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ニューゲイザーの真打ち DIIV

大学のカフェテリアで談笑してたときの話。隣の卓のひとたちは、就活について熱く議論を交わす一方、おれたちは「全国のホームレスを集めてきて軍事的な訓練をして私設軍隊を作り、嫌いなやつの家に攻め込みたい。」とかいう想像を膨らませていた。そんな中、やっていきます。


2010年代が始まる前後から勃興した音楽ジャンルに、ニューゲイザーなるものがある。Newという形容詞に、Shoegazerをくっつけた安易な造語である。ニューゲイザ〜〜〜〜いいよね〜〜……ニチャア。その音楽性はシューゲイザーを土台として、それらを現代的に解釈した音だったり、進化させたり、他ジャンルとの融合を果たしていたりする。えてしておれはノイズマシマシな音源がすきだけど。Fleeting Joysとかはもろにマイブラ直系だったりするし。おれたちのヒーローが音源出さないんだったら、自分らで勝手に作るわ!という心意気やよし。そもそもシューゲイザーは語義通り、shoe(靴を)+gaze(見つめる)ように俯いて演奏をしているひとたちの事を指している。この事からしても、この音楽ジャンルは文芸趣味を持つ内気なぼくたち、が大事にしている音楽である。歌詞の内容も文学的だったり、囁くように歌うのがお手本である。まあおれもそんな傾向には共感できるし、陽気な音楽よりは陰気な音楽の方が大体の場合において好みである。カラッと明るい音楽ってなんかうざくないですか?
おれ、お前らみたいに恋愛でもスポーツでも成功体験なんてないし、自己実現なんて以ての外だし…と捻くれてしまう。だかしかし、こんなことばっか考えて、自分の自意識に苛まれてしまうなんて、それこそ悪癖じゃあないか。おれは「もう令和だぞ、オタクくん!内省的になるな!やりたいことをやれ!二郎系ラーメンばっか食べて自己を満足させるな!でかい声を上げろ!顔を上げて走れよ!」的なマインドでやっていきたいんだよ。健やかに生活したいので。本題からかなり逸れてしまったが、まあ、シューゲイザー系の記事なんて漁れば山のようにネットの海に横たわっているので、シューゲを掘り下げたいひとはそっちを読んでくれ!!




で、今回紹介したいのは、そんなニューゲイザーの中でも頭一つ抜けているバンド、「DIIV(ダイヴ)」である。


このニューヨークのバンドは、元Beach FossilsのギタリストであるZachary Cole Smithのソロプロジェクトからはじまった模様。彼らの紡ぐ音像は、Beach Fossilsにも通ずるような浮遊感のある白昼夢サウンドで、聴いてると、ウットリしてしまうよなあ⁉^^
ドリームポップとかインディーポップのメンバーはだいたいナード気質なひとが多いけど、ザカリーコールスミスは多分違う。確か、Yves Saint Laurentの2013ssと2016ssにモデルとして使われてて、パリコレのランウェイも歩いてるっぽい。

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しかも高校一年の時に、友達とタバコを探しに出かけて、最終的にウォルマートの駐車場に停めてあった何台ものトラックの窓を岩で破壊しまくって捕まり、高校を中退したらしい。アホやんけ。しかし、今となってはモデル、映像ディレクター、アーティストの肩書きを持つイケイケ文化人である。アメリカのこういう、才能さえありまくれば成り上がれる風土はとてもいいなと思う。おれにはなんの才能もありませんが……。



それで、2ndアルバムを出した頃からこのバンドは大好きだったんだけど、今回の三作目が過去一で素晴らしい。しかも来日するみたいなので、今回紹介しようと思った次第である。3rdアルバム『Deciever』は、前作の清涼感あるサウンドよりもダークに、不穏なノイズが渦巻いて、ドリームポップよりもポストパンク・オルタナに接近した音になっている。各楽曲のメロディのダイナミクスの妙がやばい。

アルバム中でも、「Blankenship」が一番すきだ。サビのメロディ、あまりにもかっこよすぎ。ボーカルはゆったりと脱力感溢れる感じだけど、楽器隊はどっしり重厚感のある演奏をしていてそのギャップがまた魅力的。キャパ300人くらいの音響が良いハコでみたすぎる。何気にシューゲイザー系のバンドのライブはマイブラ以外みたことなかったりするので、今から来日が待ち遠しい限りである。もちろん、一作目、二作目も糞味噌にいいので聴いてみてほしい、というかとりあえず全部聴け。それでは。




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