デートという言葉の不思議
「これからは毎日、朝の時間は”朝ご飯デート”だと思えば、2人とも支度が早くなるんじゃない?」
というやり取りを同棲中の彼氏としたのが、ちょうど2週間前。
それ以来、我が家では外出するよりも約1時間前に起床し、朝ご飯を彼氏と一緒に食べる、というごくありふれた、けれど私にとってはかなり難易度の高い行動を継続することに成功している。
たった1時間。されど1時間というもので、私はたった1時間早く起きることで、こんなにも色々なことができるのかというのを、26年目にしてようやく気付いた。(いや、もっと早く気付いてくれ自分よ)
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私は今まで、自分より朝の支度が早い女性を見たことがない。
例えば、友達と旅行に行くとき。
もちろんメイクも髪の毛もセットするから、旅行中は早起きするんだけれど、大体友達が起きた30~1時間後に起床する。
仕事の時には、簡単に眉毛と日焼け止め、時間があるときはアイシャドウぐらいしかメイクはしないから、支度はもっと短い。
大体、どれくらい早いのかというと「おはよう」と目覚ましを止めてから、「いってきます」と家の玄関のカギを閉めるまで、最短15分。
ちゃんと、メイクも歯磨きもして、髪の毛も整えている。(朝ご飯は食べてないけど)ちなみに、朝ご飯を食べたなら、これが20分になる。
だから、同棲を始めた当初、この私の支度の速さに彼氏はかなり驚いていた。
衝撃的なものを見る目で私を見ていて、「なぜ男の俺より早い?」という顔をしていた。
けれど、一緒に暮らすとは不思議なもので、最初は衝撃を隠さなかった彼もだんだんと私のスピードに慣れ、なんなら支度が早くなってきた。
おかげで私ほどじゃないが、彼は起きてから20~25分程度で家を出られる腕を身に着けた。
そのせいか、最近は2人共もっぱら朝はぐーぐーと寝こけて、何回目かのアラームで起こされている。やばいと思って起きだし、無言で最速支度をする…なんて日常が繰り広げられていたのだけれど…。
幸せだよ、うん。ぎりぎりまで寝られるから。
幸せなんだけど、ね。なんだろうね。
思い描いていた同棲生活と違うよね。
けど早起きなんて無理だね、うん。
と二人とも感じながら過ごしていたある日、私のスーパーダーリンが突然冒頭の案を提案してきたのだ。
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「これからは毎日、朝の時間は”朝ご飯デート”だと思えば、2人とも支度が早くなるんじゃない?」
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最初は、いやいや何言っちゃってんのよ。そんなんで私の今までの生活が変わるわけないやろ、と本気で思っていたのだが、やってみるとびっくり。
これが案外続いているのである。
デートだと思うと、どこかしら相手の時間を奪っているという意識が心に生まれる。
相手の時間を使わせてもらうのだから、そりゃあ最低限の身なりを整えなきゃ可哀そうだなと思う。
テーブルに着く前に、いつもよりちょっとかわいい私を作ると、驚くほど優しくなれる。
「この卵大きいね、やった」
「今日は天気悪いみたい、週末晴れるといいな」
他愛もない話をしながら、二人でテーブルに向かい合って食事をする。
時にはパンを焼いたり、TKGを二人で食べたり。
食事のあとコーヒーなんて飲むと、朝から私の心に何だかあったかな幸せがぶわ~って広がっていく。
たった2週間で、この朝の2人の時間が、愛おしくて私の宝物の時間になってしまった。
今はたった2週間。
けれど、来月もこの2人の時間が愛おしい時間で続いていることを願う。
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