がんを引き起こし脳の働きを阻害する 遺伝子組換え食品これだけの危険 取材・文◉小林蓮実(紙の爆弾2024年6月号【特集】隠蔽される「健康被害」掲載)
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#ゲノム編集 #グリホサート #モンサント #枯葉剤 #ラウンドアップ #フードテック #あきたこまちR #放射線照射 #日本はGMO承認品種数世界一
除草剤をもっと売るために生まれた「遺伝子組換え」の作物。「遺伝子組換え」食品は、実は今もなお、世界中でがんや自閉症、発達障害を発症させ続けている。そして「フードテック・ビジネス」が手を替え品を替え、私たちの食の安全を脅かしていることは、「あきたこまちR」(昨年12月号)や「ゲノム編集」(2・3月号)記事でも紹介してきた。
今回は、これらの遺伝子操作の1つであり、そもそもの発端の1つでもある「遺伝子組換え」が現在も人に害を与え続けていることについて説明したい。
「金儲けのため」のGMO(遺伝子組換え) 日本は承認品種数世界一
まずは、それぞれの遺伝子操作の違いについて確認しておこう。
従来の「品種改良」とは、生物の雌雄を人為的に受粉させる手法によって農作物の遺伝子の組み合わせを変えること。今回採り上げる「遺伝子組換え」では異種生物の細胞から遺伝子を取り出して別の細胞の遺伝子に組み込むが、外来遺伝子の挿入場所はランダムであり、効率は悪い。
また、「放射線照射」のうち「ガンマ線照射」は1本か2本のDNAの鎖をランダムに切断する。放射性育種米を交配した新種が「あきたこまちR」で、それに用いられた「(重)イオンビーム照射」は2本のDNAの鎖を効率よく切断する。
他方、ゲノム編集は標的遺伝子を特定し、その遺伝子だけを破壊(ノックアウト)して、そこに別の遺伝子を効率よく挿入(ノックイン)するものだ。
ただし、これらはいずれも類似のものと、分子生物学・環境科学に関する研究を続ける河田昌東氏は語る。
「私たちのグループは、昨年までは『遺伝子組換え食品を考える中部の会』という名称だったのですが、今年から『遺伝子操作食品を考える中部の会』に改名しました。しかも、問題は食品のみならず、医療にも及びます」
そもそも遺伝子組み換えとは、1973年にアメリカで基礎技術が用いられて徐々に医薬品として普及するようになり、1980年代半ばには植物に対する技術も確立されて農作物にも用いられるようになったものだ。
1994年に世界初の遺伝子組換え食品として日持ちのよいトマトが発売され、1996年には害虫に抵抗性のあるトウモロコシや大豆などの遺伝子組換え作物の商業栽培が始まっている。その後、日本への輸入も開始された。
河田氏は、遺伝子組換えについて、以下のように説明する。
「簡単にいえば、細胞から遺伝子を取り出して異なる生物の遺伝子に入れ込むことで、新たな性質を与えるものです。入れ込まれる異種生物の遺伝子は、外来遺伝子と呼ばれます」
また、遺伝子組換えが農作物に用いられるようになった背景についても聞いた。
「巨大バイオ企業・モンサントは、ベトナム戦争で用いられた枯葉剤をつくった農薬メーカーとして知られています。モンサントは戦後、グリホサートを有効成分とする除草剤・ラウンドアップを世界中に輸出していました。
しかし、使用量が限界に達し、セット販売にしてもっと多くの除草剤を輸出するために、品種改良や突然変異の技術を使って除草剤耐性の作物をつくろうと10年ほど研究しましたが、失敗。ところが、ある時にモンサントの研究者が、ラウンドアップの製造工場にある排水口の壁面にバクテリアが繁殖していることを発見しました。これを調べると、ラウンドアップへの耐性があったわけです。
ここで、動物が体内でつくれないために食事からの摂取が必要である『必須アミノ酸』のうちのトリプトファンが大きな役目を果たしていました。除草剤はトリプトファンの合成を妨げます。発見されたバクテリアに除草剤耐性があるということは、トリプトファンの合成酵素の構造が違っていて、除草剤で壊れないということです。そこで、このバクテリアの遺伝子をトウモロコシなどに組み込み、除草剤をかけても枯れない農作物をつくることにしました。
ちょうどその頃、遺伝子組換え(GM)の技術が登場して10年ほど経過しており、このGMの先端技術が用いられたわけです」
結果、除草剤や殺虫剤の散布回数の低減が強調されながら、除草剤耐性や害虫抵抗性の遺伝子組換え作物(GMO)が販売されていった。
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