読書にもサービスエリアがほしい!
今回の記事は気楽に書いてみよう。重い、考えさせられるような読後感も良いけど、胃もたれしてしまうこともある。たまには、軽い内容の本で、さわやかな読後感を味わうときもあったらいいなと思う。この記事も、普段とは違った、軽く読めるものにしたい。読書にも、サービスエリア的な存在となる本が時には必要である。
最近、久しぶりに日本の現代小説を読んだ。伊坂幸太郎の「陽気なギャング」シリーズの第1作目と第2作目である。伊坂幸太郎は、1年に1冊読むか読まないかくらいの頻度で読んでいる。伊坂幸太郎の作品は、とにかく読みやすい!普段読んでいる作家に比べて、ページの進み具合が段違いである。気楽に読みたいときや、電車やバスで読むときに最適だ。
この2冊で共通してよかったところは、‘‘魅力がつまった登場人物‘‘と‘‘巧みな伏線回収‘‘である。まず1つ目。このシリーズは、4人組の銀行強盗団について書かれたものである。そのうちの一人一人が、噓をついているか見抜く能力や、時間を正確にはかる能力などの特殊能力をもっている。そして、その各人物の性格、話し方も異なっていて面白い。しっかり各々の個性が出されていて、どの一人が欠けてもいけないと思え、4人が好きになる。また、登場人物の話し方は、冗談交じりの軽快なものであり、伊坂幸太郎の読みやすい文章にぴったりである。次に2つ目。この作品は、なんといっても伏線回収がとてもきれいだった。物語序盤のなにげない会話で出てきたことや、4人の別々の体験(2作目では、第1章に、4人それぞれが主人公となった4つの短編がある)の中の出来事が、物語が進むにつれて結びついていく。少し疑問になったところが、なにひとつ余すことなく解決していくのは、まるでパズルのピースが埋まっていくように、とても気持ちのよいものだった。また、その伏線回収も、よくあるどんでんがえしのようなものとは違い、程よい具合でなされていくので、さわやかな読後感が味わえる。しかし、本当に余すことなく伏線が回収されていくので、読んでいる途中に「多分あの部分がこうつながるんだろうなあ」と予測できてしまう部分もあり、少し残念だと言う人もいるかもしれない。でも、僕は、小説には、‘‘そのとおりに書かれている‘‘楽しさという感覚があると考えていて、その考えからすると、あまり残念なことでもないのではないかと思える。‘‘そのとおりに書かれている‘‘良さというのは、‘‘奇をてらったことをしたりして、物語が破綻してしまうようなことがなく、自分が予想したとおりに物語が落ち着いてくれること‘‘である。僕は、この感覚がけっこう好きだ。話がこの本から離れてしまうのだが、推理小説の祖とされるエドガー・アラン・ポーの(江戸川乱歩という名前は、この作家がもとになっているのは有名である)、「モルグ街の殺人」という短編集のなかの、「おまえが犯人だ」という作品でも、‘‘そのとおりに書かれている‘‘楽しさが味わえる。この感覚は、小学校、中学校で、推理小説ばかり読み、伏線に過敏になっていたときに養われたのかもしれない。笑