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復興シンドローム

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2011年3月11日東日本大震災が起こり、僕らの生活は一変した。様々なことがあり、人々の心が様変わりした。避難し新生活を迎える者、そこに残ることを選んだ者。そして、ただ茫然と居続…
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復興シンドローム【2017/07/01~】㉗

このままコンビニのバイトともう一つの仕事で、ほそぼそと人生を終えるのか。 夏真っ盛りを喜…

復興シンドローム【2017/01/01~】㉕

震災から6年を迎える2017年もあけた。テレビもない生活が長いせいか、自分には一切のおめでた…

復興シンドローム【2016/12/01~】㉔

バイト先の近場で工事が始まった。 あぁ、コンビニができるらしいよ。向こうは24時間らしい。 …

復興シンドローム【2016/11/01~】㉓

「福岡さん、この町ってどうなっちゃうんでしょうね……」 事務所でふと声をかけた。 一仕事…

復興シンドローム【2016/11/01~】㉒

徐々に明け方は遅くなり、午前4時だと暗闇に包まれている。白い息を車の窓から出して、熱いコ…

復興シンドローム【2016/10/01~】㉑

「ここから山沿いに離れた広場で移動販売をしようと思っていてさ。マスコミも来るからいい宣伝…

復興シンドローム【2016/09/01~】⑳

夏の装いは弱まることなく、午前5時の出勤には場違いなほど辺りは明るい。駅は6月に再開し、活性化するわけもない街はメディアの復興アピールの過剰なまでの神輿に乗せられている。学校も何もない。来年から高校が統合されて再開するらしいが、コンビニの客の9割は震災関連の作業員。そして地元の老人たちがちらほら。 何のことない毎日がただ繰り返していくだけ。毎日がコピーのようで、1週間がただ風のように過ぎ去っていく。 朝の仕事が終わり、アパートで仮眠につき、夕方から別な仕事に向かう。深夜まで

復興シンドローム【2016/08/01~】⑱

「やめやめ!もうやめた!」 そう言って、自分は電話を切った。制服はほかの隊員さんに預け、…

復興シンドローム【2016/04/01~】⑰

この仕事をして何度目かの血液検査。 内部被ばくの累積線量は特に問題はなし(らしい) 帰還…

復興シンドローム【2016/01/01~】⑯

凍えるような寒さの中、まだ闇に包まれた早朝。 新年のあいさつも忘れ、僕らは仕事に出かける…

復興シンドローム【2015/05/05~】⑭

午前中の日差しが強くなってきた。警備員年長の御大でも日焼け止めクリームは必須だ。山側から…

復興シンドローム【2015/03/11~】⑨

彼岸の季節だ。今月はやはり人の往来が激しい。3月11日があるのと、彼岸があるからだろう。11…

復興シンドローム【2015/03/01~】⑧

春になったとは到底思えない極寒の早朝。しかし、帰還困難区域に向かう車の中では確かに春の足…

復興シンドローム【2015/01/01~】⑦

2015年1月1日 早朝   初日の出もまだ出ない暗闇の中、地元に帰らない数少ない隊員さんと、唯一の地元の隊員の自分が、車に乗り込む。帰還困難区域と居住制限区域に今年も向かっている。新年の装いはどこにもない淡々とした車窓が徐々に薄暗い中から浮かび上がってくる。コンビニはいつもと違い、混雑していない。ゆっくりと朝食と昼食を買い、車内で粗挽きフランクフルトに舌鼓を打つ。無言だが「明けましておめでとう」の社交辞令だけは忘れずに終始車の中は和やかな雰囲気で危険地帯へと今日も向かうので