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母の最後の入院

こんにちは
看護師まーです。

今回は母の最後の入院について書こうと思います。
前回、母の事を投稿してから随分時間が経ってしまいました。もう10年以上も前の事ですが、あの日々の出来事を思い出すと胸がキュと締め付けられるような、寂しい気持ちになってしまいます。そのためなかなか書くことができず、遅くなってしまいました。
時間の経過とともに一部美化されている事もあるかもしれませんが、私の覚えている範囲で書いていこうと思います。


在宅療養をしていましたが、母は身体のしんどさがピークを迎え、横になることもままならず、座ったり寝たりを繰り返していました。腹水も大量に溜まりお腹はパンパンに張っており、母から入院したいと言い出しました。往診医も訪問看護師さんもサポートにあたってくれていましたが、家では腹水穿刺はできないと言う事もあり相談した結果、入院する事になりました。介護する私も寝れない日々が続き、この日も一睡もせず朝を迎えました。限界だと思いながら、このしんどい状況が終わる🟰母の旅立ちだと思っていたので、終わらせたい気持ちと終わりたくない気持ちとで葛藤していたように思います。
あんなに入院を嫌がっていた母が入院すると言うのだから相当しんどかったんだと思います。

入院をして病院でできる処置をして頂き、家にいるよりかは楽な状況で過ごせるようになりましたが、身の置き所のないしんどさは続いており、寝たり起きたり歩いたりを繰り返していました。家族の付き添いがないと療養できない状況にあったので、この日は弟に付き添いを代わってもらい私は身体を休めることにしました。
久しぶりにゆっくりと布団の上で寝れましたが、母の事が気になっている事としばらく気の休まらない日々を過ごした影響もあってグッスリは眠れませんでした。本人が1番辛いのだけども介護する家族も同じぐらい大変な日々を送っているだと言うことを身をもって経験しました。

入院2日目
弟と付き添いを代わり一日中、母の見守り。病院側からは身の置き所のないしんどさに対して、鎮静の提案がありました。

鎮静について、皆さんはご存知ですか?
どんな医療を行なっても取りきれない症状が時々起こります。そう言った場合、眠るお薬を使用して患者さんに寝てもらい、そのしんどさを感じないようにする方法があります。
寿命を縮めたり、死に至らしめる治療ではないので安楽死とは異なります。
デメリットとして、会話を含めコミニュケーションができなくなってしまいます。

母はまだ話ができる状況にあり、鎮静を希望するのかどうか本人に確認しましたが、「大丈夫。いらない。」と言って希望しませんでした。せん妄も出ており、本当に理解して母が答えたかは分かりませんが、したくないと本人が言うので、じっと横になっていられない状況を付き添い、見守るしかできませんでした。
なるべく看護師さん達の負担にならないよう専属看護師になったつもりで母の介護をしていました。


入院3日目
全く寝ない母の状況を不憫に思った看護師さん達が、鎮静について悩んだのだろうと思いますが、お昼に一度私とカンファレンスをしたいと看護師さんより声を掛けられました。
看護師さん達にご迷惑を掛けているのは重々承知していましたが、鎮静をしたくないと言う母の気持ちも大切にしたいと思う気持ちもあり、どちらからも責められるような気持ちになり、私は泣いてしまったのを覚えています。
決して家族を責める気持ちは看護師さん達にはなかったのだろうと思いますが、身体も心もいっぱいいっぱいだったので、私は責められるように感じてしまったのだと思います。

その様な状況を察してなのか、突然母は家に帰りたいと言い出しました。入院したり、退院したり、母の都合で今後は対応できない事を母とは話し合い、家で頑張ると言うことを約束して急遽、午後から退院させてもらう事になりました。お薬も飲める状況になく、医療用麻薬を注射で急いで用意してもらい、在宅酸素も急遽導入しました。母のわがままに全力で対応してくれた担当だった看護師さんには本当に感謝しかありません。一日中、母の退院劇に振り回された事だと思います。それでも彼女は嫌な顔せず一生懸命対応してくれました。自分の勤めている病院にこんな素敵な看護師がいる事が嬉しかったです。

母の状況を聞きつけ、親戚の方々がお見舞いに来てくれましたが、退院すると聞いて、口々に良かったと言ってくれましたが、母の残された時間は長くても数日だと思っていた私はとても複雑でした。母の姉妹にだけ、電話で状況は良くない事、残された時間が限られている事をお伝えしました。退院したのに?と言った反応でしたが、そう伝えるしかできませんでした。

母は退院する際、主治医や看護師さん達に感謝の言葉を述べ、深々と頭を下げていました。家で亡くなる覚悟を決めたんだと感じたのと、もしかしたら今までのお礼を言いたくて入院すると言い出したんじゃないかと思うぐらいの様子でした。

家に帰ってきたら、母は相変わらず落ち着きなく寝たり座ったりの繰り返し、時々窓の外をじっーと見つめては、また横になっての繰り返しでした。それでも家に帰って、自分の好きな様に過ごしてる姿をみて家に連れて帰れて良かったと思いました。

この続きは次回。
次回で母の闘病記は最後です。
なかなか参考になる事は少ないかもしれませんが、看護師であっても家族を看取ると言うことは大変な事であり、まして素人の方々が家族を看取ると言う事は想像以上に大変な事だと言うことを知って頂けたらと思います。
多くの方がいつか経験する大切な人との別れ、それまでどんなふうに生きるのかを考えるきっかけにでもして頂ければ幸いです。

看護師まー



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