生梅が3kgあったらどう使う?熟の加減で分けてカリカリ梅と梅干し、追熟させて梅味噌と完熟梅のジャム(2024十郎梅その2)
今年は二度買った十郎梅、後から買ったのはわけあり3kg。これぐらいあるといろいろ使える。
箱に可愛いメッセージが。梅への愛情が感じられて嬉しかったので掲載させて頂く。メルカリ購入はこうしたやり取りも楽しみのひとつ。
さて、3kgちょっとの梅、熟の進みにもばらつきがありそうなので、まずは状態を見ながら分類。
①じゅうぶん熟したもの(左上)
②梅干しに向かなそうなもの(熟し過ぎや傷)さらに追熟させる分にざっくり三通り…と思ったが、量が多いので追熟も二段階に分け
③追熟分・やや熟が進んでいるもの(右上)
④追熟分・まだだいぶ青いもの(左下)
の四つに分類。
とりあえずこの日は③と④の追熟を開始(通気性の良い場所に置き、表面を新聞紙で覆う)。①と②(ジャム用)は過度に乾かないようすき間をあけて軽くラップし、この日の梅仕事終了。
翌朝①を梅干しにと思ったところ、「そうだ、まだ青いのがあるから梅漬けも仕込もう」と思いつき、④の一部をカリカリ梅(青梅ではないのでカリカリにはならないと思う)に。
どちらも洗ってなり口を楊枝で除き、ざるにとって乾かしてから塩で漬ける。
今回は初めてこの塩を使う。
精製塩ではあるがにがり成分が加えられ、マグネシウムの含有量が比較的多いリーズナブルなタイプ。
梅漬けは塩10%をまぶし、いちおう「梅パリ」も加えて空気を抜き、冷蔵庫へ。
梅干しの方は先に漬けた分と同様14%で仕込み、重石をかける。
先の分はもうたっぷり梅酢が上がった。
梅酢の十分上がった梅は、大きさの合う段ボール箱かプラケースに入れて天日干しまで保管している。同サイズのファスナー袋で仕込んだものなら三つまでは重ねておける。
時々様子を見て上下を入れ替え、互いを重石代わりにする感じ。
さて、③と④をどうするか決めかねたまま熟が進んだ。
今回の十郎梅は、先に買った分より華やかな香り。同じ品種の梅でも育て手や環境、ちょっとした天候の加減で味や香りは異なる。
その香りに包まれていると、なんとなく梅干しよりも甘さのあるものにしたくなり、今年はたっぷり作りたかった梅ジャムと、昨年漬け込みタイプに失敗した梅味噌にしようと思った。今回はジャムと同じく加熱してつくる方法。まろやかな味の十郎梅なら梅味噌にも向くだろう。
それぞれの用途に分けて軽量し、洗ってなり口を除いてそれぞれの鍋に。
こちらは梅味噌用。
一般的な梅味噌(煮詰めるタイプ)のレシピは味噌と梅を同量、砂糖はその六割〜八割程度のものが多いが、手持ちの味噌が残り少なく、また甘さは少々控えたくてこの分量で試した。
・生梅:500g
・味噌:400g(※梅と同量を推奨)
・砂糖:200g
・味醂:50ml
結果から言うと、甘さは十分だが(味醂を加えてまろみを出したせいもあると思う)味噌は少々足りない感じの味に。
やはり梅と味噌は同量が基本の模様。その場合、甘さの感じ方も変わると思うのでお好みの甘さで。
つくり方は少しジャムに似ている。
最初にみりんで少し煮て梅から水分を出し、砂糖を加えて更に水分を出した上で、出て来た水分で味噌を溶いて後はひたすら煮詰めていく。
みりんで3分ほど煮て、砂糖を加えてまぶした段階。
味噌を加えて10分ほど煮たところ。
参照した作り方では煮る時間は25分とされていたが、その時間では梅が半生で水分も多く、適度な加減に煮詰まるまで小一時間ほどかかった。
柔らかさの目安は田楽味噌と同じくらい、しゃもじで線を引ける程度。
少し冷ましてタッパーに。上の分量で850g程度の梅味噌ができあがった。冷蔵庫で3ヶ月程度もつと思うが、小分け冷凍してもよいと思う。
梅の分量が多いのでとても爽やか。
白身や青魚、鶏肉等の塩焼きに添えたり、味噌焼きにしたりすると大変美味しい。湯豆腐にも合いそう(やや固めなので、冷奴にのせるならだし汁等で少しゆるめた方が良さそう)。
納豆と混ぜたり、田楽や焼きおにぎりに使うのも良いし、和え衣の材料に使うのも、これからの季節は特に良さそう。
梅ジャムは今回もこのつくり方で粗糖を使用。
但し梅が約1.2キロと多かったため水は加えず、茹でて種を除いた梅と粗糖だけで煮た。
量が多い場合、梅を茹でて種を除く際に種周りの果肉をしごいて取るのにだいぶ手間がかかる。だがそれをしないと美味しい果肉がかなり減ってしまうので、面倒でもやった方が。裏ごし器にかけてしゃもじ等でこそげるのも良いかも。
ジャムは梅味噌より煮る時間は短いが、城州白や谷沢梅でつくった時よりとろみがつくのが遅く感じた。
全体量が多かったのと、ペクチンの含有量が異なるためでは?という気がする。
谷沢梅でつくった時はとろみのつくのがかなり速く、酸味が強い分ペクチンも多かったのではないかと思った。まろやかな十郎梅はペクチンも少なそう。
でもたいへん良い色ととろみの美味しいジャムに仕上がった。やはり梅ジャムは完熟梅か、しっかり追熟させた梅でつくると格段に美味しい。
品種や熟の度合いによって色やとろみは割と違う。十郎はぽってりとした感じがとても良い。色もきれい。
たくさんできたので小分けして容器へ。
砂糖を少なめにしているので、すぐに食べる分以外は念のため冷凍。これだけあれば一年もつかな、嬉しいな。
元々は梅干しをもっと多く漬けて三年くらい熟成させてみるつもりだったが、十郎梅はおそらく今後も毎年漬けると思うので、今年は気が向いた梅ジャムと梅味噌を優先した。
梅が3キロほどあれば梅干しだけでも様々な塩を使ったり、赤紫蘇の有無や塩分を変えて漬け比べたりして楽しめるし、今回のようにジャムや梅味噌にもできてたっぷり楽しめる。
昨日スーパーで和歌山県産南高梅の「訳あり」がひと袋980円で売られていた。輸送中か保管中に熟が進んだのだろう、黄熟して梅干しにもジャムにも程よい加減。
そろそろそういう梅も出回って来るので、今年はやってみたいな…と思われる方もぜひ!
梅仕事は楽しいです。