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ハニーボーイ

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生まれて初めての世界。
大抵は身近にいる親(家族)と接することからはじまる。それがどんな親であれ、既に自分の世界の一部になっている。くっついているものを離して、別のものとして捉えるのはなかなか困難だ。
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『HONEY BOY』
監督 アルマ・ハレル
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俳優シャイア・ラブーフの自伝的脚本。
シャイアがアルコール依存症のリハビリ・プログラムの一貫として書いたものが基になっている。
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ハリウッドで俳優として活躍するオーティス。アルコールが原因で更生施設に入り、過去を思い出す中で、父親と向き合う物語。
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12歳のオーティスを『ワンダー 君は太陽』の主人公の友人役、ノア・ジュプ、
10年後のオーティスを『スリービルボード』の主人公の息子役、ルーカス・ヘッジズ、
そして父親役を、脚本を書いたシャイア・ラブーフが演じる。
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映像がきれいで、日々の中の光の美しさを思い出させてくれる。音楽はシガー・ロスやヨンシーとのコラボレーションで知られるAlex Somers。
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映画が終わった時は平常心だったけど、見終わった後にじわじわときた。映画館を出て泣きながら自転車を漕いで帰った。
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私は20代前半まで、母親から離れてはいけないと思っていた。だから家を出る気は無かった。離れたら彼女が壊れてしまう気がしたからだ。母はそんなこと思ってなかったかもしれないが、母を支えているのは自分だと思っていた。何もしないけど、側にいる。そんなことが当たり前で、大切だった。
おそらく、オーティスもそうだ。
本人は気づかないフリをしているが、実は相当に苦しい。その中で、夕陽の美しさや、ちょっとした楽しさを見出していくのだ。
世界は美しいから大丈夫だと自分に言い聞かせて。
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よくひねくれないで育ったな、私。

ちょっと昔の自分を思い出して、よくがんばったね、と褒めてあげたくなった。

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