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歳をとったら医者と上手につきあおう

施設で暮らすお年寄りが体調を崩すと、そのまま提携先の病院に入院する事が普通です。

入院期間は長い人もあればすぐに帰ってくる人も居てケースバイケースですが、多くのお年寄りは入院前よりも元気を無くして帰ってきます。

食事面で言うと、入院前は普通食だった人が退院後は刻み食になるといった様に、良くない方向に変化して帰ってくる事が実際にとても多いです。

ただ、施設に戻ってきてしばらくすると又以前の普通食に戻ったりする事もありますので、そういったお年寄りにとって、一体どこを治しに入院したのだろうと素朴に思うのは私だけではないと思います。

今の医療と言うのは、どんどん細分化されていて狭い範囲の検査の数値だけを診て治療する事が多いので、入院によって目的の数値は改善されても体全体は衰えてしまうといった、訳の分からないパラドックスに陥っていると感じてしまいます。

勿論、現場の医師や看護師さん達が悪意を持ってそんな事をしている訳ではありませんし、必死に元気になっていただこうという思いで医療を提供されている事は理解しています。

ですから余計に思う事は、歳を取ったら医者と上手に付き合わないといけないという事です。

これが若い人ですと、例えば腸を整えるために食事を制限されても、噛む力や飲み込む力が急激に衰えることはありません。

しかし要介護のお年寄りの場合、ほんの1週間ほど口からモノを食べなかっただけで急激に食べる力が衰えることがあります。

こういった人が病院で食事を再開してみたらむせて上手に食べられないとなると、施設に戻る際に「刻みトロミ食」にして下さいといったオーダー付きで帰されたりします。

食べる事が好きな人がこれをやられると、とたんに食欲も意欲も失ってそのまま寝たきりになるといった事もありますので、ここは注意が必要な部分です。

施設で暮らすお年寄りの場合は医療との関わりも施設が決める事が多いので仕方ない面がありますが、自宅で暮らすお年寄りは本人や家族が医療との関わりを決める事が出来ます。

その人にとって、どういった医療を受けるのが一番良いのかといった判断は、医者が決めるのでは無く、最終的には自分たちが決める事だという意識が必要な時代になったと思います。

寝たきりでも点滴で栄養を摂りながら長生きするのが良いのか、最後まで自分の口で食べる事にこだわり、結果的に早死にする事になっても構わないのか、それは個々人の価値観の問題です。

そうした事までしっかり考えた上で医療と関われば、結果的に死期を早める事になっても後悔する事はないのだと思います。

※元記事は「食べごろclub

*アゼリアカルチャーカレッジ
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