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健康経営とESG

"健康経営"と"ESG"には深い関係性があることをご存知でしょうか?
多くの企業では健康経営の担当部署(人事部/健康保険組合など)とESGの担当部署(広報/IRなど)が異なっているため、健康経営とESGを結び付けて考えている方は少ないと思います。しかし、「健康経営に取り組むことは実はESGへの貢献に向けた取組にもなっている」ということを本noteでお伝えします。

健康経営に関するお役立ち情報をお届けする「健康経営のすすめ」は、健康経営支援ツール"FairWork survey"をご提供する株式会社フェアワークが運営しています。フェアワークへのお問い合わせはこちら

健康経営とは

経済産業省は以下のように定義しています。分かりやすく言うと、企業の経営目的達成のために、企業で働く人たち一人ひとりの健康を大切にしよう。という取組です。

従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことで、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待される。

ESG・ESG投資とは

”ESG”とは環境(E:Environment)、社会(S:Social)、ガバナンス(G:Governance)の頭文字を取って作られた言葉です。企業が持続的に成長していくためには、ESGが示す3つの観点が必要だという考え方が世界的な潮流となっています。

そして企業に投資する投資家にとって、投資先企業が持続的に成長することが望ましいことから、従来の財務情報に加えて非財務情報であるESGの要素も考慮して行う投資活動のことを”ESG投資”と言います。

ESG投資の世界的な流れとしては、2006年に国連責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)が提唱されました。PRIは機関投資家のための投資原則で、投資にESGの視点を組み入れることなどが求められています。世界で3,844の機関がPRIに署名(2021/3月時点)しており、日本でも年金積立管理運用独立行政法人(GPIF)をはじめ保険会社や資産運用会社など91の機関が署名しています(2021/3月時点)。

<PFIの6原則>
1.投資分析と意思決定のプロセスにESG課題を組み込みます
2.活動的な所有者となり、所有方針と所有習慣にESG問題を組入れます
3.投資対象の企業に対してESG課題についての適切な開示を求めます
4.資産運用業界において本原則が受け入れられ、実行に移されるよう働きかけを行います
5.本原則を実行する際の効果を高めるために、協働します
6.本原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告します

このように多くの投資家がESGを重視するようになったことから、ESGの取り組みが不十分だと市場にみなされた企業の株価は、業績のみから期待される株価水準を下回ることになります。特に上場企業はESGに向けた取り組みをきちんと市場に対してアピールできなければ、中長期的な株価低下に繋がりかねません。

健康経営とESGの関係

健康経営は従業員という企業にとって重要なステークホルダーへの健康投資であり、従業員の健康や活力を向上させることを通じて、ESGのS(社会)やG(ガバナンス)に関する取組として位置付けられています。

<Environmentalの要素>
 climate change, greenhouse gas emissions, resource depletion,
 waste and pollution, deforestation
<Socialの要素>
 working conditions, local communities, conflict, health and safety,
 employee relations and diversity
<Governanceの要素>
 executive pay, bribery and corruption, political lobbying and donations,
 board diversity and structure, tax strategy

健康経営や健康投資に取り組んでいることを投資家などのステークホルダーに確りとアピールすることで、企業としてのESGへの貢献を示すことができ適切な企業評価に繋がります。

健康経営とESGを結び付けた例

健康経営とESGを結び付けている企業の例を紹介します。

<事例1:アフラック生命保険>

当社はこれまでの健康診断の分析結果を踏まえ、社員が目指すべき理想的なワーク・ライフサイクルの実現に向け、運動・食事・肥満・禁煙・睡眠など、課題感の大きいテーマにフォーカスしたさまざまな施策を実施しています。(出典:アフラック生命保険HP/共有価値の創造に向けたESGの取り組み/Social(社会)

<事例2:清水建設>

シミズグループは、従業員が健康でいきいきと仕事に取り組み、持てる力を発揮することにより、一人ひとりが活躍できる企業を目指します。そのために、従業員の健康増進と、職場環境の改善に向けて、全社的な推進体制を整備し、必要な施策を継続的に実行します。この活動の推進により、企業の社会的責任を果たすとともに、従業員一人ひとりの働きがいと幸福度の向上を実現する、これがシミズグループの健康経営です。(出典:清水建設HP/ESG経営/S(社会)

<事例3:DMG森精機>

DMG森精機は、会社の安定した事業運営と将来に向けた持続的な発展成長にとって、従業員が心身ともに健康であることが必要不可欠であると考えています。2021年1月には「DMG森精機 健康経営宣言」を策定いたしました。今後も「よく遊び、よく学び、よく働く」を体現する従業員の意欲的な働きに期待するとともに、会社を挙げて従業員の健康の維持・増進に向けて取り組んでいきます。(出典:DMG森精機HP/ESGへの取り組み/社会/人材活用

まとめ

ESG意識の高まりは機関投資家など一部の金融業界に限った話ではなく、従業員や地域社会など様々なステークホルダーも同様に、企業のESG活動を注視しています。このため、企業は業績だけでなく、自社と環境・社会の繋がりや自社の企業統治(ガバナンス)の状況を意識した経営を行う必要があります。そして、従業員の健康や活力向上に繋がる健康経営は正にESGに資する取組です。

健康経営担当の方は自社の健康経営がESGの観点でもステークホルダーから注目されていること、そしてESG担当の方はステークホルダーの関心事項に健康経営が応えられることを意識して、社内連携を深めてみてはいかがでしょうか。



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