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東京ミュージアム巡り②:日本民藝館

東京旅では、Mary Quant展に行く前に、念願の日本民藝館へ行ってきました。1936年創立の、日本で最初に設立された民藝館で、東大駒場キャンパスの近く、駒場公園の一角にあります。閑静な住宅街の中に、白壁の日本建築の大きな建物が突如現れる感じでした。


https://mingeikan.or.jp/

ちょうど毎年恒例の日本民藝館展が開催中で、日本中の手仕事の品の新作が一同に会していて、見応えありました。ほぼ売約済みでしたが、色々な現代の手仕事を見て勉強になったし、中でも自分の好きなものが、はっきり分かったのは発見でした。黄釉や海鼠釉の陶器、ホームスパンのチェックのマフラー、型染めの反物、薄氷のようなガラスのコップや、鮮やかな幾何学模様が素敵なノッティング、お花の形に編まれた鍋敷き、などなど。。。どれも丁寧に作られた、職人の技が冴える作品たちでした。お店で見かけたら、買ってみたいと思うものがたくさん。

コレクション展示も少しあって、個人的にはこちらがメイン☺️ 作品の良さ・美しさを引き出す展示の仕方が印象的で、美しく健康的なのに加えて、可愛らしい作品が多く感じました。各地の民藝館でも使用されているのと同じ形の展示ケースですが、もともとはこちらが創立される時に、柳宗悦自らデザインしたものということで、今まで見た中でも一番展示室にマッチしていて、展示物が見やすくなっているように感じました。
「濱田庄司」の展示室で、濱田作品と棟方志功の版画が共に展示されていて、引き立て合う感じに見入ってしまいました。 「ビーズの装い」展示の、ターコイズブルーやクリスタル、蜻蛉玉のようなカラフルなガラスビーズが使われた、立派なアイヌのネックレスも素敵でした😍 新たな発見。

あとは「朝鮮時代の諸工芸」「漢と六朝(りくちょう)の文字」「流し掛けとイッチン描き」がそれぞれ1室を使って展示されていました。色々と出版されている、民藝の本でもよく紹介されているものたちですが、実際に見ると新たな印象を受けて、特に朝鮮時代の工芸品は、美しさだけでなく独特のユーモアと可愛らしさがあって好いと思いました。
調度品でイギリスのウィンザーチェアが使われていたり、キャビネットも展示されていて、『日本』民藝館といえども、世界の古きよき手仕事のものに触れられるのが楽しいです。

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先月、大阪日本民芸館にて初心者向けの民藝講座に参加してきたのですが、そこで教えていただいた、色々なポイント(展示のバックに使われている葛布の美しさだったり、濱田作品の角鉢の足だったり)が、実際に確認できたのも面白かったです😊 柳先生の本で読むとなかなか難しい内容でも、実物を目にするとストンと落ちました。『美の法門』も、こういうことかしら?とヒントを得ることができました。

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ちょうど西館(旧柳邸)の公開日だったので、柳さん宅にもお邪魔しました。昭和10年(1935)竣工。

食堂で、よく見る一家団欒の食卓の写真は、こういう構図だったんだ、としばらく見入ってしまいました。食卓を囲むウィンザーチェアが可愛いです。意外とこじんまりとしたお家で、木枠の窓の桟や砂壁、細い廊下、黒い電気のスイッチを見て、記憶の底にある昔の祖父母の家を思い出しました。
天井の高さまで本が詰まった書斎の椅子は、ふかふかした青いチェック柄のクッションのアームチェアで、心地良さげ。家具はイギリスの物多めで、和室との和洋折衷が素敵でした🇬🇧🇯🇵 書斎も想像したよりは小さな部屋で、意外と庶民の生活だったんだな〜と思いました。机の前の壁の掛軸には『心偈』より「今日空 晴レヌ」の文字。
以前、豊田市民藝館に移築された旧大広間と館長室を見たのですが、館長室に掛けられた掛軸の言葉が「今日空 晴レヌ」で、そのときと同じでした☺️ (そして同じように空は曇ってた☁️)! 何かのメッセージなのでしょうか。。。


西館(旧柳宗悦邸)


柳宗理による創設50周年の記念碑



ミュージアムショップも色々ありすぎて迷いました。
左上のはインドのプリント地の巾着袋。
紐は白い取手を引っ張れば開けれらるようになっていて便利です。


<参考> 豊田市民藝館:

移築された旧大広間
大広間の右奥に続く館長室
「今日空 晴レヌ」の掛軸



ちなみに東京土産は、銀座あけぼのの「味の民藝」にしました。民藝作品の意匠を取り入れたデザインが秀逸です。


<東京ミュージアム巡り③へ続く>