作者の出身地で日本一周の旅(北海道・東北編)


初めに

本をたくさん読んでいるから、作者の出身地で日本一周できるのではないか?と思ったので、やってみます。1周目で計47冊が紹介できるはずです。偏りがありそうな気がするので、ちゃんと達成できるかドキドキです。
まずは日本列島の上から、北海道と東北地方でやってみます。
※その県で一番有名、一番好き、というわけではなく、浮かんだ人で記載しています。

北海道:氷点/三浦綾子

やはり北海道と言えば三浦綾子が一番に浮かびました。どの作品を読んでも北海道が舞台で、寒く長い冬のイメージがある人です。
氷点は、人の罪の意識と生活を続けていくことの葛藤を表現していると思います。上下巻で長く見えるけれども読みやすかった記憶があります。続編も出ているので、ちょっと長いシリーズものを読んでみたい、という方はぜひ。

青森県:ドミノ/恩田陸

初めて読んだのはかなり前ですが、人生で何回か読み直した本です。
ユージニアや六番目の小夜子など、ミステリー調のものをよく読んでいたのですが、ドミノは肩の力を抜いて、それよりは気楽に読める作品だと思います。登場人物が多いとアレルギーが出る人や、騒がしいのが苦手な人は少し読みづらいかもしれませんが、あれだけの話を一つにまとめて落ちをつけられるのってすごいと思う話です。

岩手県:氷柱の声/くどうれいん

初めて知った時には歌人として認識していたのですが、そうしている間に小説を書いて、しかも芥川賞の候補作にまでなって、若いのに活躍してすごいなあと思っています。東日本大震災後の気持ちを描いていますが、「悲しまなければならない」「被害者として生きて行く」という圧力は被災地のほど近いところでも起きていたのだな、と気が付いた作品です。
日常が止まってしまう出来事として鮮明に記憶に残っている震災ですが、描くことも重圧なんだろうと感じ取れる一作でした。

宮城県:象の皮膚/佐藤厚志

読んだときに、「こんなに気持ちを分かってくれる小説があるのか」と思いました。私は主人公と同じ症状を抱えていて、物心ついてからずっと体がかゆくなかったことがないくらい、いつもどこかがかゆいです。程度の差こそあれ、薬を飲んだり塗ったり、いろいろな治療をしても、根絶にはならず、いつもどこかにかゆみを感じています。見た目が悪いのは本人が一番気にしていて、それでもどうしようもない、という気持ちが痛いほどわかって、感情移入してしまいました。本当にみんな読んでほしい。

秋田県:檸檬のころ/豊島ミホ

少しでも田舎と感じるような場所の出身の人は、共感する部分があるのではないでしょうか。山や田んぼに囲まれた学校で過ごす生徒たちの姿が目に浮かぶ小説です。自分の学校も、雪こそ降らないものの田んぼと畑と山、というような場所にあったので、立地やその閉鎖的な空間(学校は少なからず閉鎖的になる場所ですが)を文字から感じ取ることができる本です。

山形県:ビビビ・ビ・バップ/奥泉光

読み切るのにとても時間がかかった記憶。それもそのはず、この本は文庫なのにとても分厚かったので(しょっちゅうそんな本ばかり読んでいる)
角川武蔵野ミュージアムに行ったときに発見し気になった本です。SFものなのですが、世界が壮大ではあるものの想像しやすく、読み終わったときにはすっきりと、面白かった、と感じた記憶があります。
腰を据えて長編を読んでみたいときにおすすめです。

福島県:おおきな森/古川日出男

これは本当に分厚い本です。私は自分の見たことのある中で一番分厚いのは京極夏彦の本だと思っていましたが、それを上回るのではないかと思われるボリュームに驚きました。本一冊という単位の限界に挑むような分厚さです。ビビビ・ビ・バップの厚さも結構圧倒されましたが、こちらはもっと厚いので、時間をかけてゆっくり本を読みたいときにおすすめです。
タイトルの通りおおきな森に迷い込むのですが、別々の世界の話が混ざり合ってつながっていく感覚が味わえます。

終わりに

やってみたら予想以上に大変でした。作者の出身地を気にして読む本を選ぶことはないので(それはそう)、ああこの人は出身がここなのね、ふむふむ、と思い出していく作業でした。さて、本当に47都道府県書けるのでしょうか…。次回は関東編です。


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