったら、
製材屋にならないとペイ出来ない。
ならば、
丸太から板を作るにはバンドソーだ。
(写真の機械)
と、安易にネットオークションで1万で買った。
提示金額が安くて、
ついついクリックした。
落札してしまた。
やったと思ったが、
ふと不安になった。
問題があった。
重量数百キロの丸太を、
どうやってこのバンドソーに、
平行に移動させて切るのか?。
人間技では無理なのだ。
ならどうする?。
つづく

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