一年前の今頃は、越後平野の端っこで、雪に埋もれた歩道を自力で開拓して通学していた私ですが、現在は大学の試験もレポートもすべてやっつけ、バラ色の春休みをスタートしています。あたたかくなるのが待ち遠しいですね。

 さて、そんな雪国から上京してきた私ですが、この前ふと気づいたことがありました。上京してから一年、全くホームシックになっていないのです。
 たしかに私は地元の閉塞感や、揺るぎないがちがちの人間関係がいやで東京に出てきたけれど(急に暗い話)、それにしたって、こんなに東京が楽しいのはなぜなのかしら。

 それはたぶん、私が東京を好きすぎるからだと思います。

私と東京の馴れ初め

 上京したてのころは、自分の想像の中の東京がテレビやインスタで切り取られた四角い世界由来なことは知っていて、それでも現実世界にそれを超えてきてほしいという気持ちが強くありました。

 だから、都内でオリオン座がはっきり見えたことにショックを受けたりしました。そのころの私は、東京では星が見えないものだと信じていたので、東京の夜にもっと「都会最強!」みたいに、立ちはだかってほしかったんだと思います。
 ちなみに、それを友人に熱く語ったら、フジファブリックがそんなことを歌っていたと聞かされ、「先を越された!」と感じてもう一度ショックを受けました。

(▲先を越されていた大好きな曲。悔しい。)

 あと、目的もなく渋谷や新宿の人混みのなかに行ってみたりして、全然寂しくならないことに感慨深くなってみたりもしました。クラスで毎日頑張っていたころは、友達がいてもあんなに寂しかったのに、街にあふれるすれ違ってもう一生会わないだろうたくさんの人たちが、それでも私を孤独にすることはなく、私はそれが嬉しかったんだと思います。

 ほかにも、坂がめちゃくちゃ多いこと、終電の時間が想像していたよりも早いこと、都心にも人は住んでいるのだということ、新宿のど真ん中に紀伊国屋書店があること、自然が意外とあること、物価はそこまで高く感じないこと、思ったよりも東京は広いということ。

 この一年、こんなふうに想像と現実の東京を照らし合わせて、等身大の東京を知って、「こんなもんか」って思うこともあったけれど、そんなところも愛しくて、たぶん私は東京を他の人よりもいくぶんか好きです。暴力的なまでに全部が東京に集まっているって、なんだかしみじみとして趣深いですよね(出た!日本文学科の常套句だ!)。

 今回はこんなかんじで終わりです。うまく伝わったかな。ぜひ次回作にご期待ください。

東京より愛をこめて。
きみもここを気に入ってくれたらうれしいです。

(文:避暑地)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?