選手権前哨戦プレビュー(県1部リーグ第16節)~畝傍高校vs奈良育英高校~
NFA県1部リーグも終盤を迎えて10月12日(土)に開幕する高校サッカー選手権を迎え前週の10月5日(土)に暫定首位の畝傍高校と3位の奈良育英高校のリーグ戦が予定されています!
選手権予選前に優勝候補同士がリーグ戦で試合する時によく『手の内を見せない』とか何とか言って予防線を張る人達もいますが、今のリーグ戦は上のレベルで公式戦をしたいチーム関係者にはめちゃめちゃ重要な試合になります。
例えば現在3位の奈良育英高校にとって首位の畝傍高校に第16節で負けるという事は、プリンスリーグ関西2部への昇格プレーオフは絶望的となり来季も県リーグで1年過ごす事になります。
奈良育英高校も奈良クラブユースも今年のインハイ代表だった生駒高校に対しても、9月のリーグ戦で5点以上とって圧勝するぐらい県内では既に切磋琢磨できない程のレベル高いチーム力になっている以上、プリンスリーグ昇格はチーム関係者にとって至上命令と言っても過言ではありません。
保護者さんからすれば選手権代表が一番重要な大会と思っているかもしれませんが、監督コーチにとってはリーグ戦も年々強いチームに成長していく為に『形振り構わず』勝ちにいかなければならない試合となるのです。
◼️対戦前状況
両校は選手権奈良大会の組合せで順当に勝ち上がれば準々決勝で早々と対戦する『事実上の決勝戦』とも言える熱戦確実な対戦カードなのでプレビューを書いてみようと思いました!
とりあえず9月28日(第15節)終了時点の県1部リーグの暫定順位は畝傍高校が首位で奈良育英高校が勝点2差の3位と正に首位攻防戦の6ポイントマッチとなります!
そして前回対戦(第7節)時の試合結果はこちらの通りスコアレスドローで決着がついてません!
畝傍はインハイ以降の新チームながら奈良育英とスコアレスドローのゲームを繰り広げ、選手権での活躍も期待できるサッカーを魅せてくれました!
◼️両校スタメン予想
【畝傍高校】
リーグ戦再開後の3試合を現地観戦して奈良育英戦はほぼ間違いなくこの布陣でくると思います!
【奈良育英高校】
こちらもリーグ戦再開後の3試合を現地観戦して直接対決に勝てばプリンス関西2部昇格プレーオフ圏内に入れる重要な試合ならばこの布陣でくるかな…と考えました!
◼️両校ゲームプラン予想
【畝傍高校】
畝傍のリーグ戦は第12節の一条戦に第14節の香芝戦を観戦したところ、畝傍高校の選手の距離間が遠くパスが通らなくなっていたので、今一つ攻撃のクオリティも上がらずビルドアップに苦労しており、このままだと奈良育英戦は正直厳しいな…と思っていましたが、第15節の五條戦を観戦してその考えは一転不安を払拭するぐらい再現性ある攻撃が戻って、後期開幕から5連勝と勢いが出てきました。
そのため五條戦での戦術プランを奈良育英戦にも適用してくるんじゃないかと考えています。
これまでは奈良育英に対して受け身から入る守備が多かった畝傍ですが、今回は奈良育英が自陣でボール保持した時はハイプレスを仕掛けていく積極的な守備を見せると五條戦からも予想します。
ハイプレスから敵陣でボール奪取が出来たらショートカウンターで加速させて、サイドからクロスを上げてファーサイドにてフィニッシュしてゴールを狙います。
また奈良育英がハイプレスに対してロングボールで陣地回復をして来たら、畝傍はセカンドボール回収してボール循環を織り混ぜならが両サイドピッチを幅広く使って、両SBをオーバーラップさせてサイド攻撃に転じます。
もし奈良育英が陣地回復から畝傍DFラインに対してハイプレスをかけてきたら、下記の様にロングボールで奈良育英DF裏のスペースへひっくり返して押し戻します。
最終的には奈良育英DF裏を抜けるスルーパスや、奈良育英陣内へ深く押し込んで戻すクロス等の再現性ある攻撃の形を作れば、畝傍としては攻撃の主導権を握られると思いました。
この様に奈良育英に対して畝傍は従来の中盤経由のビルドアップというよりは、ロングフィードを使っての逆サイド展開やDF裏抜けによるピッチ全体を使う大きな展開で攻撃してくると予想します。
最後に守備について前半はハイプレスを仕掛けれる様にしっかりハイブロックを組みます。
ハイプレスを掻い潜られそうになるとライン間が間延びするので速やかに撤退します。
ミドルブロックからローブロックへ移行して奈良育英の縦に速い攻撃に対してへ、決してボールホルダーに食い付かずパスコースを切りゴール前の侵入を組織プレーで遅らせる事に心掛けます。
ローブロックまで奈良育英を引き込んだ後は大きく空くDF裏のスペースを虎視眈々と狙います。
攻守共にこんなプラン通り上手く行くかは別として、畝傍高校サイドからすれば選手権で奈良育英と対戦した時のために『手の内を隠す』のではなく、一度リーグ戦でテストしておく価値は絶対にあると考えます。
【奈良育英高校】
奈良育英のリーグ戦も第11節の奈良クラブユース戦、第13節の天理戦、第15節の生駒戦の3試合を観戦して、こちらは第3節から続く無敗記録を12試合に伸ばし7連勝中と安定した闘いぶりでした。
奈良育英としては畝傍戦は同じスタイルの奈良クラブユースで上手く行った戦術プランでくるのかな…と考えます。
奈良クラブユースとの試合はnoteに書いたので詳しくは下記の観戦記をご確認ください!
そういうことで前半戦は奈良育英もハイプレスを仕掛けて主導権を畝傍に渡さない様にしてくると考えます。
その際に気をつけたいのは畝傍のトップに押し下げられてライン間が間延びしたところを縦パスを通されない様にする事です。
このライン間で畝傍に縦パスを通されると一気にDF裏にスルーパスを入れられて大ピンチになるので要注意となります。
攻撃プランでは奈良育英に緩急をつけた戦術は少ないのでシンプルに縦へ速い攻撃プランで攻めてくると考えます。
奈良育英の強度の高い速攻は畝傍サイドはとても脅威だと思うので何としてもパスコース切ってDF裏へのスルーパスは通させない様にしなければなりません。
ただ奈良育英サイドで気になるのは天理戦で感じたけど、相手が引いてボール持たされてパスコースを切られると、どうしてもボール循環しながら幅を使ってのビルドアップが少ないので、閉塞してロングボール蹴って相手に回収されるというポイントです。
よって奈良育英としては縦に速く攻め上がるシチュエーションをどんどん作って先行逃げ切りというゲームプランに持ち込みたいところです。
◼️試合展望
この様に畝傍と奈良育英の特徴がぶつかり合うとゲーム展開的に序盤はハイプレス回避からロングボールの蹴り合いとなって、この展開から先に落ち着いてボールを持ち始めた方が主導権を握れると考えます。
どちらにしても両校ともDFラインは高く上げてハイラインをキープしてくると思うので、GKのポジショニングによるDF裏のカバーリングも重要になるし、ネガティブトランジション時のプレスバックのデキで勝負の行方を左右すると言っても過言ではありません。
さて首位攻防戦は畝傍、奈良育英どちらに軍配があがるのか楽しみですが、試合会場が五條高校でピッチが少し狭いのでゲームにどう影響するのか?というのも念頭に入れておく必要がありますね!
◼️ご参考
今回もスペインサッカー研究所のサッカーボードを引用させていただきました。
奈良県高校サッカーのレベルアップのためチーム関係者にほんと届いてほしいアイテムだと思うので是非ご参考にしてください。
選手としても指導者としてもサッカーの奥深さにある知らないポイントの気付きがあり、個人としてもチームとしても技術レベルのステップアップに役立つと思いますのでご参考のどうぞ!
今回も最後まで読んで頂きありがとうございます。
プレビューを書いても自分自身はチーム関係者でないので当事者が全く違う戦略を考えていたら、その通りのゲーム展開になるとは限りませんが、サッカーの試合は勝つために戦略を練り対策を準備してゲームに臨むという事が面白さの醍醐味だと思うので、そういう戦術プランもあるのか?とか県内の高校サッカーレベルでも知ってほしいな…と常に思っています。
何も考えないでボール蹴り合って得点がなかなか入らず面白さにかけるスポーツではありません。
是非とも好カードは現地で観戦して楽しんでみてください!