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閑話休題「秋と小芋と彼岸花」

ここ大阪もようやく朝晩に秋の空気を感じられるようになりました。本当に今年の夏は辛い夏でした。

日本人として生まれてきて、しみじみ幸せだなと感じるのは、こうした季節の変わり目の鮮やかさを体感出来る事だと思います。

都会で生活していると中々感じられませんが、稲作の盛んな農村部にいると、秋という季節は独特の空気感がありますし、独特の匂いがあります。

特に稲刈りが始まる頃から10月いっぱいくらいは気候も良いですし本当に自然に感謝したくなるありがたい季節だなと、都会に暮らす様になってより強く感じるようになりました。

私が育った田舎の村では、刈り取った稲を乾燥機で干すような事はせず、どこの家も田んぼの脇や中に組んだ「稲木」に干したものです。

「稲木(いなき)」と書きましたが、これは私の田舎でそう呼んでいただけで、世間一般では何というのでしょうね。とにかく稲を干す為の木の枠組みの事です。

稲刈りの作業というのは、どこの家も一家総出でやるのが普通でしたが、私の実家は田舎では珍しく田んぼを作っていませんでしたので、いつも友達の家族が稲を刈ったり干したりする様子を眺めていました。

そして、そうした風景の中に必ずあったのが、真っ赤な彼岸花です。

彼岸花の球根には毒があるので、モグラ除けに田んぼの畦に彼岸花を植えるのですが、キレイに散髪された田んぼの脇に目にも鮮やかな彼岸花の花束がある光景は、アラ還を迎えた今でも鮮明に脳裏に焼き付いて離れません。

学校の帰り道に女の子達が彼岸花をポキポキと折って上手に首飾りを作って遊んでいたのも思い出されます。

ところで、私の祖父は丁度この時期に旬を迎える小芋が大好きな人でした。

収穫したての小芋の煮物を私の母親が、特大の鉢にどっさりと出すのですが、それを1人で三分の一位は食べていた様に思います。

その食べ方も独特で、芋をご飯の上にのせて箸で半分に割ってから食べるといった食べ方でした。

都会で暮らす今でも、秋の空気が感じられるようになるとこうした昔の記憶が蘇ります。

不思議なもので小芋も無性に食べたくなるんですよね。

季節の移ろいに感謝しながら、今晩は小芋の煮物でも作って、日本酒で一杯やろうかと思っています。

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