群馬県のブラジル、大泉町「BIG BEEF」でドブラジーニャ(牛もつといんげん豆の煮込み)とブラジルパンのリブサンド
ブラジルの豆料理が好きだ。それもシンプルに野菜だけで煮込んだもの。
そんなブラジルの日常食「フェジョン」が、一品料理を注文するとサラダと共に食べ放題になる店があるらしい、なんて素晴らしい!という訳で、ある土曜の昼、群馬県大泉町へ向かった。
大泉町が積極的に外国人の移住を受け入れていることはニュース等で度々目にしていたが、Bリーグ観戦のため訪れる太田市の隣であるとは知らず、今回遠征前に改めて地図を見て即決。車ならとても近い。太田市のアリーナから10分程度で着けるのだ。試合前の腹ごしらえや買い出しに最適、素晴らしい!
そんな訳で昼前着。車を停めると、テイクアウトの袋を持った先客が出て来て、隙間から店内の様子が見えた。なかなかの異国感にわくわくする。
案内された2人掛けテーブルはサラダバーとフェジョン鍋の前。スタッフの方々が立ち働く様子も見える。各テーブルからはポルトガル語(多分)が飛び交い、様々な肌の色の方々が思い思いの料理を食べている。ファミリーも、友達同士と思われる2〜3人組も、ひとり客もいる日常の風景。海外の食堂に来たような感じでうれしい。
我々が日本人かつ初めてとひと目で見抜いたホール担当の方がメニューの見方やサービスをひととおり説明くださり、私は食べたかったドブラジーニャ(牛ハチノスと白いんげん豆の煮込み)、夫は日本人に人気があるというサンドメニューからリブサンド。ドリンクはレモンジュースとパイナップルジュースを選んだ。サービスの水はなく、メニューにもないのでドリンクは必ず注文する仕組みの模様。
注文を終えると早速サラダとフェジョン。8種類くらいの中から私が盛り合わせたのはこんな感じ。
左奥から茹でビーツのサラダ、叩ききゅうりとうずら卵のサラダ、生野菜(ルッコラ)、チミチュリ(玉ねぎとパセリ、ハーブ等のソース)、蒸しかぼちゃサラダ、ポテトサラダ、茄子のオリーブ炒め。味が知りたくて、ほぼ全種類少量ずつ取った。
ポテサラやマカサラは日本とほぼ一緒。きゅうりも食べ慣れたドレッシング味、かぼちゃも同様。ただ、全体的に薄味で余計なことをしていないので安心できる。
特に知りたかったのはビーツと茄子の味付け。どちらもイタリア〜ロシア辺りでよく見る調理法に見える。ブラジルではいったいどんな味付けをするのだろう?
食べてみると、ビーツはかなり柔らかめで、多めのオイルとにんにく、塩でシンプルに味つけ。オイルがなめらかに感じさせてくれて美味しい。
茄子はやはり多めのオイルでよく炒めたイタリアでよく見る調理法。少しのにんにくと、オレガノをかなりしっかりきかせてあるのもイタリアやギリシアに近い。かなり離れた国でも似た味付けをするんだなあ。同様の料理をよくつくる私には食べ慣れた味でうれしかった。
続いて待望のフェジョン。
この後メインが来るのでかなり控えめに盛ったが、周囲のお客さん、特に若い男性客の多くはごはんも煮込みも大皿に山盛り&何度もお代わりしていた。近くの工場で働く方だろうか、皆さん筋肉質の締まった体つき。そうだよね、やっぱり豆は力になるよね。
おお…これが本場のフェジョン!
サッカー会場等で過去幾度かフェジョンやフェイジョアーダを食べ、家でも数回つくってみたが、ひと口で全て納得できた。
大量に煮込んであるのでとにかく柔らかでなめらか。口の中で引っかかるところがまるでない。豆自体の旨味とまろやかさがじんわりと広がる。
味付けは極めてシンプル。豆とみじん切りの玉ねぎ、にんにく、塩、オイル、ローリエ、多分それだけだと思う。塩はかなり控えめ。たくさん食べても大丈夫。
うん、これは日常食だ。基本的な栄養を含み、食べ飽きない。さらっとしたとろみがごはんにぴったりで、にんにく多めで力がつきそう。
ついこれだけでおなかいっぱいにしたくなる味だが、私にはこれが待っている!
ドブラジーニャ!
これも何度もつくってみたブラジル料理のひとつだ。ハチノスの柔らかさはどれぐらいか、臭みはどの程度抜かれ、トマトはどれくらいきかせてあるか、にんにくやオイルの量は?等気になる点がいろいろあった。
どれも納得。
内臓はあくまで柔らかく、とろりと煮込まれた豆にもその味がしみ、下煮でもつ臭さはかなり消えているが、トマトとイタリアンパセリが後口をさっぱりさせる。これもごはんに合い、超空腹という訳でもないのに進むスプーンを止められない。やや疲れていたこの日の体が今!まさに求めている!といった感じの味なのだ。
美味しい〜、柔らかい〜、とただただ上機嫌な私の横で、味見した夫が言った。「梅あんず(←私)がつくるのに似てるね。…っていうか、どれも近いよね」
それは私が繊細な舌や感覚で異国の料理を再現したという意味ではない。より親しみやすく、美味しくつくろうとした結果が、ブラジルで日常的に親しまれている味に近かった。
それは他の国にも言える話で、中国料理もイタリア料理も、庶民が日常的に食べている家庭料理の味付けは極めてシンプルで親しみやすい。そういう味に出会った時、人々の生活に少し触れた感じがしてうれしくなる。
そして夫もご機嫌だった。
ざっくりとした大きなサンドをガブッと行き、ホクホクですすめて来る。この時私は正直肉を食べたい体調ではなかったのだが、遠慮気味にひと口。
おお…これにも納得。しっかりした食事になる、体に効く素材のサンド。
肉が、全く脂っこくない。よく焼かれた赤身肉がたっぷりの生野菜と共に「パンがあるから手が汚れない」ぐらい豪快に挟まれ、味付けは塩のみ。サラダコーナーのチミチュリを薬味としてかけても美味しい。
今回大泉町に来た目的のひとつが、このブラジルパンでもあった。コッペパンに似た形の、軽くて具材を挟むのに最適なパン。これもブラジル料理の特徴のひとつ。焼いた肉によく合う。
美味しさと興奮とでつい撮り忘れたが、ジュースも美味しかった。
注文後にジューサーで一杯ずつつくるので少し時間がかかるが、レモンもパインもやはり体になりそうな自然な味。甘さも程よく、これだけでも時々飲みに来たくなる美味しさ。
ブラジルの人々の体はこうしてつくられているんだな、と非常に納得した大満足のランチ。充実のひとときだった。
美味しかったなあ、是非また行きたい。ごちそうさまでした!
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